10. コレステロールは高い方がいい

ポイント
1. ビタミンDを皮膚でつくる原料はコレステロール。
2. コレステロール(特にLDL)が低い人はがん死が増える。
3. コレステロール(特にLDL)が高い人の方が健康で長生き。

乳がんを減らす行動
コレステロールを下げる薬・食品やサプリメント(ビタミンDを除く)、過剰なダイエットや脂質制限食をやめる。


 さて、乳がんはビタミンD不足であり、ビタミンDは日光を浴びることで皮膚でつくれるとわかりました。
 ただし、ビタミンDを皮膚でつくるには原料が必要です。
 
 ビタミンDの原料は、コレステロールです
 ビタミンDを完成した料理に例えるなら、コレステロールが食材、日光はコンロの火です。


 いくら日光を浴びても、コレステロールがなければビタミンDは作れません。
 え?コレステロールって、悪者でしょ?少ないほうがいいんでしょ?
 ほとんどの人がそう思うでしょう。
 そういう情報が「普通」だからです。


 実はそのコレステロールを悪者だと考える「普通」が乳がんが増えた理由その2です。(その1は美白ブーム)


 はっきり言います。

 コレステロールは人の健康にとって最も大切な物質の一つであり、高い人ほど健康で長生きです。


 コレステロールはビタミンDの原料になるだけでなく、全身の細胞を作る材料であり、ストレスに耐えるホルモンの原料であり、脳の25~30%はコレステロールでできています
 動脈硬化の原因とされたのは、傷ついた血管の修復に使われたコレステロールが犯人扱いされた「ぬれぎぬ」です
 特に、コレステロールが低い人はがんで死ぬリスクが高まります


 がんにかかりたくない人で、コレステロールを下げる薬を飲んでいる人は、今すぐやめましょう


 コレステロールを下げる薬だけでなく、コレステロールを下げるとうたう食生活、過剰なダイエットや脂質制限食も同様にがんを増やします
 コレステロールを下げる調理用油が発がん性があるとのことで回収になったのを覚えている方もいるでしょう。


 コレステロールは糖質(お米など)、タンパク質(肉、魚など)、脂質(油など)のどれからでも、身体は作ることができます。
 とても大切な物質だから、身体はつくる方法をいくつも備えたのです。
 唯一、コレステロールが下がるのは栄養失調、つまり飢餓状態の時です。
 過剰な食事制限(間違ったダイエット)は厳禁です。
 ちゃんと食べてさえいれば、コレステロールは自然に作られます
 結論だけでいい人は、ここまでで結構です。次、「9.ビタミンDは魚で補える」へ行ってください。


 うげ~!コイツの話は何から何まで「世間」の「常識」と真逆だよ!もういい加減にしてよ!
 根拠が知りたい!
 そう思う人は、今すぐ茨城県立健康プラザの健診受診者生命予後追跡調査事業報告書H25年版を見て下さい。
 (参考ウェブサイト10-1)


 これは茨城県で健康診断を受けた40~79歳の男女9万7,882人をH5年からH22年までの17年間追跡調査して、健診の結果と死因を調べた大変貴重な資料です。
 他の地域からの統計でも同様の結果が見られますが、これが一番見やすいと思います。
 まず50ページを見て下さい。
 女性の全死亡について、総コレステロールの覧、40~64歳と65-79歳のどちらでも、総コレステロールが低い人たちで死亡リスクが高いのがわかります。(なぜかコレステロールが低い方が上にされてますから注意)

画像2


 逆に総コレステロールが高い人たちで死亡リスクは増えません
 しかも、その下、HDLコレステロールの覧を見てください。
 HDLコレステロールはいわゆる「善玉コレステロール」と呼ばれるやつです。
 ところがHDLコレステロールは、高くても低くても死亡リスクにほとんど影響しないことがわかります。
 ということは、総コレステロールのうち、HDL以外のもの、つまりは「悪玉コレステロール」と呼ばれるLDLコレステロールが高い方が、全ての原因を総合した総死亡リスクが低いことがわかります。


 LDLとは肝臓から皮膚などの末梢に行く、電車に例えれば「くだり」のコレステロール、HDLは皮膚など末梢から回収されて肝臓にもどる、電車に例えれば「のぼり」のコレステロールです。
 「くだり」は悪玉で「のぼり」は善玉なんて話はデタラメです。


