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仁澪132号


大阪公立大学医学部創立80周年記念事業のご案内

巻頭言 公益法人!

昭和53年(1978年)卒 仁澪会 副理事長 公益法人化対応担当
淀川キリスト教病院老人保健施設 施設長 中村  肇

 2024年度も始まりました。大阪市立大学から大阪公立大学に移行して2年たちましたが、医学部医学科は従来通り95名の新1回生を迎え順調に走り出しています。さて、今年度は仁澪会も一般社団法人から一般公益法人へ大きく舵を切る時を迎えることになりました。平成28年に一般社団法人になり8年が過ぎようとしていますが、今年度中に公益法人の申請を出す予定になっております。昨年度から会員の皆様に会費の値上げをお願いし、多くの皆様のご理解とご協力により財政を立て直すことができたことで申請に至れるようなり、公益法人化担当理事として心から感謝いたします。ここで少し公益法人についてお話させていただきます。ご存じのように公益法人になりますと法人への寄付が非課税となり、ご寄付いただいた方々に税法上の優遇が与えられます。そのかわり公益法人はその名の通り公益事業を行うことが求められております。すなわち、仁澪会もその大きな目的の会員相互の親睦を深め、学術の交流を図り、母校の発展に寄与するということにとどまらず、不特定かつ多数の者への利益の増進に寄与するものとして活動しなくてはなりません。公益法人を規定する法律も変化してきております。そもそも公益法人の仕組みは明治29年、1896年に慈善事業をサポートする目的で創設されましたが、一部の法人が自らの利益を確保するために利用するようになり、平成18年に新公益法人制度に大変換されました。そのなかで、「公益法人は、学術、技芸、慈善、その他の公益に関する別表各号に掲げる種類の事業であり、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものとする」という厳しい定義がなされています。この中で特に不特定多数の者の利益という文言が厳しく問われており、従来の同窓会から一歩も二歩も前進した同窓会であって、自らの利益を追求しないことが強く求められているのです。税の優遇を悪用することがあったため、現在は収支の公益性について極めて厳しくチェックされるようになっています。このことは公益法人を運営する理事等の役員にも厳しくチェックが入ります。我々の法人ではないのですが、小さな法人で身内だけで役員を固めることは違法となり公益法人になれません。われわれも同じ集団に所属しているものが三分の一以上いてはならないという規則があります。大阪公立大学医学部教授会のメンバーも三分の一以上入ることができないというルールなのです。また、公益性を保つため公益事業が収益事業よりも多くなければならないとか、会計処理もかなり厳しくチェックされるので事務局はさらに忙しいことになると予測されます。何とか公益申請をクリアし、2025年春に一般公益法人を名乗れるように頑張りたいと思っております。
 さて、本年10月27日の日曜日に医学部創立80周年記念行事が大阪国際会議場とリーガロイヤルホテルを会場に開催されます。第一部の大阪国際会議場では主に一般市民の方を対象に市民公開講座を開催し、第二部のリーガロイヤルホテルでは記念式典と懇親会が行われます。同窓会も公益性の視点から第一部の市民公開講座を中心に共催させていただく予定になっております。創立80周年記念行事を盛会にするため、会員の皆様も是非第二部に出席いただきますようにおねがいいたします。
 2024年4月に医療・介護・障害の同時改定が行われましたが、コロナ禍で大打撃を受けた医療業界や介護業界は厳しい状況に変わりないものと思っています。人生100年時代を迎え、寿命も平均寿命の考え方から、健康寿命が重要といわれるようになり、最近では幸福寿命という考えも提唱されてきています。単に生きるだけでなく、同窓の皆様と一緒に幸せな楽しい人生を歩みたいと思っております。今後とも会員の皆様のご支援ご鞭撻を賜りますようよろしくお願いいたします。   2024年3月31日

理事だより 留学のすすめ

大阪公立大学大学 医学部IR室
1997年(平成9年)卒  栩野 吉弘

 昨年の夏に突然、英語のメールが届いた。書き出しはこうだ。
“I have some distressing news! An old guy is coming to see you again! He may even try to hug your wife too!”
日本語訳すると、「残念な知らせだ、年寄りがまたお前の元にやってくるぞ!そいつはお前の妻をハグしようとしたりするかもしれないぞ!」といったところだ。こんなまわりくどい言い回しをするメールの相手はあいつしかいない。ジョーンズ(仮名)だ。彼と最後に会った日のことを思い出した。私は、西大寺駅のホームでジョーンズを見送る時に、「君は私の家族だから、いつでも我が家に泊まりに来ていいよ。また会えるのを楽しみに待ってるよ」と言って見送ったような気がする・・・・・。また、彼に心地よく振り回される日々がやってくるのだと胃酸が逆流するような感覚を覚えた。
小説風に書いてみましたが、このメールはジョーンズからの「大阪に行くよ=栩野家に泊まりたい」という普通にうれしい知らせでした。彼との出会いは15年前、私の研究留学先です。その町は、アメリカンフットボール(NFL)、ベースボール(MLB)、アイスホッケー(NHL)のチームはありますが、バスケットボール(NBA)のチームはありません。彼は、私が留学するラボ(研究室)のテクニシャン兼マネージャー?で、家主でした。私は子供2人(11歳、1歳)と妻を連れて家族4人での留学でしたので非常に不安でしたが、せっかくアメリカに住むのならとジョーンズからのオファーがあった一軒家を借りることにしたのです。彼は三軒隣にパートナーと住んでおり、空港まで車で迎えに来てくれた時が初対面でした。空港から、アメリカのマイホームまでの車中での会話はほとんど理解できずにニコニコしているしかなかったのは苦い思い出です。今では、遠回し表現の彼の英語のせいだと思うようにしています。ジョーンズは、常に私たちを気にかけてくれて、近所の人たちを紹介してくれたり、アメリカの文化やしきたりを教えてくれたりと本当にありがたかったです。
 当時(今もかもしれませんが)、日本からの研究留学では、apartment(マンション)に住む人がほとんどという状況で、一軒家にすむのは珍しいことでした。夏は日が長く、隣近所ではバックヤードで夕陽を眺めながら、ロマンチックな時間を過ごしていましたので、我が家もまねて、自家製のピザにビールを飲みながら家族と過ごした時間は至福のひと時で、異国の文化を実感しました。
 たくさんの思い出がある中で、特に印象に残っているのは、Halloweenの夜です。そうです、Trick or Treatの本物です。その日は、留学中の日本人家族たちが集まるパーティを我が家で開催し、5家族以上が集まっていました。子供たちは、着ぐるみで仮装して、近所の一軒家を順番に回り、Trick or Treat!たくさんのお菓子を持って帰ってきました。笑顔がはじける子供たちは本当に楽しそうでした。もちろん、我が家にも来ました。本物のアメリカ人の中学生集団、アメリカらしくいろんな人種の人たちが我が家に来てTrick or Treat!震えそうになる手でお菓子がいっぱい入った瓶を差し出したときは、びびっていました。
 書きたいことはまだまだありますが、留学するということは、異国に住むということです。住んでみて初めて分かることがいくつもありました。常々、私が思っているのは、「新しい世界に飛び込んだ人にしか見えない世界がそこにはある」ということです。新たな挑戦の一つとして、海外留学を強くおすすめします。留学は大変なこともありますが、今振り返るといいことばかりが思い出されます。私はアメリカ留学で人生が変わりました。こんな経験をさせてくれたジョーンズには感謝しかありません。あ、ジョーンズの今回の大阪訪問の話を忘れてました。4泊5日で盛りだくさんのことがありましたが、詳細は機会があれば次回に、ということで、今回は写真を1枚だけ載せておきます。

『第46回卒後研修会』開催報告

大阪公立大学大学 医学部IR室
1997年(平成9年)  栩野 吉弘
一般社団法人仁澪会 理事 2008年卒(平成20年)卒  奥 知久
(医療法人ぼちぼち会 おく内科・在宅クリニック 院長)

 大阪公立大学医学部にて、第46回卒後研修会が開催されました。毎年恒例となっているこの研修会は、仁澪会の主催のもと、多岐にわたる医学的知識と臨床経験の共有を目的としています。
 仁澪会の生野弘道理事長の挨拶の後、4名の研修医からの症例発表がありました。1年次研修医の2人からは足関節痛や嗄声といった兆候から考えられる鑑別疾患について、丁寧な診断プロセスを含む発表がありました。2年次研修医の2人からはNeurolymphomatosisの1例やShared decision makingの重要性についてなど診断困難事例や臨床医として非常に実践的で悩ましいケースについて提示がありました。板金 広副理事長からは「圧痛というのは極めて大事な所見。単に痛いか?ではなく押して痛みの程度に変化があるか?という細やかさで診察する必要がある」等の診断に関するベテランならではのコメントもあり、深いディスカッションとなりました。
 後半は医療法人ぼちぼち会 おく内科・在宅クリニックの奥 知久医師による「Advance Care Planning(ACP)と社会復帰支援」というテーマでのレクチャーがありました。「あなたが救急外来で確認したそのDNARはACPと言えますか?それとも違いますか?」という投げかけから始まり、“ACP”という少し理解しにくい言葉を様々な角度からの解説がありました。
主なポイントは以下でした。
●ACPは“プロセス”でありDNARやAdvance Directiveを含むがそれより広い意味を持つ
 (※1 図参照)
●ACPはいつでも進められるがタイミングを見つけよう。Surprise Question(※2)などが役立つ。
●価値観は直接は聞きにくい。出身地を聞いてライフヒストリー等から聞き取ろう。

