コクラン『編集長の』謝罪とマスクレビュー筆頭著者の怒り
先日マスクに有効性が認められないと結論したコクランレビューを紹介しました。
これまで行われたマスクに関するRCTを総合して、サージカルマスク・不織布マスクはもちろん、N95マスクでさえも、感染を防ぐ効果は見出せなかったのです。
すると案の定「有効性が見出せなかったからと言って無効とは言えない」という批判が噴出したのでした。
そして何と3月10日、コクラン編集長のKarla Soares-Weiser氏が異例の謝罪声明を出しました。
「このレビューの元の言語の元々のサマリーでは『私たちが検討した一連の研究においては、マスクもしくはN95/P2着用が呼吸器系ウイルスの広がりを遅らせることを助けるかどうかわからなかった』としていた。この言い回しは誤解を招く可能性があったので、我々は謝罪する」
重要なことはこれはレビュー著者ではなく、あくまでコクラン編集長の謝罪だということです。そして謝罪は言い回しについてであり、この研究のプロセスや結果に何か間違いがあったわけではないということです。
編集長はこの声明で「例えば、最も重視された研究では、マスク群の人でも42.3%しかマスクしてなかった、コントロール群でも13.3%の人がマスクしてた」から著者たちには制限があった(だから確かなことは言えない)と言います。
制限はあらゆる研究にあります。今後さらなる研究の結果が出なければわからないことがあるのは当たり前のことです。
それでも現在までのエビデンスでマスクに有意な効果があるとは認められない事実に何の変更もありません。
この編集長の謝罪に対し、レビューの筆頭著者であるジェファーソン氏は怒りを表明しました。鈴木利仁さんがわかりやすく訳してくださっています。
つまりコクラン編集長はレビューの著者に連絡もせずに、勝手に謝罪してしまったのです。その背景にはマスクの効果を否定するレビューに対して何らかの強い圧力があったことが窺われます。
この編集長の謝罪を受けて、マスクに有効性が認められないとしたレビューそのものが否定されたと解釈する記事や言説が多く見られます。
☝️の記事では
「マスク着用と感染予防の関係について、はっきりした結論を出すのは早計ということだ」
と言っておきながら、そのすぐ後で
「やはり、不織布マスクを着用し、入念な手洗いやうがいを励行し、屋内では小まめに換気をすることが、基本的な感染対策として重要なのは間違いない(※4)。」
と矛盾することを言っています。(「はっきり結論出すのは早計」なのに「重要なのは間違いない」って結論出してる)
「やはり」「間違いない」という言葉が結論ありきであることを示しています。根拠として引用された(※4)でマスク有効を支持するのは、数理モデルや観察研究などの低レベルエビデンスに限られます。つまりこれまでのマスク支持者の主張と同じです。
エビデンスにはレベルがあります。低レベルエビデンスでどんなに支持されようと、より高いレベルのエビデンスであるRCTで有意差が出なかった結果を覆すことはできません。
エビデンスピラミッドの頂点に位置するのはRCTのシステマチックレビュー&メタアナリシスです。ただのシステマチックレビュー&メタアナリシスではありません。『RCTの』システマチックレビュー&メタアナリシスです。
コクランレビューがそれです。
低レベルのエビデンスが高レベルのエビデンスの結果を覆す下克上メチャアナリシスは科学的に反則です。
そもそも『有意差無し』という結果のRCTでさえマスク群が有利に設定され、マスクの効果を出すためにデザインされた研究だったのです。
デンマークのRCTではマスク群には1ヶ月間にサージカルマスク50枚が配られていました。
一般社会では布マスクやウレタンマスクの人も多く、また1枚のマスクを1日以上使う人が多いことがわかっています。
バングラデシュの研究ではマスク群にお金が支払われ、またランダム化に不正がありました。それでもごくわずかな差しか出せませんでした。
どんなにマスク推進者が屁理屈をこねようと、マスクが有効だと言える高いレベルのエビデンスは存在しない、それが事実です。
有効だというエビエンスが無いから無効だとは言えない?それなら無効なエビデンスがないお札でもお守りでも感染対策に無効だとは言えないということになってしまいます。
そう個人的に信じる人がいるのは勝手ですが、そんなことを公的機関が推奨したりましてや他人に強制なんてしていいはずがありません。
実社会において、マスクは無効かつ有害だとわかったから世界中ほとんどの国でマスクを外したのです。
そして感染者はマスクを外した国々よりマスクを続ける国々でこそ爆発的に増え、マスクを外した国々では何の問題も起こらなかったのです。
コクラン編集長の「言い回し」についての謝罪によって、エビデンスもこの現実も覆ることなどないのです。
あまりにこの「編集長の謝罪」を使ってレビュー自体を否定する人が多いようなので、そこははっきり申し上げておきます。
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