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はじめての森鴎外

半世紀ちょい生きてきて、初めて日本の「文豪」と呼ばれる人たちの小説を読み進めています。この歳になって初めて読む気になったと言った方がいいかもしれません。

たくさんの人に読み継がれた古典に、感想を記すとは私もよほど身の程知らずだと思いますが。

森鴎外『山椒大夫・高瀬舟』

岩波文庫の表紙にある「烈しい感情をひめつつ淡々とした文体で描いた」という紹介は、読み終えた私の感想そのまま、というかそれ以上の言葉が見つかりません。

文章には無駄な説明がなく、状況説明のなかで想像力がかき立てられました。ひとつひとつの作品は短く、展開も早いでが、その背景には様々なドラマがあることが容易に想像されるのです。

こういう、短くシンプルで内容の濃い文章、いいなぁ(語彙不足)。


森鴎外は、資料を徹底的に調べてから物語を書く人だったそう(斎藤茂吉!の「解説」より)。どこかで聞いたことがあるぞ。


文章を前にしたとき(文章だけではないと思うが)、その行間から読み取るものは、自分の経験からくる感情を投影したものでもあるのでしょうね。もちろん、読んだ年齢によっても印象は大きく違うのでしょう。

読んで少し時間がたっていますが、優れた文章、名作と呼ばれるものは、じわじわ良さを感じますね。

若い頃に読んでおけばよかったという感想も持たれる人がいるようですが、私はそう思ったことはないです。

読みたくなったときが読むべきとき、ですからね。


そういえば、森鴎外はかなり偉い医者だったとか。『高瀬舟』は安楽死だったり、その他の小説についても医療従事者ならではの視点が多くみられると、解説にも書かれていました。


医者が自ら正しい知見に基づいた情報発信をしていく姿というのを、今日配信していた「SNS医療のかたち」にちょっとだけ重ねて考えたりしています。