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SEIKO売上向上施策

最近アップルウォッチなど、スマートウォッチをしている人が増えてるイメージ。これは腕時計メーカーからしたらピンチなのか?


お題

SEIKOの年間売上と売上向上施策を考えろ。

SEIKO年間売上のフェルミ推定

前提の確認:今回は国内での腕時計事業のみの売上を推定する。
本来はクライアントからもらえるデータだが、実際推定すると国内の腕時計市場からSEIKOシェア率を算出することで売上を求めることができる。

SEIKO年間売上 = 日本人口 x 時計保有率 x 平均購入数 x 購入頻度 x 単価 x SEIKO選択率

注目点:「時計保有率」「 SEIKO選択率」
「時計保有率」は年齢でセグメントできる。感覚で言うと0-20歳はほぼ時計しないで社会人になると時計保有率が上がってくるイメージ。60歳以降になると子供に時計をあげたり保有率が下がってくる(仮説)。具体的に考えるとホワイトカラー社会人(労働人口の半分)の着用率は100%に近そう。時計を趣味でしている層とか含むと大体60%ぐらいか(年齢層の比率からセグメントするともっと正確な数値を出せる)。

「SEIKO選択率」は腕時計市場のシェア率を表している。国内TOPのポジションからシェア率は20%ぐらいある感覚だ。しかしここで気をつけなければいけないのはスマートウォッチが腕時計市場に含まれてる点だ。となるとシェア率はもっと低いだろう。10%ぐらいかな?

年間売上= 72,000,000,000 JPY (720億円)
120,000,000 x 0.6 x 1 x 0.2 x 50,000 x 0.1 = 72,000,000,000
- 日本人口:1億2000万人
- 時計保有率:60%
- 平均購入数:1本
- 購入頻度:5年に1本(0.2本/年)
- 平均単価:5万円
- SEIKO選択率:10%

サニティーチェック(数字に妥当性はあるのか)
SEIKOの年間売上(腕時計以外の事業含む)が1~2兆円ぐらいだろう。となるとその中核事業の腕時計事業の割合は50%かそれ以上なはず。720億円(1.4兆円の50%)はちょうどいいのではないか。

「供給ベース」のアプローチ?
今回は「需要ベース」で売上推定をしたが、供給で考えるとどうなるのか?

SEIKO年間売上 = 年間時計製造数 x 売却率 x 単価

このアプローチは3つ課題点がある。
① 「年間時計製造数」は結局「需要ベース」。製造本数を分解すると「どのくらいの人がSEIKOの時計を今年買ってくれるか」となる。
②「年間時計製造数」だけじゃMECEではない。売上計算する際、昨年売れ残った時計も売上に入るはず。
③ 「売却率」が曖昧。強いて言うならば「売却率」を季節ごとにセグメントできるが、トレンドは掴めても実際の数値設定するのは難しいだろう(例:繁盛期の売却率が閑散期より20%高くても閑散期が10%か60%で数字にブレが出る)。

今回は「需要ベース」が妥当だろう。


売上向上施策

① 現状分析

そもそも腕時計ってなんでするの?
理由としては「機能性」か「ファッション性」に限られるのではないのか。セグメントによって優先順位が変わるだけ。

どんな人が腕時計する?しない?
ホワイトカラー社会人は腕時計をしているイメージ(腕時計=お仕事 [time is money])。スポーツによっては時計する・しない分かれそう。ダイバーとかランナーは時計しそうだけど、格闘家とかは絶対しない(出来ない)だろう(一部のプロ選手が付けてる高級時計は「趣味」として別のセグメントと考える)。他には子供とかは時計してないよね。

競合は?
① 国内外他社腕時計メーカー
② 代替品(スマホとか)
この2つの点から腕時計売上は低迷してるのではないか。

市場でのクライアントのポジションは?
高級時計セグメントの登竜門。初めて買う高級時計。特に日本では値段的にもブランド的にも「派手」じゃない点が好まれてそう。「高すぎない高級時計」。幅広い層に売ってるイメージ。

「価格」と「派手度」を軸にマッピングした高級時計ブランドのポジショニング

クライアントの強みってなんだっけ?

  • 技術力

    • 高い技術力が詰まっている商品を比較的に低価格で購入できるお得さ

  • ブランド力

    • 日本を代表する時計ブランド。ジャパンクオリティー。性能が保証されてる

ちょっと深く考えてみる:腕時計市場の「ルール」
① 時計は腕にするもの。そもそも時計以外の機能をつけられないのか?
② 時計購入時払うのは時計の値段+保証だけ。サービスをつけたり出来ないか?
③ 時計作りは職人技。素人でも時計を作る・直すこと出来ないか?


