「マスク有効」をうたった研究の結果は、実は『マスク無効』だった〜バングラディシュRCTの実際
バングラディシュのRCTで初めて「マスク有効」と言ってるけど?
これまでご紹介した通り、マスクの有効性を調べた質の高い臨床研究ではマスクの効果は尽く否定されてきました。
ところがイェール大学の研究グループがバングラディシュの600の村で行った「ランダム化試験」と名乗る試験で「有意差」が出たと発表、長らくプレプリントのままでしたが、12月2日にようやく『Science』に掲載されました。(『Science』の名が廃りますね)
「マスク着用と身体的距離を推奨された村では、推奨されなかった村に比べて症状と血清SARS-CoV-2 IgG陽性が13.3~42.3%減った」というのです。
本当は有意差がなかった
この研究は掲載日と同じ12月2日に疑義がつきました。
(バングラディシュマスク試験におけるサンプリングの偏りに関する注釈)
データを再解析したところ、実はマスク・距離群とコントロール群の感染者数には有意差がなかったのです。
そして、ランダム化されていたはずのマスク・距離群とコントロール群の人口には大きな有意差があったのです。
マスク・距離群の人口は170,497人、コントロール群の人口は156,938人。(13,559人の差)
そしてコ○ナ様の症状があり抗体陽性になった人がマスク・距離群で1,086人、コントロール群で1,106人でした。(20人の差、32万7千人以上参加した研究で)
これは有意とするにはあまりに小さすぎる差で、もし仮に個人でランダム化してあったとしてもp=0.34と有意差無しです。
(確率1/2で二項検定した場合。この研究はもともと村ごとのランダム化であって、個人はランダム化されていません)
この研究では、症状があり抗体陽性になった人の「率」でマスクの効果が主張されています。つまり人口という分母で割られているのです。
症状があって抗体陽性となった人が10%減少したという結果は、分子である症状があって抗体陽性となった割合が約2%低下したことではなく、分母である群の人口が約9%多かったことによって導き出されています。
なぜ分母(人口)がちがうのか?
マスク着用の増加や身体的距離の増加以上に、マスク・距離群とコントロール群で最も大きく異なっていたのは、この研究データに参加するように持ちかけられた世帯数でした。そして人口は減ったとされる感染者の「率」の分母に含まれるのです。
解析すると、世帯数の差はp=10の-11乗と有意でしたが(Wilcoxon検定)、症状があって抗体陽性となった人の数も率も有意差は出ませんでした。
症状はあっても抗体が確認されなかった「率」では有意差が出ましたが、「数」では出ませんでした。
介入はマスク着用・身体的距離といった行動には大きな効果をもたらしたものの、症状と抗体陽性者数への効果はずっと小さなものであり、有意水準をクリアするものではなかったのです。(つまり、マスク着用や距離はとったけど感染は減らさなかった)
なぜ両群の人口に差が出たのか?
参加者の募集は2段階で行われました。まず、盲検化された(マスク・距離群かコントロール群か知らない)スタッフが世帯の地図を作り、次に、盲検化されていない(マスク・距離群かコントロール群か知っている)スタッフが世帯ごとに研究への参加の同意を取ったのです。
実は「ランダム化」されていなかった?
最初の地図を作る段階で、マスク・距離群の村の方が4.5%世帯数が多くなっていました。このマッピング行動のマスク・距離群とコントロール群の差はわずかながら有意でした(p=0.0072)。スタッフは盲検化されていたはずなのに、偶然とは言えないほど人口が多い村の方がマスク・距離群に入れられたのです。
マスク群の分母(人口)が多くなるように仕組んだ
そして2段階目で、盲検化されていない(マスク・距離群かコントロール群か知っている)スタッフによる研究への参加の同意を求めた世帯数にはマスク・距離群とコントロール群で極めて有意な差が出ました(p=10の-11乗)。その結果、マスク・距離群とコントロール群の世帯数には8%の差が付き、全体の人口では9%の差がついたのです。(つまり両群の人口の差は偶然ではありえず、意図的に人口に差をつけたということ)
この参加を求められた人口の差が、マスク着用や身体的距離以上に両群にとって最も大きな差をもたらしていたのです。
以上がコーネル大学のHPに掲載された疑義になります。
この論文一つをもって鬼の首を取ったかのように、他の全てのRCTで否定されていることは全部無視して「マスクは有効なんだ」と主張している方々、惜しかったですね^^
(☝️ぜんぜん惜しくないけど)
それにしても雑誌名だけで中身は関係なく持ち上げる風潮はなんとかならないでしょうか(NEJMとか)。テレビに出たらえらい気になってピースしてる子どもよりたちが悪いです。雑誌もテレビもスポンサーさえつけばデマでも何でも出すのにね。
マスク有効と「するための」様々な手口
しかもこの論文、最初からマスクだけでなく身体的距離とかいろんな介入をしちゃってますから、もともとマスク単独の効果は言えません。(マスク単体では有意差が出ないことを自覚していたのでしょうね)
さらに言えば、イェールの解析でもp=0.05とギリギリ有意と言えない値。有意差とは、p値が有意水準を『下回っている』ことで、一般的には甘めでも0.05を有意水準としてp<0.05を有意とします。p=0.05ではギリギリ有意ではないのです。
『有意差が出なかった』ということは、この論文のままでも、マスクの『有意な効果』は否定されていたということです。(再確認ありがとう〜)
さらなる手口
さらに、この研究には不自然なところがたくさんあります。まず、なぜバングラディシュで研究を行ったか?ということです。
