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Q&A コロナ薬使用後の長引く不調、解熱剤使用後の痙攣

Q 1. 抗コロナ薬を使ってから不調が続いています。

18歳の娘がコロナになり、抗ウイルス薬を処方されたのですが… その後の調子がよくなく… どうしたらいいか悩んでおります。

9月○日の朝から発熱・上気道症状なし
そこから徐々に41℃近くまで発熱しました。
私はおそらく、コロナかインフルではと思ったので、病院には行かず、
水分も摂れており、意識もしっかりしていたので自宅で様子見ておりました。
頭痛が辛いと言って多少うなされてはおりました。悪寒がなければクーリングしておりました。
二日目の夜、仕事から帰ってきた主人が
「こんなに高熱で辛そうにしてるのに、解熱剤も飲ませず…、病院も連れて行かなくて、脳症にでもなったらどうするの?数%の確率でなるらしいよ
せめて熱だけでも少し下げてあげたら」
と言われましたが、
私は「意識もしっかりしているし、水分も、よく摂れてる。まだ熱は続いてるけど汗をかけば少しずつ下がってるし…。様子みても…。」
と思いながら、
私も心配になり解熱剤(カロナール400mg)を飲ませました。(前に処方されたものを使用した)

その後娘は大量の汗をかき、熱も38℃くらいまで下がり少しすっきりした様子でした。

そこから、汗かいたのでシャワーに入りたいと入り、出てきたあと
気持ち悪いと言って脳貧血を起こしてしまいました。

すぐ横に寝かせました。15秒くらい意識消失、その後15秒くらいの痙攣を起こしました。

その後、意識は戻り会話もできましたが
やや朦朧としていたので
主人が脳に何かあっては怖い救急車呼んで病院連れて行ったほうがよい
となり、病院へ。(発熱なので診てくれる病院はなかなか見つからず…、1時間半車内で待機)
その間強い腹痛あり、生理きていた。普段は生理痛なし

病院で診てもらった結果
コロナ陽性、脳には異常なし
ゾコーバ125mg処方され帰宅。
その日に3錠内服指示あり、飲む。翌日から同時間に一日1錠4日間
内服処方あり

熱は徐々に下がり、現在残ってる症状は咳、鼻水、痰、腹痛、下痢です。
今一番辛いのは下痢症状
だそうです。

顔色優れず、

あまり食欲はありませんが、お味噌汁や果物などは摂れています。徐々に少しずつ食べれてきています

ゾコーバ、1日飲ませ忘れて
1回分残っております。

この下痢はゾコーバによるものでしょうか…

下痢の頻度一日2〜3回

食欲はないので、無理に食べさせずしかし…下痢で脱水とミネラルバランスが崩れてるのではと思い、
お味噌汁、梅醤番茶などは飲ませています

Q2. 高熱時に解熱剤は必要?

長くなりすみません。

もう一つお伺いしたいこたが、

私はあの脳貧血、痙攣は
カロナールを飲ませてしまったため、急激な体温低下による血圧低下によるものでは…
と推測してます。

(私自身も解熱剤内服後、そのような経験があるため。
それからは、解熱剤は使用しないようにしている。)

今回のような、高熱だが、意識清明であり、水分も摂れてる状態で
解熱剤の使用は必要だったのか…?

また、解熱剤の使用の仕方について教えてください。(高齢者や体力のない人)

A1 . 抗コロナ薬の副作用を疑います。

 ご質問ありがとうございます。心配ですね。
 結論から言うと、私は娘さんの下痢症状はゾコーバの副作用の可能性が高いと考えます。
 ゾコーバは添付文書にも下痢悪心嘔吐などの消化器症状が1%未満に起こると記載されています。1%未満と言うと低いようですが、逆に言うと100人に1人程度、1万人の人が飲めば100人くらいにそうした症状が起こることが公式に認められているのです。

 またコロナだけでも下痢を起こすことはあります。腹痛下痢だけの主訴で救急搬送された患者がコロナということもあります。

 副作用かどうか確かめる最も確実な方法は、飲んだら症状が出て、飲むのをやめたら症状もおさまることを確認することです。

 と言っても、今飲み忘れた1錠を飲んで下痢が悪化すれば副作用だと確認する必要はもちろんありません。

 ゾコーバの薬物動態を見ると、5日間で内服終了しても血中濃度が下がるまでには10日ほどかかるようです。下痢症状がこのグラフと同じように日に日に収まってくるなら、副作用だったのだと考えて良いかと思います。

