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りんごは何色?
本の紹介をひとつ。
『りんごは赤じゃない』山本美芽
読んだのはたぶん15年前。細かいことは忘れちゃったけど、読んだときに強いインパクトがあったことは覚えている。息子が小学校の高学年になるころだったかな。
ここは思い切って、うろ覚えのまま紹介する。
小学校か中学校の美術の先生の取り組みを、取材したライターが書いたもの。けっこう厳しい先生。指導しているところを遠くで見たい感じ。何より子供たちの絵がすんばらしくて、どんな教育をしているのかと、評判になったらしい。確かに、掲載されていた絵も、たくさんの色が使われた、子供の絵とは思えない立派なものだった。
その先生が教えているのは、まず、きちんと対象を見ること。本物はとても微妙でたくさんの色があること。それをそのまま描こう、ということ。そして、その取り組みの中で、子供たちのものの見方や、正しいプライドが形成されていく、というようなこと。だったと思う。
見ているものと描くものがいかに違うか。
りんごは赤い、という思い込みで赤く塗るのは正しいの?実際のりんごは、決して単純な赤一色ではない。
この辺りの内容にはハッとさせられた。
同じ赤でも黄色っぽかったり、暗かったり、光の当たり方でも全く違う。そしてその色を、絵の具を何度も混ぜ合わせて、再現する。
先入観をもたずに対象を見つめること、自分の捉えたままを表現すること、そのことに手間を惜しまないこと。
子供に何かを教える時って、ついつい単純化、パターン化しがちだけど、好奇心や美的感覚を育てるにはこういう考え方が必要なんだなって、考えさせられた一冊だった。
あと、疑問に思ったことはとにかく自分で調べること、という指導もあったはず。
あれ、結構ちゃんと覚えているかも。
積み本がたくさんあるので、再読していないけど、引越しのたびに連れて歩いて大事に本棚に入れてある。
気が向いたらまた。