(※2:「この患者さんが1年以内に亡くなったら驚くか?」と医師自身が自問自答し、「驚かない」と思うのならば緩和ケアの提供を始めたほうがよいとするもの)「医師として大切なことはやはりその“人”をみること。回診でサイドテーブルの上を見てみよう」と首藤太一副理事長から若手へのアドバイスがありました。

 増田 博副理事長から本研修会の歴史の話とともに最後を締めくくる閉会の挨拶があり、盛会のうちに終了となりました。
 本研修会は卒後研修の機会として本学に関わる若手、ベテランが学び合う大切な機会でしたが、今回で一旦役目を終えることになります。これまで関わってくださった方々に御礼申し上げるとともに今後の皆さまのご活躍を祈念いたします。

参考文献
※1:紅谷浩之, & 奥 知久
「[総合診療] 達人伝/7つのコアコンピテンシーとその向こう側/4人間中心の医療・ケア」 総合診療, 31(4):519-526.2021.
※2:Matteo Moroni, et al.
"The ‘surprise’question in advanced cancer patients:a prospective study among general practitioners." Palliative medicine 2014;28(7):959-964.

令和5年度医学部医学科「白衣授与式」報告

仁澪会副理事長/医学部医学科長・教務委員長 首藤太一

 令和5年12月23日(土曜日)に、令和5年度医学部医学科「白衣授与式」が開催されました。
 6年間の医学科教育のうち、最後2年間の臨床実習は、かつてはポリクリ(Poly Clinical Study)、SGT(Small Group Teaching)などと呼ばれていましたが、現在はClinical Clerkship(参加型臨床実習:CC)と呼称します。このCCに臨むには、共用試験実施機構が全国一律で行うふたつの試験、すなわち、CBT(Computer Based Test;知識試験)とOSCE(Objective Structured Clinical Examination;実技試験)の両方にパスして、全国医学部長病院長会議からStudent Doctorとして認められる必要があります。令和5年度からは共用試験が「法制化」され、Student Doctorには一定の条件下で医行為を行うことが合法化されたことは、医学教育分野のTOPICSです。それだけに突破するのが困難となりましたが、今年は96名がパスし、年明けからのCCに参加できることとなりました。
 白衣授与式はWhite Coat Ceremonyとも呼ばれ、本学では8年前から開催しております。Student DoctorとしてCCに臨む彼らのmotivationを大いに高める効果があります。河田則文医学部長の祝辞に続き、来賓として出席されました生野弘道仁澪会理事長からは「清潔な白衣を身につける心構え」を今回も熱く語っていただきました。また新任教授は就任3年以内に一度は本式に出席することが求められております。今回も乳腺外科:柏木、消化器外科:前田(写真前列左から2名)、病理診断科:孝橋、膠原病内科:橋本(写真前列右から2名)の4人の教授も参列されました。
 前回からご家族にも参加いただけるようになりましたので、式終了後にはまっさらな白衣をまとった彼らとご家族との写真撮影会となり、あちらこちらで笑顔がはじけた良き式典となりました。ありがとうございます。

令和5年度大阪公立大学医学部医学科謝恩会

中居 暉(令和6〈2024〉年卒・謝恩会実行委員代表)

 令和6年3月22日、吹きくる風も心地よい季節となり、日差しもすっかりやわらかく感じられるこの日、大阪市立大学医学部医学科の卒業生102名が第73期の学位記授与式を迎えました。その後、令和5年度大阪公立大学医学部医学科謝恩会が19時より帝国ホテル大阪エンパイアルームにて開催されました。ドレス姿の卒業生が会場の雰囲気を華やかなに彩る中、6学年にわたりお世話になりました皆様が、大きな拍手に迎えられて入場されました。
 江川可那子さんと小田有亮くんの司会で開会しました。医学部長 河田則文先生にいただいた開会のご挨拶では、「失敗して学ぶこと」「変わることを恐れない」「一瞬一瞬、充実感を持って過ごす」というメッセージがありました。仁澪会理事長生野弘道先生によるご来賓の挨拶の中では、「わかりやすく相手に伝える」「論理的に説明する」「人の心を掴む」「傾聴力・共感力・社交性を持つ」といったコミュニケーションのとれた優しい先生になるためのお話を頂戴いたしました。次に、みおつくし会松田靖史会長よりご来賓の挨拶がありました。患者さんの気持ちを考えて医療に取り組む姿勢についてのお話をされ、患者さんに愛情を持って接し、より良い医師になってほしいというメッセージをいただきました。乾杯のご発声は病院長中村博亮先生に頂戴いたしました。ご挨拶いただくにあたり、ご自身の第31期卒業アルバムをご覧になったとのことで、「楽しい思い出」「美しい思い出」が多く、「同級生はかけがえのない存在」というお話と共に乾杯があり、開宴いたしました。
 今年度の謝恩会では、卒業生の強い思いもあり、あべのSP本舗の皆様にもご出席いただきました。卒業生と恩師の皆様が、自由に歓談し、大いに盛り上がったように思います。そして、卒業記念品は、卒業生代表栩野真帆さんから首藤太一教務委員長と大西毅学務課職員に贈られました。その中で触れられた「給料の半分は“我慢”への対価」「初任給で両親に食事を招待すること」といったお話、心に刻んでおきます。卒業生代表の謝辞は、賀陽亮麻呂くんが述べました。安全に実習や授業を行うために、先生方や職員の皆様には多岐にわたりご尽力いただいたこと、心より感謝申し上げると共に、高いレベルで「智・仁・勇」を体得し、社会に貢献できるよう精進するという決意が述べられました。
 卒業生の作る花道を、恩師の皆様が大きな拍手の中退場され、盛会裏に謝恩会は終宴となりました。最後に、開催にあたりご尽力くださいました先生方、職員の皆様、委員の学生に重ねて感謝を申し上げると共に、大阪公立大学のさらなる発展を祈念いたしまして、令和5年度大阪公立大学医学部医学科謝恩会のご報告とさせていただきます。

福島若葉(平成10〈1998〉年卒・同窓会理事)

 謝恩会に出席させていただいた教員の1人として、改めてのお祝いを申し上げます。学部教育などを通して、皆さんの成長を折々に感じてきたところではありますが、謝恩会当日は、学業を立派に修められた堂々たる姿を拝見し、感無量でした。同じテーブルの皆さんからは、卒業旅行のこと、将来考えている診療科など、たくさんお話を聞かせていただきました。皆さんから「先生はなぜ今の仕事をすることになったのですか」と尋ねられた中で、私からは、「人との出会いを大切に」という言葉を贈りました。
 今号の仁澪が皆さんのお手元に届くのは、新たな生活が始まって2か月ほどたった頃でしょう。学生時代には予想しなかった困難と向き合っているかもしれませんが、人生何事も経験です。私たち教員は、ベースキャンプのような存在として、母校から皆さんの頑張りをいつも見守っています。またいつか、さらに成長した姿を見せに来てください。この度は本当におめでとうございました。

福田大受教授就任記念祝賀会

大阪公立大学 循環器内科教室OB
昭和59年(1984年)卒 板金 広

 2月18日に、リーガロイヤルホテルで本学の循環器内科学の教授に就任された福田大受先生の就任記念祝賀会が行われました。コロナ禍の影響で、就任から2年越しの祝賀会となりました。約200名の参加者が福田先生の就任を盛大に祝うとともに、長い間お会いできなかった先生方との再会を楽しみ、同門の絆を再確認することができました。
 福田先生は第4代教授、吉川純一先生が教室を主宰されていた時に入局されました。多くの教室員が教授の専門分野である心臓超音波学を専攻する中で、冠動脈造影や血管治療に興味を持たれたとお聞きしました。その後、東京大学、ハーバード大学、徳島大学で研鑽を積み、臨床だけでなく基礎研究においても素晴らしい業績を上げられ本学に戻ってこられました。
 私が入局した40年前、第一内科循環器グループは小さなグループでした。この祝賀会で多くの先生方を拝見し、約40年の歴史を感じました。福田先生がご興味を持たれたカテーテル治療も格段の進歩を遂げました。本学における初の冠動脈形成術の緊張を懐かしく思い出しながら、ため息をつくばかりです。
 来賓の小室先生の祝辞の中で、「循環器を志望する研修医が減少している」ことに触れられました。2024年よりは医師の働き方改革が本格化し、循環器内科も厳しい局面になるかもしれません。福田先生がリーダーシップをとられて循環器内科学の素晴らしさを若手に伝え、新たな歴史のページを重ねられることを期待しております。

2023年度一般社団法人仁澪会
奨学金・地域医療研究助成・国際学術交流助成 採用者

2023年度奨学金・地域医療研究助成・国際学術交流助成を下記のとおり行いました。
◎医学生奨学金 採用者1名
 今倉里奈:本学医学部(5年生)
◎地域医療研究助成 採用者2名
 方城華奈:大阪市立総合医療センター 循環器内科
 元山宏華:大阪市立総合医療センター 糖尿病内科
◎国際学術交流助成 採用者6名
 高田尚輝:本学 整形外科学
 中井俊之:本学 呼吸器内科学
 井本和紀:本学 臨床感染制御学
 武藤芳美:本学 肝胆膵内科学
 前田夏美:本学 消化器内科学
 東森 啓:本学 消化器内科学