② 売上=個数 x 単価

SEIKO年間売上 = 日本人口 x 時計保有率 x 平均購入数 x 購入頻度 x 単価 x SEIKO選択率

パラメターあげると売上向上につながる。売上向上を軸にインパクトがある変数を整理してみよう。
- ◯:「購入頻度」「SEIKO選択率」
- △:「時計保有率」「単価」
- ×:「日本人口」

「個数」か「単価」
「個数」:「新規」と「既存」で分けられる。「既存客」の施策として顧客維持を軸に考えて「新規層」を狙うのが現時点で売上向上につながるだろう。

「単価」:腕時計市場においては競争が非常に激しく、代替品も多く存在するため、現在のブランドで単価を上げることは現実的ではない。例えば、Grand Seiko(SEIKOの最上級ブランド、数百万円~)のようなブランドがあり、1000万円以上の超高価格帯セグメントへの参入も検討できる。しかし、このセグメントへの参入には、Grand Seiko商品との間でカニバリズムのリスクが生じる可能性がある。加えて、超高価格帯の時計はたとえ売れても販売数が数十本(1年目)、推測される売上の1%にも達しないことが予想される。そのため、現実的な対策としては、同じ価格帯のモデルを競合他社とベンチマークし、価格を調整することが考えられる。

「新規」か「既存」
「個数」を増やすのは「SEIKO選択率」を増やすこと。SEIKOのシェア率から「新規客」に今回は集中する。そうすると「他社の顧客」「時計新規客」に分解できる。


「他社の顧客」に対しての戦略:
時計購入の不満を考える。
① 飽きる
② メンテナンスの面倒さ

施策①:時計バンドの販売
時計の利用目的「ファッション性」の視点からすると時計は服装と合わせるもの。見た目が変わらない時計は飽きられてしまう。アップルウォッチみたいに別売りバンドを導入することで目的別に見た目を変えられる柔軟性を提供してみたらどうか(5千円 x 2本 x 10万人 = 10億円)。

施策②:メンテナンスサービスの提供
メンテナンスは「高い」「時間かかる」。差別化要因として時計購入時、1年以内ならメンテナンス無料提供するのはどうか。1年以内なら負担少なく、すぐメンテナンスが終わるはず。届け先記入済みの安全郵便パックを用意して手間を減らす。1年目以降は割引から導入してサービスを収益化する。しかし、真似されるリスクがあるから特許とかで守りたい。


「時計新規客」に対しての戦略:
時計しない層は誰か。
①「子供」
②「興味ない大人」

施策③:新商品の開発
「子供層」:購入者である親は子供の「安全」「成長」を重視している。そのため、子供用キャラクターデザインが施された防犯機能付き時計の開発など考えられる。また、子供が自分で作って学べる時計教育キットの提供や、プログラミング機能がついたデジタルウォッチの販売も考えられる。

「大人層」:大人向けの製品に関しては、「時計」を「玩具」として定義し、プラモデルのようなニーズを掘り起こしてみたらどうだろうか。SEIKOの技術力を活用し、素人でも簡単に時計を組み立てられるキットの販売をする。また、「時計」を「アート」と定義し、SEIKOの技術を用いて現代美術界への参入も考えらる。美術館、不動産デベロッパー(法人)、富裕層(個人)への貸し出しや販売を通じて、新たな市場開拓も検討できる。

施策④:新規事業
B2Bの視点からはどうだろうか。SEIKOの強み「技術力」をサービスとして提供できないか。繊細な作業をこなす人材と機材を持っているのでロボット開発など受託できないか検討してみる。


まとめ

  • 施策①:時計バンドの販売

  • 施策②:メンテナンスサービスの提供

  • 施策③:新商品の開発

  • 施策④:新規事業(ロボット)

クライアントにどの期間でどこに経営資源を集中するのかアドバイスしてみよう。「現実性」「コスパ」の軸で整理すると:

短期(〜1年):メンテナンスサービスの提供
中長期(5年〜):時計バンドの販売、新商品、新規事業の投資

特に施策③、④は既存事業、商品、競合への影響を慎重に検討しながら考える必要だろう。完璧ではないがケース面接では時間が限られてる点からこのぐらいできればいいだろう。強いて言うならば施策を実行する際の手段、課題について面接官は攻めてくるだろう。

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