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膝の内側の痛みに対しての鍼灸治療(基礎編)

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こんにちは!陣内(@jin_anzu)です。

今回は「膝の内側の痛みに対しての鍼灸治療(基礎編)」についてご紹介していきたいと思います。

鍼灸での臨床で多く診られるものとして「膝の痛み」があると思います。
特に膝の内側に痛みがある方は多く来院されると思います。

膝の内側の痛みを診る時に膝の内側半月板、内側側副靭帯、筋組織などを診る事が多いと思いますが、今回はもう一つ忘れては組織があります。

今回はその組織にスポットライトを当ててご紹介していきたいと思います。


今回の記事で膝の臨床の際の引き出しが増えたら嬉しく思います。
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今回は論文やエビテンスに沿っていない部分もあります。
経験的に私自身の意見も多分に含まれるため「思います」、「考えられます」という表現が多くなります。

全てを鵜呑みにしないでご自分でもう一度考えていく事が重要になると思います。

それでは内容にはいっていきましょう♪

膝の内側部痛の原因となりえるもの


先ほども書いたように膝の内側の痛みの原因として考えられるものとして内側の半月板や内側側副靭帯、筋組織などがパッと浮かぶと思います。

それ以外で多いのは「伏在神経由来の痛み」だと思います。
伏在神経由来の痛みは変形性膝関節症などで伸張ストレスにより痛みが出ている場合やハンター管などで絞扼され痛みが出ている場合などもあります。

この部分を今回は深掘りをしていこうと思います。

伏在神経の解剖


伏在神経の痛みを考える場合、解剖的な知識が重要な部分になります。
走行を含めて確認していきましょう。

まずおおよそは大腿神経から分岐しハンター管を通過した後、膝蓋下枝と内側下腿皮枝に分かれそれぞれの範囲に分布します。

まずはハンター管の部分からご紹介していきます。

ハンター管

ハンター管(内転筋管)は外側が内側広筋、内側が縫工筋、底面が長内転筋・大内転筋から形成される筋性のトンネルになります。
このトンネルの中を伏在神経や大腿動脈や大腿静脈が通ります。

ハンター管部で狭窄され症状を呈するのがいわゆるハンター管症候群というものになります。
ハンター管で伏在神経が障害される原因として考えられるのは、内側広筋の肥大や内転筋群の過剰な収縮が考えられています。

伏在神経はハンター管を通過したのちに分岐するのでハンター管部での絞扼される場合は大腿内側から膝蓋骨前面、下腿内側面にかけて幅広く感覚障害が生じている場合が多くあります。

私が経験した症例ではご本人はシンスプリントだと思って来院されるも症状に違和感を感じ下腿の内側面の感覚異常やハンター管部でのチネル徴候があったので医科に検査をお願いした所ハンター管症候群診断された事がありました。

縫工筋と薄筋と伏在神経


伏在神経はハンター管を通過した後、縫工筋と薄筋の間を走行し皮下へ出た後に膝関節内側下部や膝蓋下枝に分岐します。そこから下腿内側から足部内側へと走行し分布します。

ちょっとここで考えてほしいのは縫工筋と薄筋の間を伏在神経が走行するという事です。

伏在神経領域で痛みが出やすいのはアスリートや変形性膝関節症の方に多いイメージがあると思います。

ハンター管部での障害で考えられるのは内側広筋の肥大や内転筋群の過剰な収縮とご紹介しましたが変形性膝関節症の場合この理由が当てはまることはほぼないと私は思っています。

では何が問題だと考えられるでしょうか?

