Water Road Guitars

待ちに待ったアコースティックギターがやって来た。
Water road guitarsのアコギ。
香津美さんがメインで使っている1本。
いつもその音色をそばで聞いていたから音が素晴らしいのは知っていたけど、やはりナイロン弦とスチール弦の壁は厚く、フラメンコギタリストにとっては縁のない楽器だと思っていた。

ことの発端はTwitter。
とあるアコギ弾きの方の動画をたまたま目にして、このピッキングのニュアンスは実はナイロン弦とあまり隔たりがないのかな、と思った。早速その方にコンタクトを取ると、弾いているのはペギー・ホワイトというカナダの製作家の楽器だと教えてくれた。代理店に問い合わせると、人気すぎて在庫は1本もないという。でも彼女の師匠にあたる製作家の楽器はあるので、とりあえず触りに行ってみた。
それはリンダ・マンザーというパット・メセニーが愛奏していることで有名な楽器で、流石に素晴らしかったけど、僕はその場にあった別の1本の方がしっくり来た。
それがウォーター・ロードだった。

https://www.waterroad-guitar.com

この話を香津美さんにすると、早速増田さんを紹介してくれた。そこからとんとんと話が進んで、オリジナルの1本を作って頂ける話になった。

フラメンコギターとアコギは、弦だけではなく、楽器そのものの構造も随分違う。素材、弦のテンション、ジョイントの位置、ネックの幅などなど。今回は増田さんのモデルの中でも構造が一番クラシックギターに近いものをベースに、12Fジョイント、さらに材質は香津美さんに選定してもらい、ネック幅などもできるだけ普段僕が弾いている楽器に近づけてもらった。
ヘッドのインレイ(飾り部分)は奥様がデザインして下さった。

そうして出来上がったこの1本。

画像1

弾いてみると、びっくりするほど手に馴染む。
普段弾いている感覚と遠くはない、でも明らかに未知の世界。
まるで指が鉄弦に食い込んで行くかのようにしなやかさ。
ボディはがっしりしつつ、振動がいつまでも止まない。
「鳴らしている」という行為が既に快感という、圧倒的な上質感。

そして音色はというと、
一つコードを鳴らしただけで、深い森に迷い込んだような気持ちになった。
しんと静かで、深くて、潤っている。
アコギと言えば根底にブルースがある、というのが僕のイメージだったけど、
このギターの根底にあるのはもっと別のもの。
もっと個人的な憂いというか、それでいて大自然と繋がっているような・・・

フォークのようにコードをかき鳴らすこともできるけど、僕はしっかりした弦を張って一音一音の伸びやかさを感じながら弾くのが気に入っている。
一音の煌びやかさとサスティーンは、フラメンコギターにはないものだから。
押さえたことのないポジション、弾いたことのないフレーズを手が勝手に探してくれるのを、楽しみながら弾いている。

ジャズギタリストがナイロン弦もスチール弦も弾くのは普通なことだけど、本格的なクラシックギタリストがアコギも弾く、という例は少ない。指弾きに特化するほど爪の作り方が緻密になっていって、持ち替えが難しくなるのだろう。
でも僕は例えばラルフ・タウナーの大ファンだし、Julia langeのような若手もいる。木村大くんもちょっとアコギ弾いてたな。。

フラメンコでは、どうなんだろう。
可能性は無限だな、と思う。


Jin Oki Model スペック

Melodia 12th
Top : German Spruce
S&B :Amazon Rosewood
Rosette : Madrone Burl
Finger Boards : Ebony
Bridge : Ebony
Neck : Mahogany
Binding : Ebony
Peg : Gotoh SGS510Z HAP
Nut width : 48mm
Scale : 25,5”




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?