フラフラ

 大学を卒業して4月になったのに、なにもせずに1週間がすぎた。何もしていないとお金は減っていくばかりで、暇な時間をどうにか減らすために、これまた何もしていない恋人と過ごすために片道1時間半かけて会いに行っている。この前はお昼すぎに起きて、コンビニでタバコとジュースを買ってから手を繋いで土手まで散歩した。騒がしく帰る小学生を避けていたら、なんだか世間に後ろめたい気持ちになった。散歩は気持ちよくてそのまま二駅分歩いたし途中でアイスも買った。

そうやってゆるやかにたっぷり過ごしていると、このままでいいように思えてしまう。

 別の日に恋人と会った帰り道で、川上未映子の『愛の夢』の中でマカロンがでてきたことを思い出して無性にマカロンがたべたくなった。もう夜の22時だったけれど、帰り道だからと、途中にあるコンビニに寄った。本にはマカロンのことを「名前がすごく間抜けだし、中身がないのにそれっぽいってだけで重宝されて」「第一おいしいとおもったことなんてこれまでのただ一度もない」と書いてあったのだけれど、久々に食べたマカロンはびっくりするほど美味しかった。コンビニのスイーツはいつも期待しないようにしている。いつもなぜか期待しすぎてしまってそこまでじゃないと食べてがっかりするから。でもマカロンは期待してなかったから本当に驚いた。

いつから期待できなくなったのだろう。
期待できないのではなくて、期待をしなくなった。
期待をしないおかげか傷つくことが減った。でも傷つくことが減ったせいか人の痛みに鈍感になったと今の恋人と出会ってから気づいた。

恋人は期待する人だ。たくさん期待をよせて、私がそれにそぐわないとすぐ裏切られたと感じてしまう。その感覚がわからないけれど、「もう何を考えているかわからないよ」と深く悲しむ彼を見ていたら申し訳ないことをしてしまったといつも反省する。もう夜の3時なのに、恋人を機嫌悪くさせた後だからか気が張ってなかなか落ち着かなくて、全身が痒くなって、コソコソ掻いていた。そしたら恋人はその怒りを、これじゃあ寝れない最悪だよ まで達していた怒り、中断してこちらの手を掴んで「どうしたの?落ち着かないの?」と言った。その拍子にアホみたいに涙が出て来て、首を横に振ることしかできなかった。
ベッドから出た恋人は保湿クリームを取って帰って来て、掻いていた箇所に塗ってくれた。その後、怒られて落ち着かないだけのわたしに、「アイス食べる?」と聞いた。それなのに私は相変わらず首を振るしかできなかった。いつ買ったのかわからない業務用のバニラアイスを用意して2人でちびちびたべた。
きっと恋人はやっぱり私のことがすきで、わたしはそんな恋人を改めて好きだとおもった。衝動的な怒りが勝っちゃう恋人が全部横に置いてわんさか泣いてる私にとてもとても深い優しさを注いでくれるさから、わたしはその期待にちゃんと応えなきゃいけないなと思ったよ。


眠くなくて、何を書くかすっかり忘れたこの日記の続きを埋めていたら朝の四時をすぎてしまったけど、この後の12時にはカレーを食べに行くの。おやすみなさい。

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