 下痢がさらに長引く場合には、それで副作用が否定されるわけではありませんが、他の原因も考えてみる必要があるでしょう。

 ではゾコーバの副作用だとしたら、どう対処すればよいか?
 私がお勧めすることは、3つ

1 脱水・脱ミネラルを避ける。
2 ビタミンDサプリを摂る。
3 下痢止めを飲まない(肝臓を救ける)

です。

1 脱水・脱ミネラルを避ける。

 副作用が治るためには体が薬(毒物)を解毒する時間が必要です。その間になるべく体がダメージを追わないようにすることが重要です。
 下痢の場合、腸から栄養素を吸収しにくくなってしまうことが問題です。

 すでにされているように、お味噌汁や梅醤番茶を飲むことはとても理にかなった対処法だと思います。

 重症の場合は、口から取るだけでは足りなくなります
 だるさが強い場合、動悸がする場合、低ナトリウム血症、低カリウム血症、低栄養などを起こしていることがあります。
 そうした場合は病院で血液検査と点滴を受けた方が回復が早いでしょう。
 点滴の内容としては、血液検査結果に応じてミネラルを補給するとともに、アミノ酸も含まれる輸液が良いでしょう。

2 ビタミンDサプリを摂る。

 毎度お馴染みのビタミンDですが、ここでもやはり重要です。まずコロナ感染し症状が重くなった時点で、既にビタミンDが不足または欠乏していたことが疑われます。
 下痢で低栄養になるとコレステロールが低下します。コレステロールが低下するとビタミンDは作れなくなりますコレステロール・ビタミンDが低下するとストレスに抵抗するステロイドホルモンなどがつくれなくなり、回復が遅れます。

 実はゾコーバの副作用として、下痢以上に多いとされているのがコレステロールの低下です。16.6%にHDLコレステロールの低下が見られるとされています。


 コレステロール代謝が下がっていることは、ビタミンD代謝・ステロイド代謝も下がっていることを疑わせます。

 実はゾコーバが下痢を起こすのもその脂質代謝障害、ビタミンD代謝障害によるかもしれません。
 というのも、ビタミンDは不足すると下痢、過剰になると便秘になりやすくなるのです。

 ビタミンDと牛乳などを一緒に摂り高カルシウム血症になると便秘になります。
 ビタミンDが下がり腸管からカルシウムが吸収できないと下痢になります。
 ビタミンD欠乏による下痢なら、ビタミンDサプリですぐ止まります
 1日1万IUから5万IUくらい、ビタミンDサプリを摂ってみて下痢の様子を見てみることはお勧めできます。

 ただしビタミンDを多量に摂る場合はビタミンK2が欠乏していると高カルシウム血症になる危険があるので、納豆を食べるか、食べられないならビタミンK2のサプリも一緒に摂る必要があります。

 1日1万〜5万IUというとかなり多いようですが、既に欠乏している状態で早く血中濃度を上げたい場合にはそのくらいは必要です。1日2千IUなどでは血中濃度が上がるのに何ヶ月もかかります

3 下痢止めを飲まない(肝臓を助ける、胃腸を助ける)

 もう一つ重要なことは下痢止め薬を飲まないことです。下痢を訴えて病院に行けば、ほとんどの医者は下痢止め薬を出します。しかしその下痢が悪いものを出すために体が必要でしていることなら、下痢を止めてしまえば毒物の排泄が遅れ、体に溜まってしまいます。
 食中毒などの場合、下痢止めを飲んだことが致命的になることがあります。

 ビタミンD欠乏で下痢しているならビタミンDを補って体が自ら下痢を止めるのはいいですが、体が排毒のためにしている下痢をくすりで止めては行けません

 ミヤBMなどの整腸剤、いわゆる善玉菌の薬は使っても良いでしょう。特に抗生剤を使用した後の下痢(CD腸炎など)には有効です。

 解毒器官である肝臓を助けてあげることがおすすめです。
 病院を受診するなら、血液検査で肝障害がないか確認し、肝障害があればグリチルリチン(強ミノ)などの肝庇護薬を使用するのもよいでしょう。

 後は口から肝臓と胃腸を助けてあげられるものを摂りましょう。

 味噌汁に加えて、下痢の時に少しでも食べたいものは、お米のご飯です。  
 白米でかまいません。おかゆより普通に炊いたご飯をよく噛んで食べることでモチリンなどのホルモンが分泌され、胃腸が正常化しやすくなります。
 個人差もありますが、基本的に日本人の腸内細菌はお米を食べるようにできている人が多いはずです。(私は一時期糖質制限でご飯をやめたら下痢するようになりました)

