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風邪を洗い流す!! 塩うがい・鼻うがいのコツ

 この記事は☝️の動画の内容(+α)です。

 今日は風邪を引かないために、あるいは風邪を引いてしまっても即効で治るために有効なとっておきの方法をお伝えします。

 年末年始、私は例年、救急外来で風邪を引いた人をたくさん診ます。
 ただ今年は、ちょっと風邪ひいたからってなかなか病院行けないじゃないですか?
 受診を断られたり、自分の方が変な検査されないか心配だったり、色々めんどくさいですよね。
 自分で風邪をひかないようにできたら最高だし、引いたとしても、あれ、ちょっとおかしいな?って時に、素早く対処して治ることができたらいいですよね。

 そもそも「風邪」って何か知ってますか?
 え〜、鼻水とかくしゃみとか咳とか熱とか出るやつでしょ?と思った方、正解です!
 医学的には、風邪を「風邪症候群」と言います。
 「症候群」というのは小難しい言葉ですが、単に症状の群れ、症状の集まりのことです。
 風邪の場合、くしゃみ、咳、鼻水、発熱などの集まりということです。
 病原体とか関係ないんですね。何ウイルスだろうと、風邪は風邪なんです。

 別名を「急性上気道炎」と言います。
 急性というのは、急になるということです。
「いきなり風邪ひいちゃったよ!」
 という人、風邪は急性だから「いきなり」引くのです。
 こじらせて長々咳などが続くと、慢性になります。そうならないことが大切ですね。
 上気道というのは、ノドから上の空気が通る道、つまり、鼻と(口と)とノド(咽頭と喉頭)のことです。
 急に鼻とかノドとかで炎症が起こるのが風邪、ということです。

 なんで炎症が起こるの?そこが汚れているからです。
 なんで汚れているのか?細菌か、ウイルスか、花粉か、色々あります。

 気道は私たちが呼吸するたびに空気が出入りするので、汚れやすいんですね。
 特にのどは、前から来た空気が折れ曲がるところで、ちょうど汚れがつきやすいんです。
 薪ストーブの煙突でも、折れ曲がったところが詰まりやすいんです。

 身体はその汚れやすいノドにたくさんの免疫細胞を配置して、バイキンやウイルスを通さないように関所にしています。免疫系がしっかり働いてくれれば、ウイルスやバイキンをやっつけて分解して、次に来たらもっと楽にやっつけられるように学習してくれます。
 ところが、ノドが汚れっぱなしだと、免疫細胞がうまく働けません。
 汚いまな板の上ではおいしい料理はできないようなものですね。

 汚れたノドでは風邪をひきやすく、汚れたままでは風邪が治りにくいのです。

 すすった鼻水などがずっとへばりついているノドは炎症を起こしてひどく痛みます。それがさらに下に落ちていけば、喉頭炎(咳、声が枯れる)、気管支炎(咳、呼吸苦)、肺炎(呼吸苦、命の危険)になる恐れがあります。

 だから、ノドをきれいにすることが大切です。

 ノドをきれいにする方法は何でしょう。
 うがい ?
 正解!うがいはとても有効です。
 でもなんか聞いたことありません?
 うがいしてもウイルスを殺さないから意味ないよ、とか。
 医療関係者でも勘違いしている人が多いのですが、

うがいはウイルスやバイ菌を殺すためにするのではありません。きれいに洗い流して、免疫細胞が働きやすくなるためにするのです。

 ちょっと前、どこかの知事がイソジンが効くとか言って話題になりましたよね?
 そりゃイソジンはウイルス殺しますよ、常識として。ただ、免疫細胞はもっと殺しちゃいます。
 イソジンは薄まるとバイ菌は殺せなくなるのに、人間の細胞は1万倍に薄めても殺してしまうんですね。


 ですから、臨床研究でもイソジンうがいの風邪への効果は否定されています。

 一方、ただの水でのうがいは効果が認められています


 さらにNatureに掲載されたランダム化比較試験では、塩水うがいは有意に治りを早め、クスリの使用を減らし、家族への感染も減らしたという結果だったのです。

 だからうがいは塩水がベストです。

 うちの洗面所には百均の容器に塩と重曹を入れて、いつでも塩うがいできるようにしています。

 口からのうがいは濃さを厳密に気にする必要はありません。

 うがいするだけで風邪をひきにくく、引いたとしても治りやすくなりますから、特に風邪のひきはじめに、ぜひこまめにやってみてください。

 ただ口からのうがいで洗えるのは、口とノドの下の方だけです。

 もちろんノドの下の方をきれいにするのも大事ですよ。
 でも皆さん、思い出してみてください。
 風邪の引きはじめって、鼻水が出たり、ノドの上の方がイガイガしません?
 
 そうなんです。風邪を引かないために、そして風邪の引きはじめに、本当に洗いたいのは、ノドの上の方なんです。 

 ノドの上の方のことを、上咽頭と呼びます。
 ちょうど折れ曲がるところ、鼻とノドのジョイント部分、ジョイントだから上咽頭、もう覚えましたね。
 ここはとても大切な免疫の関所で、ここが汚れっぱなしだと免疫が誤作動して、重大な腎臓病などを起こしてしまうこともあるんです。
 
 ここをきれいに洗うには、口からのうがいでは難しいです。
 そこでおすすめなのが、鼻うがいです。

 鼻うがいというと、最近はテレビなどで有名人もよく紹介しているので、もう知ってます。やってます、という人も多いかも知れません。
 一方、なんか痛そう、難しそうと思っている方もいるでしょう。
 鼻うがいは、コツを知っていれば全然痛くありません。
 また知ってます、やってますという人も、実は世間でよく知られている方法では、実は効果が発揮されにくい、さらに副作用ってほどでもないですけど、ちょっと不便なことにもなりかねませんので、今日はより効果的に、より快適に、より安全に鼻うがいするコツを知ってもらいたいと思います。

鼻うがいの心配①痛くない?

