Summer Time Blues 聴き比べ
この曲大好きです。どのバージョンも。
はじめて聴いたのは、The Who の『ライヴ・アット・リーズ』。ウッドストックでも大盛り上がりだったようで、このカバー曲が彼らのライブの代表曲のひとつと言ってもいいと思います。
※いま見ると西城秀樹っぽくもある。
深紫伝説で一世を風靡した我らが王様が、このThe Whoのバージョンを『夏の憂うつ』として直訳カバー(『王様の恩返し』収録)しています。おかげで歌詞がしっかり味わえます。
王様訳でよくわかるのですが、とある従業員が時給と休暇を願い出るも雇主に一蹴される、この状況にはつける薬が無いという労働者の嘆きをコミカルに描いた歌詞です。
原曲はエディ・コクラン
The Who から入ったので、ずいぶんポップで、コミカルな原曲に驚いた記憶があります。けど、これも好きなんですよね。歌詞はブラックなのに、その状況全てを笑うような明るい曲調にたくましさを感じます。歌でも歌わないとやってられないぜ、とでもいうような。
あぁ、いま気づいた。その構造はブルースそのものだ。曲調はポップだけど紛れもないブルースだ。
で、日本のバンドのカバーも楽しい。
先駆けてレパートリーにしていたのは子供バンド。The Who寄りです。うじきつよし!
そして、RCサクセションが、原曲に近いアレンジでカバー(『カバーズ』収録)。泉谷しげるや高井麻巳子、三浦友和が参加してます。歌詞は完全オリジナルのコミカルな原発ソングに。高井麻巳子が良いんですよ。
このアルバムは当時大手レーベルから発売中止になって話題になりましたが、原曲への愛情と絶妙な日本語詩を楽しめておすすめです。
忌野清志郎のその後のバンド、リトルスクリーミングレビューのライブを観に行ったときは、ガッツリThe Whoのアレンジで演っていて、感激しました。ギターの三宅伸治が、ピートタウンゼントばりに右手をぐるぐるしてました。みんな好きなんだなぁ。
ウルフルズも少しもじったオリジナルの詩をつけてカバーしています(『ブギウギ’96』に収録)。原曲にはない、日本の夏の蒸し暑さが伝わってくる、楽しい仕上がりになっています。これも好きで聴き込んだなぁ。
もういっちょ、ギターウルフのノイジーでラウドなカバー!
『ジェットジェネレーション』『GOLDEN BLACK』に収録
破壊力満点!ギターウルフらしくてカッコいい!たまらんです。
どのカバーも、前奏を聴いただけで、ワクワクしちゃいます。
そういえば、RCサクセションは、上記『カバー』を出す以前に、明らかにこの曲に発想を得たと思しき曲を作っています。
『ボスしけてるぜ』(『EPLP』またはベスト盤)
単音でリズムを刻む感じとか、従業員と雇主の掛け合いとか、ニヤッとしてしまいます。原曲へ強いリスペクトを持ちながら、エッセンスはそのままに、自分たちのスタイルで楽しませてくれる。
こういうやり方って、忌野清志郎や仲井戸麗市が先駆けて、奥田民生やトータス松本なんかもその後に続いている感じがします。いや、ローリングストーンズだってジミヘンだって、ブルースに憧れて真似て新しいスタイルを見せてくれた。みんなそうだ。
みんな好きなんだなぁ。
オレも好きだぁ!