 ビタミンDの原料になるのも、皮膚に運ばれたLDLなのです。
 ちなみにその下、中性脂肪も死亡リスクに関係ありません

画像3


 次に、66ページを見て下さい。


 40-64歳の女性では総コレステロールが低め160-179の人は、がん死亡リスクが1.4倍と40%増加しています。

画像4


 そして240以上に高い人たちのがん死亡リスクは上がりません。
 さらに65-79歳の女性では、総コレステロールが一番低い160以下の人たちのがん死亡リスクは1.2つまり20%増し、そして一番高い260以上の人たちのがん死亡リスクは最小の0.7つまり30%、有意に小さくなっています

 総コレステロールが高い人ほど、がんで死ぬリスクが低いのです。

 逆に、最もコレステロールが高い総コレステロール260以上の人たちを基準にすれば、最も低い人たちでは70%もがん死リスクが高いのです。


 コレステロールを下げろと主張する医者たちは、がん患者では肝臓でコレステロールを合成できなくなるからコレステロールが低くなるのだと言います。
 これもウソです。
 肝臓でコレステロール合成が落ちるのは、肝臓に多発転移をした本当の末期がんだけです。
 この統計は健康診断に来た人の17年間の追跡調査ですから、はじめから末期がんでコレステロール合成能が落ちていたはずはないのです。
 コレステロール高いほうがいいなら、なんでコレステロール高いと検診で引っかかるの?
 なんで医者はコレステロール下げる薬飲ませるの?
 当然そう思われるでしょう。
 では、少し戻って62ページを見てください。
 虚血性心疾患について、総コレステロール260以上の40-64歳女性では死亡リスクが2倍以上になっています。
 これがコレステロールが高いことが悪いとされ、下げる薬が出される理屈です。
 虚血性心疾患とは狭心症や心筋梗塞のことです。(ちなみに65-79歳では虚血性心疾患にも高コレステロールは関係ありません)
 じゃあ、コレステロールが260以上の40-65歳女性はコレステロールを下げる薬を飲んだ方がいいのでしょうか?
 ところが、今度は28ページを見てください。
 17年間に、虚血性心疾患で亡くなった女性は、40-49歳で15人、50-59歳で41人、60-69歳で272人しかいません。
 一方、がん(悪性新生物)で亡くなった女性は40-49歳で180人、50-59歳で421人、60-69歳で1,244人もいます。
 どの年代でも、特に40代と50代では10倍以上も虚血性心疾患よりがんのリスクの方が高いのです。
(さらに、虚血性心疾患のリスクはタバコ1日20本以上の方がはるかに大きく、タバコで傷ついた血管や細胞を治すために身体はコレステロールを増産していると考えられます。悪いのはコレステロールではなくタバコなのです。)
 つまり、コレステロールを下げることは、虚血性心疾患を防ぐためにがんや他の病気を増やしていることになります。(脳卒中もコレステロールが高い人で少なく、低い人で多い P58参照)
 かかりそうもない病を防ぐために、かかるリスクの高い病のリスクを増やし全体での死亡リスクを上げているのです。
 コレステロールを下げる薬は、がんや脳卒中で死んでもいいから(全死亡リスクを増やしてもいいから)、虚血性心疾患だけはいやだ、という人だけにお勧め、ということになります。


 世界ではこのことはすでに「医学的」にも「常識」で、女性にコレステロールを下げる薬を出しているのは日本だけだと言われます。

 さらに、乳がん死亡率との関連を見てみましょう。
 図2cを見てください。

画像1


 日本でコレステロールを下げる薬が製品化されたのは、1989年です。
 そして1990年代、日本の乳がん死が急増したことがわかります。
 メディアでもコレステロールが悪者にされ、メタボ健診などで引っ掛けられるようになりました。
 コレステロールを下げる医療が、日本で乳がんが増えた理由その3です。
 日本では40歳以上の女性の約50%がコレステロールが高いと検診で引っかかり、その多くが薬を処方されています。
 総コレステロール220以上、LDLコレステロール190以上は、本当は最も健康なのに、なんの根拠もなく「高脂血症」「脂質異常症」という「病気」にされています。