 肝臓を助ける食べ物として有名なのはウコンです。カレーライスなど食べられるとさらによいでしょう。(辛いのは避ける)
 もちろん食欲がないのに無理に食べるわけにはいきません。少量ずつ、体の声を聴きながら、食べたかったら食べるで良いのです。

 最後に、下痢その他の症状がコロナ後遺症としてまだウイルスの影響による症状であるなら、イベルメクチンや鼻うがいによる慢性上咽頭炎の解消が有効かもしれません

A2. おっしゃる通り、解熱剤による脱水症・血圧低下による脳貧血でしょう。

 

 発熱時に解熱剤を使用して、楽になった気がして入浴後倒れてしまう。実はこれはとてもよくあることです。そのまま湯船で死亡する人もたくさんいて、毎年のように搬送されてきます。

 解熱鎮痛剤は無理やり汗をかかせて体温を下げるため、脱水、脱ミネラルを引き起こします。そして血管内の血液量が減ったところに、入浴やシャワーで温められて皮膚や手足の血管が広がると、脳にいく血圧が低下してしまい、俗に言う脳貧血で意識を失います
 一時的に楽になった、よくなった、と思うのは錯覚に過ぎないのです。
 クスリで熱を下げた体は、水分と塩分を失い、免疫力が下がっているだけにすぎません

 風邪の発熱に対し解熱剤で脳症や重症化が減ったとか予後が改善したという報告は一切ありません。

 逆に悪化するという報告はたくさんありますし、私は解熱剤で悪化した実例を何度も見ています。

 ですから私は発熱時の解熱鎮痛剤の使用は一切お勧めしません

 もちろんそんなことになる人は全体からすればごく一部です。解熱剤を「使っても」ほとんどの人は治ります

 患者が熱があると言えば解熱剤を処方するのが、世の通念として患者側から期待されていることですし医者の側も一番楽です。
 ここに書いたようなことを長々説明してもまず理解されません。「いいから薬出せ」で終わります。

 どうせ解熱剤を飲んで悪くなって搬送されても患者は解熱剤が悪かったとは思いませんし(出した医者は自分で診ませんし)、出さなかったら苦情をもらいます。

 しかし解熱剤を使ったから風邪の予後が良くなることはなく、リスクが上がるだけなら一時的に楽になるメリットはないと私は考えます

 では発熱時はどうするのか?

 まずは本人が暑がっているのか?寒がっているのか?を確認します。発熱時初期の人はガタガタ震え、寒がっていることが多いでしょう。それはつまり熱を必要としているのです。(この時期は葛根湯がよく効きます)
 それなら必要なことはよく温めてあげることです。
 風邪の治療の基本は温かくして寝ることです。

 なぜ熱が出ているのに温めるのか?しっかり温めてあげることで、体は熱を上げるためのエネルギーを節約できます。逆に冷やしたり解熱剤を使うと体は熱を上げ直すために何倍もエネルギーを使わなくてはなりません。

 ただし、体には熱に弱い部位がいくつかあります。脳と精巣です。
 脳と精巣が熱くなりすぎないように冷やすことで、体は熱が上げやすくなります。娘さんならもちろん頭だけ冷やせば良いのです。
 発熱時に頭を冷やすのは、熱を下げるためではなく安全に熱をあげるためです。

 頭の冷やし方としては、古典的な水枕から冷水でしぼったおしぼりを額に当てるなど、いずれにしても本人が気持ち良いと感じるくらいの温度で、こまめにかえることが重要になります。

 体は十分発熱したら暑いと感じ、汗をかきます。汗をかけば冷えるので、こまめな着替えが重要です。

 それでも炎症が強すぎる場合、本人が辛そうすぎて耐えられない様子であれば、私は病院でステロイド注射を打ってもらうのが良いと考えます。本来は自分の副腎から分泌するはずのホルモンですが、ビタミンD欠乏などによって十分に分泌できないことが原因となりえるからです。

 連用は副腎がさぼるようになってしまうのでダメですが、必要な時は1回打つことでかなり楽になるでしょう。

 後は水分塩分が摂れない場合は点滴による輸液が必要です。

 それだけでほとんどの重症化は防げますし、逆にそれだけだから重症化や慢性化を防げるのです。 

 解熱鎮痛剤は全身状態が問題ない時の激痛の緩和、尿管結石・骨折・歯痛などにはとてもありがたいものですが、風邪などの発熱には必要ないと考えます。

(患者が欲しがるから出すだけです)

 以上、ご参考になれば幸いです。

 娘さんの一日も早いご回復をお祈りします。

 

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