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ザ・リーディング【コミュニケーション編】:返報性の心理と印象操作への心理と認知的不協和理論

■返報性の心理

常に自分のお願いばかり聞いてもらっている。
自分のやりたいことにつきあってもらっている。
こういう一方的なお願いをしている状態は、なんとなく嫌なものですよね。

心理的報酬という考えが心理学にはあります。
あなたもご存じかもしれません。


自分だけが心理的報酬を得ている状態をさけようとする心理


これは、言い換えると「受けた恩は返したくなる心理」です。
類似性のある人と一緒にいることは、心理的負担が軽くなるのです。
相手に心理的負担をかけないですむことが多いのです。


例えば、あなたの趣味が登山だとします。
あなたが好きになった人が、まったく登山が好きでなかったら、好きになった人をほっといて、登山仲間と休日に山へ行くなんてことになるでしょう。
また強引に、相手を登山に誘うこともあるかもしれません。

どのパターンでも、心理的負担は大きいですよね。そのどちらのパターンも選択しにくいです。
なので人間は、類似性のある人に好意を持ちやすいのです。

自分のやりたいことを、好きになった人と一緒にできるし、お互いに興味関心のある話題も豊富です。

無理して付き合ってもらうことがなければ、「お願い」や「お誘い」もしやすいものです。
近くにいる人を好きになるのは、「頼みごとがしやすい」ということがあるからですが。


これも、返報性の心理の働きが影響しているからです。
そして、実は頼みごとをすることは、恋愛に発展させる重要なポイントの一つなのです。

この返報性(恩を返したくなる心理)は、感情のバランスをとろうとする心理なわけです。


無理なお願いをしている
頼みごとばかりしている


このような状態では、相手に負担をかけるので、「なにか、相手の喜ぶこともしなくては」と考えてしまいます。
これは、自分への心理負担を軽減しようという「感情バランス」の働きなのです。
しかし、もっと直接、心理的に恩を受ける状態もあります。


それは、「好意」を受ける場合などです。

好意を受ければ、好意を返す
好きになれば、好きになってもらえる

というように、心理的に「ギブ&テイク」を行おうとするものです。
これを、特に「好意の返報性(または互恵性)」といいます。


「好意の感情のバランスをとろうとする」心理作用です。


簡単に言うと、好きになってくれる人を好きになるという心理です。
「好意のギブ&テイクは、人間関係、とくに恋愛関係の基本」です。

あなたが、好きになれば相手も、あなたを好きになります。
なので、相手に恋人がなくフリーであるなら、あなたの気持ちを伝えれば、恋愛に発展する確率はそれなりに高いのです。

自分が好かれていると分かれば、その人を無視することは出来なくなります。
そうして、相手を気にしていると、だんだん好きになってしまうのです。


こんな実験があります。

事前に、あいてが自分に好意を持っていると知らされている場合と、事前に、相手が自分を嫌っていると知らせられる場合、相手に対する印象に違いがでるか調べたものです。


好意を持っていると知らされている場合、相手の印象は、リラックスできる楽しい人という好印象になります。
嫌っていると知らされる場合は、不安で楽しくないという印象になります。

自分のことを好きなことが分かっている相手には、良い評価をします。好意的に相手を見るということです。

この返報性という心理は、人間関係のいろいろな心理に影響します。
例えば、「自己開示をすると好意的になっていく」ということがあります。
これも返報性の影響です。


■印象操作への心理

それでは次に、印象操作について、お話します。

自分の印象を、相手の好みに合わせて操作する心理

これは頻繁に行われており、ビジネス、恋愛の場に限った事ではありません。


相手に好意をもってもらおうと思えば、相手の考えに合わせようとするのは当たり前の心理です。
自己是認欲求があるように、「YES!」という返事を非常に期待しているのが人間です。

あなたに気に入られたいと考えれば、あなたのことを肯定する言動をとるものです。イエスマンの心理です。
イエスマンというと、良いイメージではありませんが、イエスマンに徹することは、気に入られる方法としては、一番てっとりばやい手です。
そして恋愛に対しては誰もが、イエスマンになってしまうのです。


心理学の実験で、こんなのがあります。

プリンストン大学の女子学生に、自分はキャリア志向か、家庭志向か確認します。
その中のキャリア志向と答えた、女子学生に実験をおこないました。

このキャリア志向の女子学生には、第一印象に関する実験として参加してもらいます。

まず、相手の男性のプロフィールが渡されます。

・21歳
・身長183センチ
・同じプリンストン大学3年生
・趣味は、ドライブとスポーツ
・恋人募集中
・理想的な女性は、物腰が柔らかく家庭的で、人前では夫をたてる女性(すなわち家庭的な女性が好み)


ここで「相手に、あなた方の情報を渡すので、質問用紙に記入してもらいたい」と説明し、女子学生に質問に答えてもらいます。
その質問には、女子学生には分からないように、「キャリア志向か、家庭志向か」を判別する質問が入っています。

その質問への回答を分析したところ、「家庭志向」となる回答をした女子学生が多かったのです。
キャリア志向であると言っていた女子学生が、かっこいい男性の好みが「家庭志向」であれば、あっさりと意見を変えてしまうのです。


好意をもってもらいたい人には、その人に合わせるという無意識的な行動です。
こういう当たり前の行動でも、科学的に確かめていくのが、心理学です。


■認知的不協和理論

認知的不協和理論とは

心の中にある矛盾を解消しようとする心理作用


言動や感情などに、つじつまをあわせようと働く心理です。
普通、好きな人にはプレゼントしたり、助けてあげたり、こちらが何かしてあげようとします。

嫌いな人には、そういう行動を起すことはありません。
そこで、あなたが仕事の手伝いを頼まれ、それを受けたとします。


あなたの心(無意識)のなかでは、

「何故、手伝うことを了解したのだろう?」

「嫌いな人を手伝うはずがない」

「自分は、この人が好きなのだ」

「そうでなければ、自分の行動は、矛盾する」

という心理が働きます。

そういう心理的矛盾を解決しようといつのまにか、あなた自身が、自分の行動に納得いく説明を考えてしまうのです。

ちなみに、認知不協和理論は、心理学者フィスティンガーの考えた有名な理論です。
これは、世の中のあらゆる状況に対応している理論で、ビジネスや恋愛に限った事ではありません。


例えば、以下のようなことがそうです。

・喫煙者の自己正当化。
・自分の考えを否定されたとき、否定したヤツがバカだと納得すること。
・購入した商品に悪評が立ったとき、良い所を探して納得すること。

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