まとめ:合成ダイヤモンド、人工ダイヤモンドの違いについて
2013年、10月の中頃、Rapaportがメレーダイヤモンド、ポインターに合成ダイヤモンドが混入の疑惑ありと報告、10月31日、The Times of India でインドで天然ダイヤモンドメレーに合成ダイヤモンドが半分混入したパーセルが2つ見つかったと掲載。
ポインターは、 0.3カラット以上、1カラット未満のダイヤモンドのこと。
Rapappoptは、代表が、マーチン・ラバポート氏。「ラパポート・ダイヤモンド・レポート」(RDR)を発行、ダイヤモンドの世界的な基準値といえる「ダイヤモンド・プライスリスト」が掲載されている。そのプライスリストをネットでメンバーのジュエリー業者に有料で閲覧できる仕組みを構築。ラウンドブリリアントカットのダイヤモンドだけでなく、プリンセスカットのプライスリストもある。ただし、閲覧できるのは、ダイヤモンド業者に限る。
では、まず合成ダイヤモンドについてのマトメにはいる。
人類が始めてダイヤモンドの合成に成功したのは、1955年。ダイヤモンドを高温高圧下で成長させる方法で、約20万気圧、2000℃以上という条件で成長させる高圧合成法により、大量のダイヤモンド粉末が工業的に生産可能となり、研磨用のダイヤモンド砥粒として、あるいは、再度高熱高圧を加えて焼結成形することにより、焼結ダイヤモンド工具として広く用いられている。
産業界で用いられるダイヤモンド材料は、ほとんどが高圧合成ダイヤモンドで占められている。
1980年代の初め、日本の研究グループが世界に先駆けて、ガス原料を用いた気相成長法によるダイヤモンド合成に成功。
気相合成法によるダイヤモンドは、膜状である。気相合成法は、高圧合成法と比べて小型かつ簡便で、任意の形状にコーティングできることから、機械工具などのハードコーティングやエレクトロニクス分野での応用に利用されている。
ダイヤモンドの合成法は、「高圧法」「低圧法」に大別できる。
高圧法には、油圧プレスで試料を加圧する方法として「静的高圧法」と、爆薬の爆発の加圧によって試料を加圧する「動的高圧法」がある。静的高圧法には、黒鉛単体に高温高圧をかけダイヤモンドに変換させる「直接変換法」、鉄やニッケルなどの炭素を大量に融解する金属のなかにダイヤモンドを析出させる「融剤法」がある。
高圧・高温法は、「HPHT~High Pressure High Temperature」と、気相合成法は、「CVD~Chemical Vapor Deposition」と表記される。
HPHT処理ダイヤモンドは、ダイヤモンドを合成する高圧(High Pressure)高温(High Temperature)発生装置を使い、TypeⅡa のブラウン系の天然ダイヤモンドを無色やほぼ無色にする「GE POL」ダイヤモンド、TypeⅠa のブラウン系のダイヤモンドをイエローイッシュグリーンやグリーニシュイエローにする「NOVAダイヤモンド」が市場に出てきて話題になった。
Ⅰ型、Ⅱ型というのは、窒素含有がⅠ型、ほとんど窒素が含有していないのがⅡ型である。Ⅰ型のなかで、窒素が集合状態にあるのがⅠa型、窒素が拡散しているのがⅠb型。実質的に窒素をほとんど含有しないⅡ型も、最も純粋なタイプをⅡa型、不純物として硼素を含有するタイプをⅡb型と分類。ダイヤモンドはこの4つのタイプに分類される。
参考:「GE POL」は、ゼネラル・エレクトリックのGEとラザール・キャプラン・インターナショナル(LKI)の子会社でペガサス・オーバーシーズ・リミテッドのPOLを組み合わせた名称。
「NOVAダイヤモンド」は、ユタ州に本拠を構えるノバテクの子会社の名称。
2004年、CVD(化学気相法)による、合成ダイヤモンド、特に、宝石品質合成ダイヤモンドが完成したことでジュエリー業界が騒然となった。なぜなら、天然ダイヤモンドと合成ダイヤモンドの看破にかかわる問題が派生するからだ。
ボストンにあるアポロダイヤモンド社は、2004年初頭より、宝石品質のCVD合成ダイヤモンドの製造を始めた。アポロダイヤモンド社によると、宝石質CVD合成ダイヤモンドの製造は、当初年間5,000~10,000ctを目指し、その後生産量を増やす予定であった。
この種のダイヤモンドを正確に鑑別するには、ダイヤモンドシュア、紫外可視光線分光光度計、FTIRなどで正確にダイヤモンドのタイプを判断し、その後、フォトルミネッセンス分光特徴、ダイヤモンドビューによる画像特徴により識別が可能という報告が、当時のGIAのジェム&ジェモロジーで報告されていた。
FTIRは、フーリエ変換赤外分光光度計のことで、ここでは詳細は省く。
合成ダイヤモンドについて、長々とした説明になってしまった。
では、人工ダイヤモンドとは、どういう石なのかというと、一般的に、キュービックジルコニアや、合成モアッサナイトが知られているが、ダイヤモンドと一定の科学的特性、物理特性をもつが、天然ダイヤモンドと異なる人工的に作られた「ダイヤモンド類似石」のことをいう。
合成ダイヤモンドは、天然ダイヤモンドと科学的、物理的特性は同じで、実験室で作られたダイヤモンドを「ラボ グロウン ダイヤモンド」と言い換え、2024年現在、市場でダイヤモンドブランドジュエリーとして流通している。
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