まず変形性膝関節症ではO脚様を呈する事が多いと思います。
この場合膝関節は下腿外旋のアライメントを呈する事になります。
その為鵞足筋群は内旋作用を持つため拮抗する作用を持っている事になります。
そのため鵞足筋群が慢性的な筋収縮を起こすようになり縫工筋と薄筋の間を通る伏在神経に圧迫ストレスを与える可能性が出てくると思います。


また下腿外旋のアライメントを呈する事によって物理的に伏在神経は伸張ストレスにさらされる事にようになります。

これらの事により変形性膝関節症などの場合伏在神経由来の膝内側部の痛みが生じると私は考えています。

さらにいうと伏在神経は膝関節包を支配する感覚枝もあるため膝内側や膝蓋下だけではない部分の痛みの原因にもなりえます。
膝関節の痛みをみる場合伏在神経の事は頭に入れておくことは重要なのかなと思っています。

膝蓋下枝による内側部の痛み

膝蓋下枝は個体差があるといわれています。

縫工筋表層を通過するもの
縫工筋を貫通するもの
縫工筋の深層を通過するもの

これらの個体差があるもののどれにも考えられる事は膝蓋下枝と縫工筋には深い関係性があるという事です。

つまり表層の場合であれば伏在神経が縫工筋の表層を上手く滑らかに動く事が出来ているのか、縫工筋を貫通するものや縫工筋の深層を通過するものであれば縫工筋の収縮によりストレスが生じていないか、伸張や短縮によるストレスが生じていないかなどが考えられます。

これらの事がおこり伏在神経が障害されると、縫工筋が原因となる膝蓋下枝由来の疼痛が起きている事が考えられます。

また、膝蓋下枝は3つの枝(superior branch,middle branch,inferior branch)に分枝し、膝蓋骨尖と脛骨粗面の間を走行し外側まで走行していきます。


これらの神経の走行も臨床上では頭に入れておくのは大事だと思います。

伏在神経由来の膝関節内側の痛みのポイント


伏在神経由来の膝内側の痛みを臨床で評価していく場合大事なのは圧痛、チネル徴候、筋収縮による疼痛誘発、神経伸張テストだと考えています。

圧痛やチネル徴候は伏在神経の走行に沿って評価をしていきます。上からハンター管部、縫工筋、薄筋の間、縫工筋の筋腹、膝蓋下枝、内側下腿皮枝で触圧痛や評価をしていきます。

ハンター管や縫工筋と薄筋の間で伏在神経が障害されている時は大腿部内側から下腿内側まで幅広く疼痛や違和感等を感じる事が多いです。

また膝蓋下枝が障害されると同部位での圧痛が生じ膝蓋骨周囲のみに違和感が生じます。

筋収縮による誘発は縫工筋、薄筋、内側広筋、内転筋群で実施していきます。

縫工筋は股関節伸展、内転、内旋にて縫工筋を伸張させた状態から、股関節屈曲-外転-外旋の等尺性収縮を行わせることで、疼痛が再現されるかどうかを確認します。

薄筋の収縮はベッドから下肢を下垂させ、股関節外転位、膝関節屈曲位とします。その状態から膝関節を伸展させ、疼痛が再現できるかを確認します。


神経伸張テストは伏在神経の走行を考えると股関節伸展+外転、下腿外旋、足部の回内を行っていきます。

この伸張テストにて、下腿内側~足底部内側、膝蓋骨尖直下に違和感や症状が出現した場合、伏在神経由来の症状と考えられます。

ただ伏在神経由来の痛みの場合、「夜間痛を併発すること」が多くあるので注意が必要です。
私が体験した中では突発性膝関節壊死が複数件ありました。
夜間痛がある場合何かある可能性があるので医療機関への受診を勧めるのは大事な事だと思います。

まとめ

今回は膝の内側の痛みについて書いていきました。特に今回は臨床の中で見逃す事の出来ない伏在神経についてピックアップして書いていきました。
もちろん他の器質的な問題と鑑別していくのは大事な事です。

勉強した後って自分の中で患者さんをあてはめちゃうことが多いと思います。
まずはフラットな目線で「評価、鑑別」する事が大事ですよ‼


ご覧いただいている先生方の施術の中の考え方に今回の記事が何かお役に立てれば幸いに思います。

最後までご覧下さりありがとうございました♫
この記事が皆様の臨床の一助になればいいと思っております。


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陣内由彦(じんのうち よしひこ)
@jin_anzu
【職業】
鍼灸整骨院経営
【保有資格】
鍼灸師
柔道整復師
【主な活動】
各種学生スポーツにトレーナーとして帯同
セイリン公式セミナー講師
杏鍼灸整骨院公式YouTubeチャンネル
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YouTube鍼灸大学校臨時講師


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