 そして、いったん病気にされたが最後、コレステロールの値がいくつになっても、高齢になっても、がん患者になっても、延々と処方され続けている人が多くいます。

 なぜ日本の医者はコレステロールを下げる薬を出し続けるのでしょうか?
 それが日本の多くの医者にとって「普通」だからです。
 つまり、今までそうしてきたから(習慣)、他の医者もみんなそうしているから(同調)、偉い人がそう言っているから(従属)が、コレステロールを下げる薬を出すという「普通」を作り上げたからです。
 まさか、患者を病気にしてやろうとか、殺してやろうと思って薬を出している医者はいないでしょう。
 ただ、真面目で忙しい医者ほど、「普通」から離れて、事実と論理に基づいた「科学的」思考をするのは困難になるのです。
 私も若い頃は「普通」にコレステロールを下げる薬を処方していました。
 そして、その「普通」の後ろには莫大なお金があります。
 コレステロールを下げる薬は日本で最も売れている薬の一つで、年間売り上げは2500億円とも3000億円ともいわれます。
 コレステロールを下げれば、がんをはじめ、糖尿病からうつ病、認知症まで、様々な病が増えることがわかっていますから、医療業界にはさらに莫大なお金が入ることになります。
 代表的なコレステロールを下げる薬であるスタチンについて、「スタチンの誕生」(参考文献10-1)を読めば、コレステロールを下げる薬を出している医者たちが、本気でそれがいいと思っていること、そしてどれだけ巨額のお金が流れているかわかります(他の病の増加を考えれば、それでもホンの一部です)。
 コレステロールを下げた方が死亡率が下がるという最も有名な研究論文「4S」は1994年に出されましたが、その後の類似の研究で成果が確認できず、信ぴょう性が疑われています。
 特に、2004年、EUで薬害事件から臨床試験のルールが決められてからは、製薬会社がバックにいても、薬を飲んだ方が総死亡率が下がるという研究結果は出なくなりました。
 逆に、検討された全てのコレステロールを下げる薬に発がん性があることを確認した論文が1996年に発表されています。(参考文献10-2)
 それでも一旦形成されたお金の流れに支えられた「普通」の中にいる人には、そんなことは耳に入らないでしょう。
 陰謀というほどのものでもなく、自分のいる病院や医院、自社の経営を守ることが「普通」なだけなのです。
 そうしていつの間にか共有され、改められない「普通」が、年間1万人以上の人を不必要に死なせ、何十万人の人をかかる必要のない病にしている可能性があるのです。
 そんな日本の医療界の「普通」が、最も重症な病気なのかもしれません。
 ただし、もしあなたが今、がんを患っているなら、怒ったり恨んだりするのはおすすめしません。
 そうしたネガティブな感情はがんを増やしこそすれ、健康を改善することはないからです。
 まずはこの文章を最終回まで読んで、実践して、ビタミンDを全身の細胞に届けて、医療業界や他人がどうであろうと、あなたが健康になってほしい。
 私はそう願っています。 

👇につづく





(参考ウェブサイト10-1)茨城県立健康プラザの健診受診者生命予後追跡調査事業報告書H25年版 http://www.hsc-i.jp/…/seimeiyogo_cho…/jigyouhoukoku_25.7.pdf
(参考文献10-1)「スタチンの誕生」遠藤章 日農医誌64巻6号 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrm/64/6/64_958/_pdf 
(参考文献10-2)Newman TB et al. Carcinogenicity of lipid-lowering drugs. JAMA 1996; 275: 55-60 https://jamanetwork.com/journa…/jama/article-abstract/393579
コレステロール悪者説のウソを暴く本はいくつも出ていますが、以下いずれもおすすめです。
この回はこれらを参考にしています。
(参考書籍)
「コレステロール値は高いほうがずっと長生きできる」(浜崎智仁著 講談社)
「コレステロールと中性脂肪で薬は飲むな」(大櫛陽一著 祥伝社)
「検査値と病気 間違いだらけの診断基準」(大櫛陽一 太田出版)
「それでも「コレステロール薬」を飲みますか?」(宇田川久美子著 河出書房新社)
「コレステロール 嘘とプロパガンダ」(ミッシェル・ド・ロルジュリル著 篠原出版新社)



(Facebook 2018年10月29日より)

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