乳がんと乳がん死を減らす方法~検診を受けるより大切なこと~ 4.「早期発見早期治療で95%以上治る」のウソ


ポイント
乳がんは病院で行われる「治療」では根治できない。

乳がんを減らす行動
乳がんと乳がん死を減らすには、乳がんの原因を減らす必要があると知る。


間違い②乳がんは早期発見早期治療で95%以上治る


 これは、検診を受けて早期発見早期治療した人の95%が10年後に生きていることを、「治った」と誤解してしまったために起こる間違いです。
 RCTという乳がん検診を受けて早期発見された乳がん患者とそれ以外の乳がん患者の5年後なり10年後なり期間を区切った生存率を比較した研究によると、乳がん検診で見つかった乳がん患者の方が、生存率が高かったのは事実です。
 ただ、だから早期治療が有効だとは言えません。
 早く見つかれば、治療になんの効果がなくても、診断されてから亡くなるまでの時間は長くなって当然だからです。
 しかも、これまで見てきたように検診が普及しても死亡率は下がるどころか上がっています。
 なぜでしょうか?
 それは、「治った」とされたはずの10年を過ぎてからも乳がんで亡くなる方が多いからです。
 乳がんの特徴は、残念ながら、10年以上たってもしばしば再発することです。
 図3を見てください。

画像1


 新しく乳がんと診断される(罹患する)のは40代からの中年女性が多いのですが、亡くなる割合は高齢者で高くなります。
 早期発見早期治療を受けた人は、手術を受けてサッパリと治療終了、乳がんから解放される、とはいかないということです。
 手術でがんを切除しても、引き続き抗がん剤治療やホルモン治療を経た長い長い経過の後に亡くなる方が多く、10年生存率などの期間では比較できない死が多いことを意味しています。
 10年生存率をもって、乳がんが「治る」というのは間違いだとわかったでしょうか?
 それでも、根治はできなくても延命効果はある、と多くの医者は主張するでしょう。
 それなら、
「乳がんの治療は根治はできない。検診の効果は乳がん死を避けることではなく、高々『延命』でしかない」
 と正直に言うべきです。
 
 医者によっては、
「治せなくてもずっと延命できれば、人は皆、そのうち何かで死ぬのだから、乳がんで死ぬ人は減る」
 と言う人もいます。


 詭弁だと言わざるを得ません

 乳がん検診を受ける人は、乳がんをずっと患い、闘病を続けながらも他の病気で死ぬことを願って検診を受けるのでしょうか?


 乳がん検診を受けていれば、乳がん死を避けることができ、自分の人生をよりよく、より幸せに生きられると思って受けているのではないでしょうか?

ピンクリボンのホームページにはこうあります。


「早期発見が大事な理由
早期発見の最大のメリットは「乳がんで死ななくてすむ」という確率が高いことです。
小さな乳がんはほとんど命を脅かすことがないのです。そして、乳がんが発生した小さな部分に留まり自覚症状もない状態なら、乳がんの手術も恐れる事はありません。
早期発見なら乳房を温存するなど、自分の希望する手術法や治療法を医師と相談して選択できる可能性も高いからです。また、入院期間や再発防止の治療期間なども短いので経済的負担も軽くすみます。きっと今までと同じようなライフスタイルを続ける事ができるでしょう。
乳がんが「見つかる事」が恐い事なのではなく、「知らないまま」が恐い事。あなた自身の身体と生活を守りあなたを愛する人たちを悲しませないために、「自分でできる事」と「ちょっと勇気があればできる事」を知り実行しましょう。」
(http://www.j-posh.com/checkup/early_detection/)


 この文章を読んで、誰が、乳がんの早期発見早期治療は、根治はできず、一生続く、副作用が多く高額な治療へと導き、
「治せなくてもずっと延命できれば、人は皆、そのうち何かで死ぬのだから、乳がんで死ぬ人は減る」
 程度の効果しかないと思えるでしょうか?


 実際はその「ちょっとの勇気」を出して乳がん検診を受けた人たちが、一生、乳がん患者として生きることを余儀無くされ、そして延命の効果はあったとしても死亡率も下がらないとしたら、これは一体なんと呼ぶべきでしょう?

 しかも前回までにお話ししたように、現実には乳がん検診が広がると死亡率は急に増えたのですから、延命効果すら怪しいのです。


(同僚ナースに聞いてみると、乳がん患者を看護した人ほど、乳がん検診を受ける人は少ないです。現実がわかっているからです。ちなみに医者でバリウムを飲む人もまずいません。バリウムで腸破裂などをきたして緊急手術になる人は毎年診ます。この秋すでに2人…。私一人がそれだけ診るってことは、全国では…)


 検診が無効な第一の理由、それは、現在、日本で標準的に行われている治療の中に、乳がんを根治させる、つまり再発の恐れなく「治す」治療法が無いことです。


絶望しないでください、医者が「治す」ことはできませんが、あなたが「治る」方法と「かからない方法」はこれからご紹介します


 なぜ治せないのか?


 それは乳がんの原因を取り除く治療が行われていないからです。


 乳がんにかかったのは、検診を受けなかったからでも、手術を受けなかったからでも、抗がん剤を飲まなかったからでもないのです。


 だから、検診も手術も抗がん剤も、乳がんの原因を減らすことはできません。
 アメリカで乳がん死亡率が下がったのは、乳がんにかかる人が減ったから、つまり、乳がんの原因が減ったからです


 原因を取り除くことができれば、乳がんにかかる人自体を減らし、乳がんで死ぬ人も減らすことができるのです。
 そして、原因を取り除く以外には、乳がんと乳がん死を減らす方法はないのです。
 原因とは結果を生み出す要因のことだからです。
 多くの医者はこう言うでしょう。
 「乳がんにかからないようにできれば苦労はないよ、でも予防できないから多くの人が乳がんにかかっているんじゃないか?」


 それも間違いです。次回は、
 間違い③乳がんの予防は難しい
 が間違いである理由をお話しします。


 迷路から脱出しようとする人を邪魔する一番の方法は、道を塞ぐことではなく、出口へ繋がらない道に案内し、疲れ果てるまでグルグルと歩かせ続けることです。
 ここでは、乳がん検診、早期発見早期治療という安易な道が、乳がんと乳がん死を避けて健康に生きるという出口へは繋がっていないことを理解してください。


 本当の出口へ続く道は、これからお伝えします。

👇につづく


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?