2024年度医学部新入生の出身高校

 大阪公立大学医学部医学科では4月に95名の新入生を迎えました。
 出身高校と人数を表にまとめました。人数の入っていない高校は3名未満で順不同となっています。ご自身の出身高校からは何人が入学しましたか。あるいは、ご自身の時代と今年の新入生の傾向は変わってますか。など、いろいろな視点でご覧いただければと思います。 

文責:栩野吉弘 1997(H9)年卒

2024年4月卒業生(既卒者含)の初期臨床研修先

 大阪公立大学医学部医学科の卒業生は初期臨床研修として多くの病院で研修を開始しています。2024年4月に研修を開始した卒業生の研修先と人数を表にまとめました。人数の入っていない病院は3名未満で順不同としています。大阪公立大学の卒業生がどのような病院で研修しているかの動向が、研修病院でご活躍の先生方の参考になればと思います。また、これから研修先を考えている学生諸君は病院見学や研修先の検討の際に参考になれば幸いです。

文責:栩野吉弘 1997(H9)年卒 

医局紹介 代謝内分泌病態内科学・腎臓病態内科学 (旧第二内科学講座)

教授 繪本正憲

 私どもの講座は、糖尿病・脂質異常症・尿酸代謝異常などの代謝性疾患、内分泌疾患、腎疾患と内科学の幅広い分野でその病態解明と治療学を中心に、診療、教育、研究を行っています。単一の臓器をターゲットとして専門分野のみというよりも、むしろ全身諸臓器の相互連関も重要視した内科学を担えることを基盤に、その上に各々の専門性を高めるべく日夜励んでおります。
 糖尿病分野では、インスリン抵抗性、脂質異常症、肥満を基盤として糖代謝異常、血管障害(動脈硬化)、腎症の診療を中心とし、大学病院での日常診療をデータベース化し、システマティックな臨床研究へとリンクし、アメリカ糖尿病学会での発表を毎年行うなど実績を積み上げております。さらに、近年は、急速にIT化が進む糖尿病診療の一つである最新インスリンポンプや持続血糖モニターの専門外来(iPump・CGM外来)、新たな薬物治療が期待されている肥満症専門外来、腎症進行(透析)予防外来、多診療科・多職種によるフットケアチームによる集学的治療、周術期・化学療法時の糖尿病コントロールチーム(DCT)などにも積極的に取り組んでおります。
 内分泌分野では、視床下部・下垂体疾患、甲状腺・副甲状腺疾患、副腎疾患、多発性内分泌腫瘍症候群、電解質異常、代謝異常と幅広い分野で診療に対応しています。特に、尿酸代謝異常の病態研究や代謝性骨疾患(骨パジェット病、骨軟化症など)の診断治療研究では高く評価され、遠方からの患者紹介も多くなされております。
 腎臓分野では、年間100例を超える腎生検に基づいた腎炎・ネフローゼ等の診療、常染色体優性多発性嚢胞腎の診療とその患者会活動、慢性腎臓病・糖尿病性腎臓病に対する多職種チームによる集学的診療、血液透析を中心とした腎代替療法の導入期治療を積極的に取り組んでいます。さらに、講座出身の同門会会員が大阪府下の多くの腎疾患・透析療法専門病院で活躍していることから、広範囲で緊密な透析療法の連携ネットワークが構築できており、診療のみならず、若手医師の教育、専門医育成にも大きな力となっております。
 また、同門の庄司哲雄研究教授が主導する血管病態制御学講座とともに、血管科学トランスレーショナルセンターとして共同研究を継続してきました。特に、前述の諸疾患における血管石灰化、脂質代謝異常、慢性腎臓病の分野で多くの研究業績をあげるとともに、診療や医局活動においては旧第二内科学教室として共に活動しております。
 最近、内科専攻医プログラムが厳しく内科学を志望する若手医師が少ないのでは、という話題もよく聞かれます。私たちは、大阪府の内科専攻医枠シーリングにも対応すべく、この数年、大阪府外の基幹施設との連携も強化してきております。また、大学院講座としては、前述の分野の臨床研究、さらに、海外での留学経験豊富な指導スタッフによる基礎研究、いずれも対応可能となっています。これまで、当講座の大学院生は4年間で専門英文学術誌での論文発表とともに博士号を取得し、その後大きく羽ばたいております。
 『個々の疾患や臓器障害のみならず,全身を診る,そして,ヒトを診る』というのが,私たち、旧第二内科学教室の内科学の伝統です。教室員みんなで、この伝統を継承しつつ、新しい時代の変化にも対応しチャレンジしていきたいと考えております。
 内科学を志す研修医諸君、若手医師のみなさん、私たちとともに、学び、そして、探求し、プロフェッショナルをめざしませんか。心よりお待ちしております。
(令和6年3月末記)

医局紹介 総合診療科/総合医学教育学

教授 首藤太一

首藤教授 還暦のお祝い

●教室の魅力その1:
 総合診療医として『病気ではなく病人を診る』
 50代の男性が、総合診療科を受診しました。「4日程前から、胸が痛いんです。心臓が心配で近くの循環器内科を受診したら、色々検査してくれて心臓は大丈夫と言われました。それなら肺が問題かと思って呼吸器内科を受診したら、やっぱり検査は問題ないと言われて。食道が悪いのかと思い消化器内科を受診したら、1ヶ月前に胃カメラの検査をしていて問題なかったから大丈夫と言われました。何が原因か分からず先生も僕も困ってしまい、紹介されて来ました。」
 あくまでフィクションですが、似たようなケースに総合診療医はよく遭遇します。
 もちろん、各臓器専門診療科の先生方はベストを尽くされていることと思います。専門化・細分化しているからこそ、現代の医療が発展してきたことは紛れもない事実です。しかし、細分化しているからこそ、その隙間にこぼれ落ちて困ってしまう患者さんがいらっしゃることもまた事実だと、少しでも感じていただけるのではないでしょうか。
 上記の場合、例えば痛みの場所や性状を確認し、帯状で何となくヒリヒリした感じ、ということが分かれば、帯状疱疹を疑って必要最低限の検査を行うだけで済んだかもしれません。実は最近仕事が忙しく疲れが溜まっていたという背景を聞き出せれば、帯状疱疹という診断の確率を上げることもできます。このように、詳細な医療面接からの診断プロセスに加え、心理社会的背景を含めて多角的な視点で診療するのが、総合診療医です。特定の臓器や疾患に限定しない診療スタイルを、当教室では『病気ではなく病人を診る』と表現しています。
 「総合診療科ってどんなことをしてるんですか?」「割り振る科なんですよね?」と学生さんから質問されることがあり、その度に少し切なくなるのですが、上記のように困っている患者さんが路頭に迷わないよう、労力的にも費用的にも最低限の負担で診断に繋げること、そして、治療まで完結することもあると知っていただけると嬉しいです。たとえ分かりやすい診断がつかなくても、「困っていた所を助けてもらえた」という安堵や感謝の気持ちを患者さんからいただくことも多く、医者冥利に尽きる診療科です。総合診療科は、地域医療の場では家庭医療、プライマリ・ケアと呼ばれることもあり、現場で従事されている先生方には共感いただける点ではないかと思います。当教室では、そんな総合診療医をめざす先生方へ、
 総合診療専門医取得のためのプログラムを提供しています。

●教室の魅力その1+α:内科専門医も取得できます!
 内科の中で専門を決めずに専門医プログラムを研修できるのも、当教室の魅力です。実際に、研修医を修了後「入局先は決めていない」先生方が当教室に籍を置いて研修されたケースもあります。皆さんの周りで悩んでいる研修医・学生を見かけたら、当教室も選択肢の一つに加えていただければと思います。

●教室の魅力その2:
 『Teaching is Learning』の理念で築くシームレスな教育体制
 本学学生と附属病院の研修医の教育体制において、当教室は中心となって担当しています。目の前の学生や研修医が、総合診療科での診断プロセスや『病人を診る』ことを体得できるよう日々心がけているだけでなく、随所に『Teaching is Learning』を活かした屋根瓦式の教育体制を展開しています。つまり、研修医が学生を、高学年の学生が低学年の学生を、という図式が、カリキュラムの中に埋め込まれているのです。教えることが一番学べる、ということは、教えたことのある先生にはとても響く現象ではないかと思います。研修医や学生が、一生懸命教えながら学んでいる姿を一度でもご覧いただけると嬉しいです。
 また、2007年に開設されたスキルスシミュレーションセンター(SSC)では、こういった教育体制に加えて多職種連携教育も数多く実施されています。大阪市立大学・大阪府立大学が統合されてからは、看護学生・看護師だけでなくリハビリテーション学科の学生へと広がりを見せています。SSCの運営も当教室が中心的に担っていますので、多職種の教育現場を間近で見られるのも当教室ならではの魅力です。