バングラディシュと言えば、マカオやシンガポールのような島国都市国家を除けば世界で最も人口密度の高い、そして貧しい国です。
そんな国ですが、人口あたりコ○ナ感染者数はイェール大学のあるロックダウンやマスク義務化を行ったアメリカより研究開始まではるかに少なかったのです。
バングラディシュでも2020年5月マスクが義務化されたようですが、着用率は26%にとどまっていたそうです。(そもそも買えない人が多いかもしれません)
それでもコ○ナ感染者も死者もアメリカに比べればほとんどいませんでした。
そんな国でわざわざマスクの大規模試験を行なったのは、
①その巨大な人口を使って「こんなに多くの人数で研究したから確からしい」という印象を与えたかったから。
②サンプル数が大きいほど有意差が出しやすくなるから。逆に言えば32万人以上でやらないと20人の差すら出せないことが研究前からわかっていたから。(よく勘違いされていますが、有意差はサンプル数が多いほど出しやすくなります。だから製薬会社は大規模試験に巨費を投じるのです。明らかに効果のあること、例えばパラシュートの効果で有意差を出すのにサンプル数は少なくていい)
☝️これはドクチン95%有効という結果を出したNEJM論文と基本的には同じ手口です。発症者だけを取り出せば95%有効になりますが、膨大な非発症者にはほとんど差がありませんでした。(図は本間先生のブログからタイトル一部変更)
③マスク着用させる参加者にお金を払ったので、貧しい国の方がコストが安く上がるから(=買収しやすい)
でしょう。
マスクの有害性を無視
この研究では、マスクの副作用を「有害事象は報告されなかった」の一言で済ませていますが、そんなはずはありません。
実はアメリカと比べると微々たるもので全く分からなくなりますが、バングラディシュだけで見ると5月にマスク義務化されてから感染者・死者とも急増していました。
👇バングラディシュのコ○ナ感染者数。5月から急増。(比較に日本)
👇バングラディシュのコ○ナ死者数。5月から急増。(比較に日本)
バングラディシュでは暑くて湿度が高く、マスクはすぐ湿って呼吸を妨げ、カビや雑菌の温床となるでしょう。当然、熱中症にもムコール症(カビ感染)にもなりやすいでしょう。そうしたことを全部無視して「報告されなかった」って、報告させなかったのが事実でしょう。
研究期間中にドクチンを開始
この研究は、2020年11月から2021年4月に行われました。正確な日付が書かれていないいい加減さもさることながら、この期間の感染者数のデータを見ると、これまでにない大きな感染者の波が来ていることがわかります。
そしてその波はこれまで多くの国で見てきた通り、ドクチン接種数の波によって引き起こされた波でした。
ということは、この研究期間に感染者数が出る最大の要因は接種であり、マスクや距離の効果など埋もれてしまうことになります。(実は逆効果だとしても)
接種の波が感染者の波を引き起こすことは逆に世界で最も人口密度の低い国モンゴルでも確認されます。
この研究でコントロール群で多く接種させていたとまでは言いませんが、少なくとも研究期間中にあった感染者数に大きな影響を与える要因を検討から外していたことは間違いありません。
多くの人がこの論文の問題を指摘
この論文に疑義を呈している人は多くいます。こちらは日本語でとてもわかりやすいので紹介します👇。
「50才以上では有意差が見られるが、50歳以下では有意差が見られない」
「マスク村だけ身体的距離をとっており、マスクのRCTとは言えない」
「成人のマスク着用が75%を超えると報酬がもらえる」
「症状のある人の4割しか抗体を検査されていない」
ことを指摘されています。
色々な意味で、穴だらけの論文なのです。
イェール大学の名前の由来となったエライヒュー・イェールは東インド会社総督でした。
バングラディシュを含むインドを植民地支配していた東インド会社、その欺瞞に満ちた支配はバングラディシュが独立した今もこんなところに現れているのですね。
(追記)コーネル大学HPに載っているこちら👇につきまして、(しっかりコ○ナ検閲を受けています)
以下のようなコメントをいただきました。
「疑義に全くなってないと思います。
感染した人の数ではなく割合を見るべきなのは当たり前でしょう。
盲検にならないのだから対照群で参加者が減るのも当然です」
「割合を見るべきなのは当たり前」とのことですが、マスコミが感染者数について報道する時、割合で報道されているでしょうか?
「昨日の感染者数は162人です」
と言ってるのではないでしょうか?(テレビ見てないから知りませんけど)
「昨日の感染率は日本人口の0.00013%です。」
とは言わないでしょう。
「もうすぐ2年になりますが、累積でも98.6%の人は感染してません」
とも言わないでしょう。
恐怖を煽りたい時は、感染者だけに注目させようとするのです。
膨大な非感染者を無視することで、マスクに効果があったかのように見せかけるのです。
以前ご紹介した👇で取り上げた研究でも、同じ手口を使っています。
またもし割合で見るならば、母数が公平でなくてはなりません。この研究では、盲検かされていたはずの村のマッピングの時点ですでに有意な差がついていたのですから、公平とは言えないのです。
「盲検にならない」のではなく、盲検化したはずのところもそうなっていなかったのですから、ランダム化比較試験(RCT)とすら呼べません。
そうした様々な手口を使ってさえ、マスクの有効性は示せなかった、それがこの研究が明らかにしたことではないでしょうか。
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