0.9%の塩水を使えば全く痛くありません。
専用キットと、専用の塩のパックが売っていますので、それを使えばもんだいありません。
こんくらいの塩の量でいいんだな、とわかると、私なんかはわざわざ買ったりパックあけるのはめんどうくさいので、目分量で塩と重曹をちょっと入れてやってます。そこまで厳密でなくてもいいです。

 2%くらいまで、少し濃い目の方が効果が高いという研究もあります。

鼻うがいの心配②後で鼻から水でない?

実は、鼻うがいやってる人の多くが困るのがこれです。
鼻うがいをしてしばらくたって忘れた頃に、下を向いた時などに鼻から水が
出てくる
んですね。
だから朝とかしにくいですね。
出勤して「おはようございます」ってお辞儀したらジョロジョロジョロみたいなの困りますよね。
(謝る時なら号泣してんのかな、と思ってもらえるかもしれませんけど)

なんで後から水が出るのか?
これは「鼻」の場所を間違えているからです。
え?ちゃんと鼻に入れてるよ?柳沢慎吾さんじゃないんだから、目に入れて「あいたー」とかなるわけないじゃん。
と思うかも知れませんが、違うんです。
鼻っていうと普通はこの顔の真ん中ででっぱった部分だけをイメージしますが、本当はこの奥まで全部鼻、鼻腔なんです。

 そして鼻うがいの目的はなんでした?
 その鼻腔の奥にある、上咽頭を洗うこと
 だから、鼻うがいのノズルの向きは頭の方じゃなくて、背中側にむけなきゃいけないんですね
 そうしないと本当に洗いたい上咽頭がしっかり洗えないんです。

 そして頭に向けて鼻うがいをすると、水は副鼻腔に入ります。副鼻腔というのは、ほっぺたやおでこの骨にあいた空洞のことです。副鼻腔に膿が溜まるのが蓄膿症・副鼻腔炎です。

 頭の方にノズルを向けると、鼻うがいの水が副鼻腔の入り口から中に入って、あとで頭の向きを変えた時に出てくるというわけです。

 ノズルをなるべく低く、背中側にむけて水を出すことで、効果的に上咽頭を洗い、さらに副鼻腔に水が入りにくくなるんですね。

 では実際にやってみましょう。

 おすすめの場所は浴室です。
 前屈みにならず、頭を起こしてやりたいこと、ぬれても大丈夫ですし、お風呂に入ったらいつも鼻うがいするようにしておくと習慣化しやすくなります
 普段は裸でやってますが、今日はトライスーツで。
 うちはこのようにして洗って干してあります。

 これは重曹を少々入れた自然海塩です。
 
 私はこういう曲がったノズルのキットが使いやすいです。

 水量が多く、水圧がかけやすく、そしてボトルをおでこに当てるとちょうどいい角度で上咽頭を洗えます。
 こういうコンパクトなタイプもあります。
 安くて持ち運びには便利ですが、背中側に向けようとすると私はワキ漏れしてしまいます。(鼻の穴の形にもよるかも知れません)

 シャワーは塩素除去できるタイプがおすすめです。(どうしても必要というわけではありません)

 水道水でも基本的には問題ないです。

 まず少しシャワーを出してお湯にします。

 キットに塩を入れて、このくらいですね。

 人肌程度の温度になったのを確認してお湯を入れます。

 ノズルを鼻に差し込んで、ボトルをおでこにつけて、上咽頭を洗う意識をします。
 顔は真っ直ぐ前を見て、ノドの奥にしょっぱいお湯が少し感じられるくらいがベストです。
 うつむきすぎると上咽頭への水圧が弱まりますし、上をむきすぎると気管に水が入ってむせます。

 口からうがいをするときのように、少し声を出しながら、軽く口から息を吐きながらボトルを押してお湯を上咽頭にかけます。

 息を吸ってしまうとむせます。

 口を大きく明けすぎるのもよくありません。
 コンタクトするときとか、大口開ける人いますけど、あくびの時を思い出してもらうといいのですが、大きく口を開けると、鼻と耳をつなぐ耳管という管が開きます。鼻うがいをしながら耳管が開くと、耳に水が入ってしまいます。
 鼻うがい直後、まだ鼻腔に水が残っているのにすぐ鼻を噛むのも、耳に水が入ることがあるので避けましょう。

 私は鼻うがいをした後、ボトルをすすぐついでにもう一度お湯を入れて、口からうがいします。
 それによって、上咽頭から下に流れてきた汚れをさらにきれいにすることができます。

 終わったら、ノズル先端を中心によく洗って、乾かします。
 うちは浴室で干していますが、カビやすい地域の人は重曹で洗って、風通しの良い所で乾かすのが良いでしょう。

 いかがですか?ノドが痛いときに塩うがい・鼻うがいをしてノドをきれいにしたら、その場で痛みが軽くなってませんか?

 以上、風邪を予防し、即効で治るための塩うがい・鼻うがいでした。
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 ご視聴ありがとうございました。

まとめ

① 塩うがい・鼻うがいは風邪を減らし、治りを早める。

② 鼻うがいは0.9%の塩水を使う。(少し濃い方が効く)

③ 鼻うがいのノズルは上咽頭を狙う。(上ではなく後ろ側)

参考図書
📕ウイルスを寄せつけない! 痛くない鼻うがい 堀田修 著

☝️実用的かつ根本的、本当に素晴らしい名著です。電子ブックもあります。

お助け味噌汁(+ビタミンD)も併用ください。



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