●教室の魅力その3:多彩なキャリアと素敵なOB・OGたち
 2004年に廣橋一裕初代教授が就任されて以降、17名の医師が入局してきましたが、そのキャリアは非常に多彩です。大学病院を中心に大阪市立総合医療センターや市立福知山市民病院で研鑽を積まれたあと開業された衣畑成紀先生を筆頭に、ご実家の医院を三代目として立派に継承され、今やお茶の間の有名人となった葛西医院の小林正宜先生、臨床感染制御学の大学院を卒業後数々の賞を受賞され、総合診療科でも欠かせない存在である並川浩己先生、総合診療科だけでなく膠原病内科も兼務され診断に大変貢献されている福本一夫先生・・・・・・大学に長く在籍され、私自身もお世話になってきた先輩方を中心に挙げさせていただきましたが、他にも色んなキャリアがあります。在宅医療どっぷりの先生、総合診療科をベースとして他科へ転科された先生、法曹界との二刀流で働いている先生などなど、人数は少なくてもバラエティの豊かさには自負があります。それもこれも、初代教授の廣橋先生と二代目教授の首藤太一先生、そして歴代の医局長が築いてこられた文化の賜物です。

●入局者は随時募集中!
 お察しの通り、当教室は大勢の同期と賑やかに過ごしたい先生のニーズは満たせません。しかし、①総合診療専門医もしくは(入局先を決めずに)内科専門医プログラムに入りたい。②専攻医(診療科は何でもOK)修了後に総合診療・大学院・教育活動を経験したい。③素敵なOB・OGに出逢いたい。④多彩なキャリアを応援してほしい。どれか一つでも当てはまった方は、当教室が最適解です。1年~数年単位での入局を含めて、ぜひご相談ください。教室の活動や雰囲気を知ってもらうためSNSを活用していますが、当然のことながら個人情報は載せられません。具体的な診療や教室の様子が気になる先生には、ご見学にお越しいただくことをオススメします。しつこい勧誘はしませんので、気軽に足を運んでもらえればと思います。ご連絡、お待ちしています!

文責:幕内安弥子(平成23年・2011年卒)

【当教室の歴史】
1976年 本邦で初めて総合診療科が標榜される。
1993年 5 月 大阪市立大学医学部附属病院の新病院開設と共に総合診療部が発足。
2002年 4 月 各専門診療科より5人の専任教員が赴任し、総合診療センターとして独立。
2004年10月 大学院医学研究科に卒後医学教育学講座が新設され、廣橋一裕初代教授のもと
大学院講座として医学教育学、診療部門として総合診療センターの体制が完成。
2013年 4 月 大学院医学研究科の総合医学教育学と講座名を変更。
2014年 4 月 首藤太一教授が就任。
2021年 5 月 大阪市立大学医学部附属病院 総合診療科に診療科名が変更。
2022年 4 月 大阪市立大学から大阪公立大学に名称変更。

教室紹介 公衆衛生学

教授 福島若葉

 今号の仁澪から輪番制で始まる「教室紹介」、まずは理事の所属教室からということでトップバッターグループに加えていただきました。寄稿の機会をいただき感謝申し上げます。

<教室員集合写真(教室ホームページ掲載分、2021年9月撮影)> https://www.omu.ac.jp/med/kouei/

1.沿 革
 当教室の歴史は、1948年に瀧内秋治先生が教授に就任されたことに始まります(当時は公衆衛生学と環境衛生学[現:産業医学]で1講座)。二代目教授の大和田國夫先生(1961年~、公衆衛生学として講座独立)は循環器疾患の疫学に着手され、三代目教授の門奈丈之先生(1984年~)は肝疾患の疫学を、四代目教授の廣田良夫先生(1999年~)は感染症や難病の疫学を研究の主軸に加えられました。先代教授が築かれた研究基盤を継承し、2015年に私こと福島若葉が五代目教授を拝命しました。「社会において人々(公衆)の健康(生)を衛る」ため、様々な活動を展開しています。
 2024年3月現在、教員体制は専任3人(福島、大藤さとこ准教授、松浦知香助教)と特任1人(加瀬哲男特任講師)です。大藤准教授は、教育・研究・管理運営すべてにおいて高い遂行能力を有するオールラウンダーのベテラン教員で、当教室の大黒柱的存在です。松浦助教は2021年4月に就任し、若手の感覚による教育・研究の新しい形を提案し実践するなど、教室内にフレッシュな風を吹き込んでくれています。加瀬特任講師は地方衛生研究所である大阪府立公衆衛生研究所(現:大阪健康安全基盤研究所)の感染症部長を務めた経歴を有し、官・学の優れたバランス感覚に基づく大所高所からのアドバイスがとても頼りになる先生です。近藤亨子技術職員は研究支援プラットフォーム生物統計部門(長:福島)の一員としてデータ解析支援に携わっており、的確で丁寧なサポートには定評があります。教室の日々の事務運営は、研究補佐員の久井桂子さん、土持菜美さんがきめ細やかに支えてくださっています。大学院生は博士課程に3人が在籍し(4年生:迎恵美子先生、3年生:笠松彩音先生、小西絢子先生)、小児外科の大学院博士課程1年生(廣瀬雄輝先生)も当教室のセミナーや研究に参加しながら学位取得を目指しています。

2.研 究
 感染症、難病、肝疾患、健康格差など、様々なテーマの疫学研究を行っています。今回は、厚生労働省研究班で実施しているワクチンと難病の研究をご紹介します。

1)ワクチンの疫学研究 
 廣田良夫名誉教授は、本学ご在任中に厚生労働省研究班の研究代表者を長らく務めておられました。2014年3月に定年退職された後も研究代表者を継続されていましたが、2023年度をもってご勇退されることになりました。2002年度の厚生労働科学研究費補助金「インフルエンザ予防接種のEBMに基づく政策評価に関する研究」から2023年度の厚生労働行政推進調査事業費補助金「ワクチンの有効性・安全性と効果的適用に関する疫学研究」まで、実に22年間(1期3年×7期+最後の研究課題は1年延長)にわたり、「ワクチンの疫学」をテーマに掲げた研究班を連続して主催され、国の予防接種政策に多大なる貢献をされました。最終年度の班員(分担/協力/共同研究者)は約300人と、この分野で最大規模の研究班でした。
このような鮮烈なイメージの「厚労省・廣田班」、次は誰が継ぐ??問題は長らく課題でしたが、2023年秋、廣田先生から「次年度は福島さんが代表で申請してください」と恐れ多くもご指名いただきました。2023年12月10日に廣田班としての最後の班会議を終えた後、新たな研究計画書を厚生労働省に提出し、2024年3月22日付で採択通知をいただくことができました。
2024年度から始動する研究班の名称は、厚生労働行政推進調査事業費補助金「ワクチンの有効性・安全性の疫学的評価と予防接種政策の最適化に資する研究」です。廣田班22年間の後半は公募研究ではなく指定研究でしたが、新たな研究班も指定研究の形です。すなわち、わが国の予防接種政策を推進する過程で生じるワクチンの有効性・安全性等に関する種々の課題(=厚労省からのお題)に対して、科学的根拠を創出することが私たちの役割です。2024年度の計画では、厚生労働省意向による特定研究として、当教室の大藤准教授がリードする「乳児の百日咳対策を見据えた、妊婦への三種混合ワクチン接種の安全性・免疫原性研究」が主軸となります。また、本学で多くの方々にご協力いただきました新型コロナワクチン研究も、個別のプロジェクト研究として、当教室の松浦助教、加瀬特任講師を中心に引き続きとりまとめていきます。多様な専門性(疫学、公衆衛生学、臨床医学、微生物学、医療経済学、医療統計学、臨床薬理学など)で構成される研究体制により、総合知としてのアウトプットを発信し、日本の予防接種政策の最適化に貢献できるよう尽力いたします。

2)難病の疫学研究
 2023年度に厚生労働科学研究費補助金(以下、厚労科研)「難病疫学研究の適正推進に資する情報や知見の普及・啓発に関する研究」が公募研究として採択され、福島が研究代表者を務めています。通称「難病疫学班」といわれるこの研究班は、1972年(スモン問題を契機に旧厚生省が難病対策要綱を策定した年)に旧厚生省・特定疾患調査研究事業の中で発足した「特定疾患疫学調査協議会」にはじまり、疫学者を中心に構成される研究班として約50年の歴史を有しています。2023年度からの3年計画では、指定難病(2024年3月現在338疾病)をはじめとする希少疾患について、「頻度分布」「危険因子・予防因子」「予後」などの疫学像を適切な手法で解明するため、難病疫学研究に特化した情報や知見の疾患横断的な普及啓発を目指しています。また、大藤准教授は、2023年度に文部科学研究費(基盤研究C)「Budd-Chiari症候群の予後に関する分析疫学研究」を代表で獲得し、指定難病患者データベースを活用した予後解明に取り組んでいます。
 厚労科研やAMEDでは、臨床医の先生を中心に構成される個別難病の研究班も設置されています。特発性大腿骨頭壊死症、難治性の肝胆道疾患など複数の研究班には、当教室員が疫学者として参画し、各班の疫学研究の根幹を支えています。多彩な病状・病態を呈する希少疾患という特性上、様々な分野の研究者がAll Japanで取り組まなければならず、最適な疫学手法についても都度考えなければなりません。疫学者としての腕の見せ所であり、知識・技術・経験を総動員して、国の難病対策推進に貢献していきます。

