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80年代、それはテープでしか聴けないベストアルバムだった


はじめに

 80年代、ミュージック・カセットテープは、レコードとは違う音楽世界を創り出していた。今回は、その一端となるベストアルバムの話をしよう。

1.80年代、ベストアルバムがないと言われたあの人も

 2000年以前のユーミンはベストアルバムが少なく、70年代に2枚リリースしているが3枚目は1998年となり、80年代はゼロでまったくの空白期間だそうだ。しかし、これはLPレコードにかぎった話のようで、カセットテープはまったく状況が違っていた。

 カセットテープ「松任谷由実 / DESTINY」(ZH33-1001)は、1981年に東芝EMIが、BEST NOWシリーズで制作したユーミンのベストアルバム。このBEST NOWシリーズは、ベンチャーズ、ビーチボーイズ、オリビアニュートンジョンをはじめにアリスやチューリップなど多数のアーティストのベストアルバムを並べていたらしい。

2.カセットテープでしか聴けないベストアルバム

 このカセットテープのスリーブ裏面に「テープでしか聴けないベスト・アルバム決定版!」と書かれている。つまりこれはカセットテープのためにレコード会社が独自に企画・制作したようだ。それは収録時間にも表われていて、片面36分(両面72分)となっている。これはLPレコードであれば2枚組になる収録時間、それが1本のカセットテープに収録されているのだ。

3.カセットテープはベストアルバムの宝庫

 80年代のユーミンのベストアルバムと思われるカセットテープの情報を探したら、1980年「BEST NOW 松任谷由実」、1981年「BEST NOW 松任谷由実 / DESTINY」、1982年「BEST NOW 松任谷由実 / 守ってあげたい」と3本のベストアルバムが見つかった。これに1979年「ユーミン大全集」を加えれば、ベストアルバムは合計4本となる。このようにカセットテープはベストアルバムの宝庫だった。

4.まとめ

 レコードに比べてミュージック・カセットテープは情報が少なく、なかなか全体像がつかめないが、ベストアルバムなど独自に制作を行っていたことは間違いない。いままではさほど気に留めていなかったが、これから大切にしたいと思う。なにしろ、これは「テープでしか聴けないベストアルバム」だから。

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