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初めての○○

遡ること約2週間前、年末最後のお茶のお稽古での帰り際。

先生に呼び止められ、

「(私が教わっている先生の)先生が年始に開かれるお茶会の招待券あるから、行けそうなら行ってみて」

と、場所や日時などが書かれたハガキサイズの紙を渡してくださいました。

場所については頂妙寺の大乗院という、数年前に一度伺ったことがあるお寺の塔頭で、京阪の三条駅から歩いて行けるような所なので自宅からも行きやすく、日時についても今は比較的時間に融通が利くので、平日の昼間に行われるものでも何とかできるということで、その招待券を受け取って、お邪魔させていただくことにしました。

そして、迎えた当日。

前日までの好天から打って変わって、冷たい雨が朝から降り続く生憎の天候で、若干心折れそうになりかけましたが、今年まだ頂けていなかった年始のお菓子「花びら餅」を出してもらえるとの先生からの情報もあって、花より団子な気分で、諸々の用事を済ませてから昼前に伺うことにしました。

今にして思えば、これが過ちの始まりだったのですが……それはまた追々。

受付にて記帳など済ませて、手荷物やコートなどを預けつつ、お茶やお菓子を頂くのに必要な懐紙や古帛紗、扇子などを入れた数寄屋袋(小さなショートバッグみたいなもの)だけを持って、茶室に入る前に客だけで集まる待合という所に。

タイミング的に私が最初に待合に入ることになり、掛けてあった鶴が描かれたお軸や、今日の茶道具の取り合わせが書かれた茶会記を拝見。

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※ちなみに、私自身の備忘録もかねて、少し説明など。

床:床の間に飾られている掛け軸のこと。今回は「祥雲繞寿山(しょううんじゅざんをめぐる)」という、おめでたいことが起こる時に出るという雲が長寿の象徴の寿山の周りを取り巻いているという、年始に相応しい言葉。

炉縁:釜などを置く炉のふちに取り付けてある枠。これまで漆で塗ったものしか見たことがなかったのですが、今回は木目もはっきりわかる縞柿というもの。

棚:台目という、風炉先屏風(?)に薄器を置く板がついている、これも初めて見る棚。

薄器:薄茶の粉をいれる器で、恐らく利休型の棗(「恐らく」が付く理由は後ほど)に「扇」の模様が一「面」に「散」りばめられているので扇面散。

(その他に気になるものがあれば、コメントなどしていただけたら)

後から入って来られた同席する方々とご挨拶など済ませて、ジッと座ってスマホを触ったり、時折お軸の鶴と目を合わせたりしながら、その時に備えていました。

しばらくすると先の茶席に参加されていた方々が出てこられて、準備が終わるのを待っていると、いよいよ声がかかり、待合にいる私を含めて5人の番に。

順々に歩を進め、奥におられた普段習っている私の先生にもご挨拶して、いよいよ席入り。

そしてこの席入りこそがまさに先程備えていた「その時」。

ここである失敗をしてしまうと、茶席の様相が一変してしまうのです。

※以降、参加者など特定される部分もありますので、有料にさせていただきます。興味を持っていただいた方だけ先にお進みください(1873文字あります)。


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