3.教 育
 本学医学部医学科の教員表彰制度「Teacher of the Year」は、仁澪の受賞者紹介コーナーでもおなじみです。現行制度では、准教授以下の教員を対象に、学生が「教育に熱心である」と思う教員に投票し、基礎医学・社会医学・臨床医学から毎年1名ずつ選出されます。当教室では、大藤准教授が2018年3月に、加瀬特任講師が2021年3月に、松浦助教が2023年3月に受賞と、投票対象の教員全員が表彰されました。学部教育への日々の努力を認めていただき、講座長として本当に誇りに感じております。大学の医学教育で求められる事項は、昨今驚くほどに変化しました。情報をアップデートしつつ、今後もより良い公衆衛生学教育を提供していきます。

4.社会貢献
 厚生労働省は、厚生労働大臣の諮問機関として有識者会議である厚生科学審議会を設置しています。当教室からは、福島と大藤准教授が、予防接種・ワクチンに関する審議会の委員を務め、公衆衛生学・疫学の専門家の立場から意見を述べています(福島:予防接種・ワクチン分科会/研究開発及び生産・流通部会/季節性インフルエンザワクチンの製造株について検討する小委員会、大藤准教授:ワクチン評価に関する小委員会)。以前は本省での現地開催のみでしたが、現在はZoomによるオンライン開催が原則となりました。会議の様子はYouTubeでリアルタイム配信され、一般の方はどこからでも審議を傍聴することができます。新型コロナウイルス感染症の流行を契機に予防接種政策や公衆衛生対策への注目が高まる中、アカデミアとしての責務をしっかり果たしていきたいと思います。

 最後になりましたが、2023年11月5日、門奈丈之名誉教授が逝去されました。生前の暖かいご指導に深く感謝申し上げるともに、門奈先生はじめ先代の教授の先生方が築かれた歴史を肝に銘じ、「大阪公立大学の公衆衛生学は良い仕事をするね」と言っていただけるよう、これからも励みたいと思います。仁澪会会員の先生方には、今後とも変わらぬご支援をいただきたく、どうぞよろしくお願い申し上げます。
(2024年3月 記)

< 厚生労働行政推進調査事業費補助金「ワクチンの有効性・安全性と効果的適用に関する疫学研究」令和5年度第2回班会議(2023年12月10日、大阪公立大学医学部学舎での現地参加とWeb参加のハイブリッド開催)。終了後に現地参加の班員で記念撮影。向って中央右が、 研究代表者の廣田良夫名誉教授。>

023年 表彰・受賞者 (学内関係)

 2023年の学内関係の表彰・受賞者を掲載いたしました。
得られる情報の範囲で掲載していますので、表彰・受賞されているにも関わらず掲載されていない方も居られるかも知れませんが、悪しからずご了承ください。仁澪会事務局までご連絡いただければ次号に追加掲載いたします。

◆Roche Infectious Disease Award 2022 (ロシュ感染症アワード 2022)に入選

 ウイルス・寄生虫学の中釜 悠准教授が、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社の「Roche Infectious Disease Award 2022(ロシュ感染症アワード 2022)」に入選し、2023年1月28日(土)に表彰式が行われた。
中釜准教授のSARS-CoV-2/COVID-19血清疫学に関する一連の研究論文の成果が評価され、入選。
※「Roche Infectious Disease Award」は、感染症と共にある社会において、感染症に打ち勝ち、人々の健康な暮らしを守るために、感染症研究や対策に取り組む方々にエールを送りたいという思いから、ロシュ・ダイアグノスティックス社が2022年度より新設した賞。

◆第50回日本潰瘍学会学会賞を受賞

 2023年2月5日(日)、先端予防医療学 灘谷祐二講師が『第50回日本潰瘍学会』にて学会賞を受賞。
受賞演題タイトル「NSAIDs起因性小腸傷害における好中球細胞外トラップ(neutrophil extracellular traps:NETs)と腸内細菌の役割」

◆「世界で最も影響力のある研究者トップ2%」に医学部から11名の研究者がランキング入り!

 スタンフォード大学が発表している世界のトップ2%の科学者を特定する包括的なリスト「標準化された引用指標に基づく科学者データベース」が2022年9月に更新・発表され、医学部からは計11名の研究者が選ばれました。
「生涯」(career-long)の区分
 金子 明  寄生虫学 特任教授
 河田則文  肝胆膵病態内科学 教授
 新谷 歩  医療統計学 教授
 鶴田大輔  皮膚病態学 教授
 庄司哲雄  血管病態制御学 研究教授
 八代正和  癌分子病態制御学 研究教授
 吉里勝利  合成生物学寄附講座 特任教授
「単年」(single recent year)の区分
 藤原靖弘  消化器内科学 教授
 河田則文  肝胆膵病態内科学 教授
 大谷直子  病態生理学 教授
 新谷 歩  医療統計学 教授
 徳永文稔  医化学 教授
 鶴田大輔  皮膚病態学 教授
 植松 智  ゲノム免疫学 教授
 庄司哲雄  血管病態制御学 研究教授
 八代正和  癌分子病態制御学 研究教授

◆第56回日本痛風・尿酸核酸学会総会にて日本痛風・尿酸核酸学会学会賞を受賞

 代謝内分泌病態内科学藏城雅文講師が痛風・尿酸核酸代謝に関する研究業績と日本痛風・尿酸核酸学会における功績を評価され、2023年2月23日(木)・24日(金)に開催された第56回日本痛風・尿酸核酸学会総会で、学会賞を受賞。
演題タイトル「高尿酸血症の生活習慣病における意義」

◆日本医学会総会にて奨励賞(社会医学領域)受賞

 寄生虫学の中釜 悠准教授が2023年4月23日に開催された日本医学会総会にて奨励賞(社会医学領域)を受賞。
2020年以降に発表してきたSARS-CoV-2/COVID-19血清疫学や、顧みられない熱帯病に関する一連の研究論文の成果に関する一連の研究論文の成果が評価されての受賞となった。
受賞演題タイトル「新興・再興感染症の危機に即応し、医療適正化に資する血清疫学研究」

◆米国小児科学会にて Japan Pediatric Society /Society for Pediatric Research Fellows' Exchange Award を受賞

 寄生虫学の中釜 悠准教授が2023年4月29日に開催された米国小児科学会にてJapan Pediatric Society/Society for Pediatric Research Fellows' Exchange Awardを受賞。
 この賞は日本小児科学会の24の分科会より推薦を受けた若手の内、2名が受賞。中釜准教授はラテンアメリカ地域の母子感染症として重要なシャーガス病に関するトランスレーショナル研究について発表。
 受賞講演タイトル:「iPS cell-derived cardiomyopathy model as the ‘translational hub’ for Chagas disease biomarker discovery:bridging in vitro host-parasite interplay to clinical proof-of-concept」

◆日本内科学会講演会にて第36回内科学会奨励賞受賞

 医学研究科ゲノム免疫学の藤本康介准教授が4月14日に開催された日本内科学会講演会にて第36回内科学会奨励賞を受賞。
受賞テーマ「腸内共生病原菌を標的としたGVHDの制御」。

◆第82回日本医学放射線学会総会イメージ・インタープリテーション・セッションにおいて、最多正解で受賞

 2023年4月13日~16日にかけて行われました第82回日本医学放射線学会総会 イメージ・インタープリテーション・セッションにおいて、放射線診断学・IVR学の熱川奈津子先生と下野太郎准教授が、最多正解で受賞。
 同点首位となり複数受賞者が出たため、年齢の若い方から高い方順に、表彰されることとなった。そのため熱川奈津子先生が最優秀賞、下野太郎准教授が入賞となった。

◆ヨーロッパ腎臓学会(ERA)にてTravel grant受賞

 2023年6月15日~18日にかけてイタリアのミラノで開催された第60回ヨーロッパ腎臓学会(European Renal Association;ERA)にて、泌尿器病態学の香束昌宏先生がTravel grantを受賞。
 発表タイトル「Development of the Japanese version of the Basel Assessment of Adherence to Immuno-suppressive Medications Scale」。
共著者:香束昌宏, 岩井友明, 増田寛雄, 壁井和也, 西出峻治, 前田景子, 吉川有葵,
中村安孝, Sabina De Geest, 内田潤次。

◆第28回日本ヘリコバクター学会学術集会優秀演題賞受賞

 先端予防医療学の高嶋信吾先生が、2023年6月30日・7月1日にかけて行われた第28回日本ヘリコバクター学会学術集会にて優秀演題賞を受賞。
受賞論文タイトル「ストレス負荷マウスの腸管バリアに対するプロトンポンプ阻害薬の影響について」

◆2023年度 日本医用画像工学会功績賞受賞

 2023年7月28日、日本医用画像工学会の授賞式が行われ、核医学の河邉讓治病院教授と東山滋明先生が日本メジフィジックス株式会社と共同で、2023年度の功績賞を受賞。
 功績名「骨シンチグラム解析AIの開発、実用化、および普及」。共同受賞者は下記のとおり。
【受賞者(敬称略)】
 清水昭伸 東京農工大学大学院 工学研究院 教授
 斉藤 篤 元 東京農工大学大学院 工学研究院 助教
 大﨑洋充 群馬県立県民健康科学大学 診療放射線学部 教授
 河邉讓治 大阪公立大学大学院医学研究科核医学 病院教授、
      附属病院核医学科 診療科部長 
 東山滋明 大阪公立大学大学院医学研究科核医学 講師、附属病院核医学科 診療科副部長
 
 西川和宏 日本メジフィジックス株式会社 営業本部マーケティング部 ソフトウェアグループマネジャー

◆2022年JVIR誌編集者賞を受賞

 2023年3月4日、2023年3月9日にアメリカで開催されたSIR (Society of Interventional Radiology:インターベンショナルラジオロジー学会)で、循環器内科学の山崎貴紀先生が責任著者、山口智大先生が筆頭著者の論文が、2022 Editor's Honorees:Distinguished Clinical Studies (2022年JVIR誌編集者賞/優秀臨床研究)を受賞。
受賞論文のタイトル「Angioscopic Ulcerated Plaques in the Femoropopliteal Artery Associated with Impaired Infrapopliteal Runoff.」 Journal of Interventional Radiology誌に掲載。

◆第96回日本整形外科学会学術総会優秀口演賞を受賞

 2023年5月14日、整形外科の伴 祥高先生が第96回日本整形外科学会学術総会で優秀口演賞を受賞。
受賞講演タイトル「悪性軟部腫瘍切除後のエタノール補助療法の有効性の検討」

◆2023年度 Miyata Foundation Award日本小児循環器学会研究奨励賞を受賞

 2023年7月8日に行われた日本小児循環器学会にて、寄生虫学の中釜 悠准教授が2023年度Miyata Foundation Award日本小児循環器学会研究奨励賞を受賞。
受賞タイトル「心筋の細胞周期制御および成熟化機構を標的したヌーナン症候群心合併症に対する分子創薬」

◆第25回日本神経消化器病学会 学会賞最優秀賞を受賞

 2023年9月28日~29日に行われた日本神経消化器病学会にて消化器内科学 田中史生准教授が第25回日本神経消化器病学会 学会賞最優秀賞を受賞。
受賞テーマ「ウェアラブルデバイスによる機能性ディスペプシアの自律神経機能解析」

◆第53回日本腎臓学会西部学術大会優秀演題賞を受賞

 2023年10月7日に行われた第53回日本腎臓学会西部学術大会で、代謝内分泌病態内科学の仲谷慎也講師と代謝内分泌病態内科学の前期臨床研修医髙嶋亮平先生が優秀演題賞を受賞。
仲谷慎也講師
受賞タイトル「ダパグリフロジン投与後に嚢胞増大と腎機能悪化が顕著になったADPKDの一例」
髙嶋亮平先生
受賞タイトル「ループス腎炎加療中の胃蜂窩織炎により死亡し病理解剖をおこなった一例」

◆日本痛風・尿酸核酸学会若手研究者賞を受賞

 2023年10月22日に行われた日本痛風・尿酸核酸学会にて、代謝内分泌病態内科学藏城雅文講師が若手研究者賞を受賞。
藏城雅文講師がこれまで行ってきた「生活習慣病における尿酸・キサンチン酸化還元酵素」に関する研究が、日本痛風・尿酸核酸学会において、第二回(2023年度)若手研究者賞(Young Investigator Award of Japanese Society of Gout and Uric & Nucleic Acids)を受賞し、2023年10月22日第2回Web講演会にて受賞講演を行った。

◆第69回日本病理学会秋期特別総会 日本病理学会症例研究賞を受賞

 2023年11月9日~10日に行われた第69回日本病理学会秋期特別総会にて、診断病理・病理病態学の大江知里准教授が日本病理学会症例研究賞を受賞。
受賞タイトル「淡明細胞型腎細胞癌の予後予測および治療戦略に繋がる組織形態解析」
遺伝子異常に基づく癌の予後予測や薬物治療効果予測が注目されている中、分子学的異常を日常の病理診断で用いる組織標本で捉えることができる可能性を示した一連の研究論文の成果が評価されての受賞となった。

◆日本認知症学会学会賞を受賞

 2023年11月25日に行われた日本認知症学会にて、健康長寿医科学講座病因診断科学の上村麻衣子講師が学会賞を受賞。
受賞論文タイトル「Distinct characteristics of limbic-predominant age-related TDP-43 encephalopathy in Lewy body disease」

◆令和5年度 理事長表彰式典で表彰

 2023年12月11日、令和5年度公立大学法人大阪教職員理事長表彰式典が行われ、医学部から血液腫瘍制御学 日野雅之教授と呼吸器内科学渡辺徹也講師が表彰された。
 式典で福島理事長より表彰状および副賞が授与された。
 表彰者:医学研究科血液腫瘍制御学 教授 日野雅之
  業績:阿倍野地区の情報セキュリティに関する責任者として、サイバーテロに対する未然防止策を講じた。
 表彰者:医学研究科呼吸器内科学 講師 渡辺徹也
  業績:新型コロナ感染症拡大期において、重症者病棟運営に特に尽力した

◆2023年度学長表彰授与式で医学部から5名表彰される

 2023年12月14日、2023年度学長表彰授与式が行われ、医学部から5名の先生方が表彰された。
学長表彰は、【教育・研究・社会貢献・その他の極めて顕著な業績】の4つの部門に分かれており、医学部は全部門で入賞。
辰巳砂学長より各先生に表彰状及び副賞が授与された。
 教育部門:総合医学教育学 准教授 栩野吉弘
   業績:医学部学生アンケートで Teacher of the year 2022 に選出、加えて医学部IR室における医学部教育に多大な貢献。
 研究部門:病理生理学 教授 大谷直子
   業績:腸内細菌学や腫瘍生物学分野で、質の高い研究論文を多数発表し、高い引用実績を残す。
 研究部門:ゲノム免疫学 教授 植松 智
   業績:医学研究分野で優れた研究プロジェクトを主導、全学トップの多額外部資金を獲得。
 社会貢献部門:女性病態学 教授 角 俊幸
   業績:大阪市健康局と連携し、子宮頸がん検診の受診行動に関する研究を実施。啓発ビデオは他大学等にも広く提供され、本学のプレゼンス向上に尽力。
 その他の極めて顕著な業績:
      病因診断科学 教授 樋口真人
   業績:「アルツハイマー病の診断・治療・予防」に関する優れた業績により、第59回「ベルツ賞」を受賞。

「仁澪』表紙を飾る作品募集!

学会主催者報告

第29回日本血液透析濾過医学会学術集会・総会

会 期:2023年11月25~26日
場 所:大阪国際交流センター
主 催:大阪公立大学大学院医学研究科泌尿器病態学
会 長:長沼俊秀(平成7年卒)

 私は1995年に大阪市立大学医学部を卒業し、同大学の泌尿器科学教室に入局しました。その当時、故岸本武利先生のもとに本学人工腎部には故山上征二先生、武本佳昭先生、土田健司先生という著名なメンバーが揃っておりました。その後、長年にわたり腎不全医療に携わり、透析療法の進化をこの四半世紀に渡り肌で感じてきました。
 さて、今回、2023年11月25日(土)~26日(日)に、大阪国際交流センターにおいて、私が大会長で第29回日本血液透析濾過医学会学術集会・総会を開催致しましたので報告させて頂きます(写真1、2)。特別講演として、本学からは医療統計学の新谷 歩先生をお招きし、また、海外からはこの領域のオーソリティであるAndrew Davenport(University College London, UK)先生を招いております。また教育講演(4)、シンポジウム(3)、ワークショップ(5)、パネルディスカッション(1)、ディベートセッション(1)、スポンサードセミナー(15)、一般演題(54)のセッションを行い。同時に導入期加算3算定施設が実施する腎代替療法に関わる研修会も行っております。本会は約700名の御参加を頂き、盛況のうちに終了する事ができました。
 また、2020年4月に始まった本学会主導で大阪公立大学に研究事務局のあるJAMREDS研究は、日本の血液透析濾過における膜の種類や治療モードの多様性を示す重要な研究となっております。2023年末にこの研究は最終年を迎えており、今後、本学術集会のテーマである「図南鵬翼」が示すように、世界に向けた新たなエビデンスの発信が期待されております。
 ご協力頂きました、参加者、協賛企業、関係者の皆様に心から感謝申し上げます。多大なご支援、ありがとうございました。

第39回日本臨床皮膚科医会近畿ブロック総会・学術大会

会 期: 2023年11月26日(日)
場 所: ホテルグランヴィア大阪
主 催: 大阪皮膚科医会
会 長: 持田和伸(平成元年卒)

 日本臨床皮膚科医会(日臨皮)は皮膚科を専門とする臨床医で構成される学会です。第39回日本臨床皮膚科医会近畿ブロック総会・学術大会を日臨皮大阪支部である大阪皮膚科医会の担当で開催いたしました。テーマは「日常診療における光と影をみつめる ~皮膚科医の持続可能な目標達成のために~」です。3年間続いたコロナ禍について政府は感染症法上の位置づけを2類から5類へ引き下げました。今回の近畿ブロック総会は3年ぶりの現地開催のみとし、懇親会も行いました。
 スポンサードセミナーは“光”に焦点を当て、名古屋市立大学の森田明理先生に光線療法の歴史と今後の展開についてお話いただきました。大阪医科薬科大学の森脇真一先生には日常診療の中で見逃しやすい光線過敏症について実際の臨床例をご提示頂きました。
 シンポジウムのテーマは「日常診療における影を見つめる」といたしました。この学会の企画を大阪皮膚科医会理事会で検討していた時期はコロナ禍のまっただ中だったのですが、あえて疾病負荷や虐待、医療財政上の負荷など若干「暗い」内容を取り上げることにいたしました。昨今の皮膚疾患の治療の進歩にもかかわらず、未だに全ての疾患を治癒に至らしめるのは不可能です。最近、学会でもアトピー性皮膚炎や乾癬などをテーマにした講演で疾病負荷という言葉を聞く機会が増えました。この疾病負荷(GBD:Global Burden of Diseases)というのは疾病により失われた生命や生活の質の総合計のことらしいです。皮膚疾患による引きこもりの実態についてはしろクリニックの羽白 誠先生に、皮膚症状から見つける虐待について東京都立墨東病院小児科の大森多恵先生に、メディカルメイクにについて近畿大学の山本晴代先生に、医療の進歩に伴う医療費の高騰化による患者並びに健保組合の負担の増大や社保審査の実態について、大阪で永年社保の審査委員をされている磯ノ上正明先生にお話いただきました。
 学会当日は幸い天候にも恵まれ、100人以上の先生方にご参加いただき、懇親会も沢山の先生方で大変盛り上がりました。コロナ禍の時代に私たちはzoomなどを用いたリモート環境における講演会や会議というものを学びましたが、やはり学会は現地における熱い討論や懇親会での楽しい語らいが本来の姿だと痛感いたしました。
 最後に、本会が盛会のうちに終えることができたことをご報告いたしますと共に、関係各位に厚く御礼申し上げます。

第5回アジア皮膚病理学会・第40回日本皮膚病理組織学会学術大会

会 期: 2024年1月26日~28日
場 所: あべのハルカス25階 会議室
主 催: 大阪公立大学大学院医学研究科皮膚病態学
会 長: 鶴田大輔(平成4年卒)

 この度、第5回アジア皮膚病理学会・第40回日本皮膚病理組織学会学術大会をあべのハルカス会議室にて主催致しましたことをご報告申し上げます。本会は日本皮膚病理組織学会と、アジア皮膚病理学会の年次学術大会を合同開催したものです。例年診断に苦慮した症例を中心に活発な議論を行うことが特徴の日本皮膚病理組織学会学術大会ですが、今年は3日間にわたって開催し、前2日間は海外からの演者を招き英語で開催し、最終日に日本語でのセッションを行いました。会長を鶴田教授、アジア学会の事務局長を大霜准教授、日本学会の事務局長を後藤が務めさせて頂きました。
 海外の皮膚病理医は非常にレベルが高く、大変魅力的なレクチャーを多くしていただきました。日本人の参加者も想定以上に多く、非常によい刺激を受け、学んで頂けたものと思います。海外からも多数参加頂き、活発な議論を行うことができました。会場がハルカス25階の会議室ということもあり、非常に好評で大阪の魅力を感じて頂けたと思います。懇親会でも多くの先生方と親睦を深めることができました。3日間参加頂いた先生も多くおられましたが、疲れることなく3日目も例年通り、日本語のセッションでも活発な議論を行うことができました。様々な議論を経て、学びを深め、日々の診療に還元することがこの学会のスタイルであり、今年も盛会のうちに終了することができました。
 最終的に200人以上にご参加頂き、大きなトラブルなく終了することができました。関係各位に御礼申し上げますとともに、ご報告申し上げます。          (文責:後藤寛之)


第37回日本四肢再建・創外固定学会学術集

会 期: 2024年3月22~23日
場 所: 神戸国際会議場
主 催: 大阪掖済会病院
会 長: 五谷寛之(昭和63年卒)

 第37回日本四肢再建・創外固定学会学術集会を令和6年3月22~23日に神戸国際会議場で開催いたしました、昭和63年本学卒業、整形外科医局所属の五谷寛之と申します。恩師である山野慶樹名誉教授が川崎医大教授の際に開催されて以来34年ぶりの同門開催となり、私自身は理事長を務めています日本マイクロサージャリー学会会長を担当以来、5年ぶりの学会運営となりました。学会のテーマは四肢再建分野が他分野と技術や知見を共有して発展する事を願い、“温故創新―新しきをつくる―”としました。300名を超える参加者があり、200近い演題を発表を頂きました。
招待講演は昭和大学客員教授の仁木芳人先生にお願いし、本邦における“Covid-19の総括と周術期における感染症の今後の扱いについて”お話頂きました(写真1)。
 前日に行われた会長招宴で中村博亮附属病院長、整形外科教授にご挨拶を頂き(写真2)、整形外科寺井准教授には国際貢献シンポジウムで留学生教育についてご講演頂きました(写真3)。 大阪掖済会病院長村橋先生はじめ職員、大学関係者の先生方におかれましてはご協力ありがとうございました(写真4)。

写真1.2
写真3
写真4

仁澪会会費 ご支援と納入のお願い!

大阪市立総合医療センター循環器内科・心臓血管外科30周年記念パーティ

大阪市立総合医療センター 循環器内科OB
昭和59年(1984年)卒 板金 広

 2024年3月9日、神戸で行われる日本循環器学会の日程に合わせて、大阪市立総合医療センター 循環器内科・心臓血管外科30周年記念パーティが開催されました。
 大阪市立総合医療センターは、1993年に5つの市民病院を統合して開設されました。当時の市民病院には成人の循環器内科・心臓血管外科がなく、ともに新規の診療部門としてゼロからスタートしました。国立循環器病センターから土師一夫先生(本学S43年、1968年卒)、関西労災病院から清水幸宏先生を部長に迎え、冠動脈疾患の治療を中心に大きな足跡を残してきました。
 心臓血管外科部長に柴田先生(現大阪公立大学教授)が着任されたことにより弁膜症の診療・治療も充実しました。現在では虚血性心疾患のみならず、心不全治療、経カテーテル的大動脈弁植え込み術を中心とするカテーテル治療、不整脈に対するアブレーション治療、低侵襲手術、ロボット支援下心臓手術が数多く行われており、超高齢化、低侵襲治療の必要性に対応しています。
 循環器内科・心臓血管外科の指導者も数多く輩出しており、総合医療センター出身の大学教授は4人を数えるようになりました。今度の益々の成長。発展が非常に楽しみです。大いに期待しましょう。

第118回 医師国家試験結果

大阪公立大学 医学部 IR室 (平成9年卒/仁澪会理事)栩野吉弘

 大阪公立大学医学部IR室*の栩野(1997年卒、仁澪会理事)です。
恒例の大阪市立大学(2023年入学者~大阪公立大学)の医師国家試験の結果を報告させていただきます。
 第118回の医師国家試験は、2023年2月3・4日に行われ、3月15日に合格発表がありました。大阪市立大学の新卒者の医師国家試験の受験者数、合格者数ならびに合格率を全国平均と比較して6年間、別表にまとめています。
大阪市立大学医学部医学科6年生の102名は全員が2023年3月22日に卒業式を迎えることができました。新卒者102名中99名が合格し、合格率は97.1%と全国平均の95.4%を上回るすばらしい結果でした。また、既卒者(いわゆる国試浪人)を含めた受験者数107名中102名が合格し、合格率は95.3%でした。
 今年も医師国家試験ではしっかりとした成績を残してくれました。これから、大阪市立大学の卒業生として大きく飛躍することを祈念しております。

*医学部IR室:IRはInstitutional Researchの略です。教育に関わるデータの収集と分析を行い、大学の医学教育改善につなげるために2018年4月に発足しました。

学生クラブ活動紹介

医学部小児科ベッドサイドボランティアサークル

医学部4回生 松尾祐花

 こんにちは。医学部小児科ベッドサイドボランティアサークルです。現在は約60名のメンバーが所属しています。私たちのサークルは、大学の附属病院に入院している子どもたちに、「近所のお兄ちゃん、お姉ちゃん」のような「ちょっと歳の離れたお友達」を提供することを目的としています。季節に合わせたイベントも開催しています。その他に、学外でのボランティア活動にも参加しています。
 今はコロナの影響により病棟でのボランティアができておりません。今年度は、学外での活動への参加や、病棟にいる子供たちに手作りのクリスマスカード(写真)を贈る活動を行いました。1日でも早くコロナが終息し、病棟での活動が再開できることを心待ちにしております。
 子供たちに少しでも笑顔を届けられるように、貢献していきたいと思っています。ご支援ご協力お願いします。
 また、私たちのサークルにご興味のある方は、ぜひ一度ご連絡ください。

医学部男子バスケットボール部

医学部4回生  西田 潤

 医学部男子バスケットボール部です。はじめに、日々私たちが活動できているのはOBの先生、OGの方々のご支援あってのものであります。この場をお借りして感謝申し上げます。私たちはプレイヤー28人、マネージャー7人の計35人で月水土の週3回活動しています。大会で優勝することを目標に練習しており、昨年の西日本医科学生総合バスケットボール大会(通称:西医体)では、目指していた優勝は逃してしまいましたが、3位という結果で終わることができました。練習には真面目に取り組み、しんどい時もありますが部員同士切磋琢磨して日々精進しております。
 部活外では部員でご飯、観光に行ったり、BBQをしたりなど非常に仲が良いです。こういったメリハリがバスケットボール部の良さであり、大会で勝ち上がれる理由であると考えております。
 今年の西医体では必ず優勝できるよう部員一同尽力いたしますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

医学部男子バレーボール部

医学部4回生  黒崎 心

 皆さんこんにちは。大阪公立大学医学部バレーボール部です。バレー部はプレーヤー16人マネージャー9人の計25人で月水土の週3回で活動しています。普段の練習では、経験者だけでなく、初心者にも先輩や経験者からしっかりとアドバイスを送ったり、互いの良いプレーを褒め合ったりなど仲睦まじく活動しています。一方試合に出れる人数は限られるためメリハリをつけ、互いが互いのライバルであると自覚し一生懸命緊張感を持って取り組むことも大事にしています。
 部活動以外でも、フットサルや野球などをして遊びに行ったり、カラオケに行ったり、練習後すぐ麻雀を打ち始めたりなどと、先輩と後輩、同級生同士、どれをとっても仲の良さは非常に良いです。仲の良さが個々が伸び伸びとプレーできる要因だと思います。
 そんな中、去年の西医体ベスト8の結果を超えることがうちの部の今の目標なので、これからも部員一同精一杯頑張っていきたいと思います。

昭和52年卒(学部26期)同期会報告と市大医学部の思い出

住友精密工業診療所長 立川茂樹

 新型コロナ感染者数はかなり少なくなったものの、インフルエンザ流行も気になる2024年2月18日(日)、堂島浜のANAクラウンプラザホテル大阪で昭和52年卒同期会が開かれました。久しぶりの集まりで、私の記憶では20年程前に同期の山根英雄氏の耳鼻咽喉科教授就任祝いで集まって以来のように思います。私たちの市大医学部合格発表の直前に、その数年前にあった医学部入試不正事件が発覚し報道されました。堺の大阪刑務所内で印刷されていた大学入試問題を受刑者が盗み出して、バレーボール(一説ではソフトボール)の中に入れて運動時間中に刑務所の塀の外にいた仲間に投げ渡したと報じられた事件です。私たちの合格発表時には数社の新聞社から取材があり(写真1)、私も記者からインタビューされたことを覚えています。私たちが疑われることはなかったのですが、4月からの新学期には2年上、3年上の学年から数名の名前が消え去ったと聞きました。

写真1

 私たちは市大医学部の定員が約60名であった最後の学年で、授業料は月1000円、入学金も大阪市内に住んでいれば3000円と格安でした。入学当初は新左翼学生運動が激しく、杉本町のキャンパス内では、反目し合う革マル派と中核派の学生がヘルメットを被って集会やアジ演説をしていました。定期試験前になると学舎がバリケードで封鎖され試験を受けられなくなり、幸いにもレポート提出で単位を修得することができました。医学部の阿倍野学舎に移ってからは、運動部の学生は午後3時を過ぎると一人、二人と講義室を抜け出し、杉本町のグラウンドに急ぎました。そんなことが許される大らかな時代でした。おかげで私が所属していたラグビー部は最終学年の夏に西日本医科体育大会で優勝することができました(写真2)。

写真2

 私たちの学年は、医師となってから早世した同期生が多く、学生時代に亡くなった二人を含めて十数名の訃報を同期会で確認し黙祷をささげました。今回、おもに関西にいる28名が集まりました。71歳を過ぎて額がかなり広くなった人や総白髪になった人もいましたが、意外に規格外の肥満体型の人はいませんでした。皆、見かけはずいぶん変わっていましたが、少し話をしていると懐かしい面影がよみがえってきました。医療の第一線から離れている人や私のように楽な仕事に就いている者もいますが、開業している人達はまだまだ忙しく外来診療する日々を送っているようです。マイクを回して、全員1分間の近況スピーチを始めましたが、それぞれに話したいことがいっぱいあって、演説を始める人もおり、大幅に予定時間を超過してしまいました。教授退官のお祝いができなかった山根氏に短い講演をしてもらい、同期一同から花束贈呈を行いました(写真3)。 

写真3

 今後は数年ごとに集まることになり、同期会のLINEグループを作りました。次回は3年後に集まります。今回参加できなかった人達にも、ぜひ参加してもらいたいと思っています。暇そうにしている私が次期幹事に指名されましたので、LINEグループについての問い合わせは、私の方までメールしてください(statekawa@cwo.zaq.ne.jp)。

昭和59年(1984年)卒同期会開催

昭和59年(1984年)卒 板金 広

 ミシュラン⭐️⭐️の心斎橋フレンチレストラン「リュミエール」でワインを楽しみながら、コロナ禍で開催できなかった同窓会を6年ぶりに開催いたしました。
 大病院の院長、副院長、部長、医師会会長、大学教授で頑張っている人、開業医で忙しく働いている人、半ば引退、完全引退して人生をゆっくり楽しんでいる人、ゴルフHD1の輩もいました
 そんな人たちが一瞬にして40年前の学生時代に戻れるのだから同窓会は楽しいです。昭和59年卒の仲間は卒業試験も国家試験でも一人の落伍者もなく助け合ってきた仲間です。同窓会を開くと、いつも30名以上の参加があります。私たちの頃はクラスの1/3が大学や社会人を経験して再入学されています。誰かが欠けないうちにたくさん会おうと、従来通り2年に一度の同窓会を行うことを予定しています。
 悪性腫瘍の手術や冠動脈バイパス術を経験した人もいました。ちょっと話すと病気の話がまず出てくるようになりました。しかし、皆さんまだまだ元気です。また会えるまで頑張ろうという前向きで爽やかな気持ちになれました。

 みんなありがとう、また会おう!

大阪公立大学医学部三丘会開催報告

平成5年卒 榎本 大

会期:2023年12月16日
場所:都シティ大阪天王寺
幹事:榎本 大(平成5年卒)

 2023年度の大阪公立大学医学部三丘会の定例会は、2023年12月16日に都シティ大阪天王寺で4年ぶりに対面で開催されました。参加した学生(敬称略)は鶴身知史(M5)、上田聖也(M5)、周藤健(M5)、山田紘河(M5)、森光穂(M5)、服部茜(M4)の6名でした。久しぶりに楽しく会食しながら自己紹介をしていただきました。M5の5名はすべて高校卒業年が違うとのこと…人生いろいろですね。
 大先輩の3名がパワーポイントを用意し、プレゼンテーションを行ってくださいました。友田昭二先生(高19)からは女性医師の働き方に関する貴重なお話を伺いました。昨年はホノルルマラソンと日程が重なり、2年ぶりの参加でトリを務めていただきましたが、時間の都合で途中散会せざるを得ず、大変失礼をいたしました。来年、続きを聞けることを楽しみにしています。根来伸夫先生(高25)からはアベノミクスの結末と医師の働き方改革について興味深いお話を伺いました。働き方改革や2024年問題はすぐそこに迫っており、非常に参考になりました。金岡靖先生(高23)からは、マイクロ波を用いた低侵襲の婦人科治療の開発についてお話を伺いました。私たちが肝細胞癌治療に使用しているマイクロ波を応用された点に個人的にも非常に興味を持ちましたし、学生諸君も異なる分野から学ぶ姿勢に得るところが多かったのではないかと思います。
 若手の今西大樹先生(高61)、岡田真穂先生(高62)、仲尾有美先生(高63)は、それぞれ消化器外科、肝胆膵内科、産婦人科医としてご活躍中です。学生にとっては、世代の近い先生達からの貴重なご意見を聞けたことは、大変有意義であったと思います。
 今年は新入生を迎えることができませんでしたが、来年に期待したいと思います。引き続き多くのご参加をお待ちしております。

仁澪会定例社員総会

編集後記

平成10〈1998〉年卒 福島若葉

 今号の仁澪より発行回数を見直し、これまでの年3回(うち1回は、最近数年間はWeb版のみ)から年2回に変更させていただくことになりました。5月発行となる今号は、春らしく、卒業生の謝恩会報告や初期臨床研修先、新入生の出身高校など、学生さん関連の記事もいっそう盛りだくさんの内容でお届けします。また、新たな企画として、大学の教室紹介も輪番制で始まりました。臨床系2教室、基礎社会医学系1教室から、それぞれの「今」を象徴するトピックやストロングポイントを中心にご紹介いただくシリーズ、どうぞお楽しみください。
 さて、表紙にてお知らせさせていただきました通り、今年は医学部の一大イベントとして、令和6(2024)年10月27日(日)に創立80周年記念事業が行われます。第二部の記念式典・祝賀会では、同窓会として、前号までの仁澪で田中祐尾先生が壮大なスケールで37回に渡り執筆・編集された「市大医学部と附属病院の歴史」からのハイライト講演をさせていただく予定です。私も記念事業の準備委員会の一員として大学での企画会議に携わらせていただいており、参加者の皆様にはゆっくりと過ごしていただけるよう、着席スタイルの祝宴で準備が進められています。医学部の歴史に想いを馳せる秋の夕べ、同窓会会員の先生方のご出席を心よりお待ちしております。

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