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それって「手洗い」?「手荒れい」? ~手洗い・手指消毒の落とし穴~


 メディアではマスクと手洗いばかり喧伝されている。
 CMか?σ゚ロ゚)σ
 間違った手洗い・手指消毒が、病院や学校で感染を増やしている可能性がある。
 こんな事例がある。

 少し前から、某県の病院のナースたちは消毒用アルコールのボトルを常に携帯することを義務付けられた。
 いつでも手指消毒できるようにだ。
 アルコール消費量を一人一人チェックされて少ないと叱られる。(飲み会か?)
 一日中重いボトルを片側にぶら下げて、どんなに腰や肩が凝るだろう。
 チャポチャポいわせながら重い患者を介助しなくてはならない様は不憫でならない。(パワハラ?)
 それで有効ならまだ救いはあるが、皮肉なことに、
 アルコール消費量でトップを走り、最初に3ボトル目に突入したナースが真っ先にインフルエンザにかかった
 偶然だろうか?
 いや、必然だ。
 他の病棟ナースたちもしっかりアウトブレイクして、アルコール手指消毒で院内感染が防げないことを実証した。

 でもアルコールをかければインフルエンザウイルスは死ぬし、アルコール手指消毒で院内感染を減らせるという論文がいくつも出てるじゃないか⁈


 確かに。


 こちらの論文は、月2620リットルのアルコールを使えば院内感染をゼロにできると言う。1日約87リットルだ。(使えるか⁈)

 同様に月427万枚のティッシュペーパーを使えば院内感染をゼロにできるらしい。(なわけあるか?)


 偉い人はこういうので、手指消毒は「すればするほど良い」と考えてしまうようだ。
(それは1日中プシュプシュしてて看護業務をしなければ感染しないかもしれないが)
 確かにアルコールは一部の病原菌やウイルスを殺す。
 しかし人体にも害がある
 私たちの手の皮膚も気道も消化管も、”抗微生物ペプチド”という免疫物質で守られている。


 抗微生物ペプチドは、病原細菌からウイルスまで、種類によらず倒せる最強の免疫物質である。
 生き物は、死んだら腐るのに、生きているとなぜ腐らないのか?
 生きている間は常に、この抗微生物ペプチドが出続けるからだ。
 人はもともと抗菌コートされているのだ。
(抗微生物ペプチドを作るために必要な栄養素が、ビタミンDだ。)
 では抗微生物ペプチドは、なぜ自分の細胞を傷つけないのか?
 哺乳類の細胞は、細菌やウイルスにはない「あるもの」で覆われているからだ。
 コレステロールだ。
 コレステロールは哺乳類の細胞膜を安定化させ、抗微生物ペプチドと相互作用して病原体を防いだり、抗微生物ペプチドから自分の細胞を守ったりしてくれている。
 コレステロールは悪者どころか、人体で最重要な物質の一つなのだ。
(まだ悪者だと思ってた人はコレステロールに謝ろう)
 皮膚はそのコレステロールを含む油脂の膜で覆われている。
 皮脂だ。
 皮脂は、いわゆる「肌ツヤ」そのものだ。
 
 そんな大切な皮脂や抗微生物ペプチドを一気に洗い流してしまうのが、手洗いとアルコールによる手指消毒だ。
 特にアルコールは油性マジックを消すように、皮脂を溶かしてしまう。
 だから、頻回に手洗いやアルコール消毒をすると、手は肌ツヤを失い、ボロボロに荒れるのだ。
 そんなのは「手洗い」ならぬ「手荒れい」だ。
 毎日「手荒れい」を繰り返し、慢性的な手荒れに悩む外科医やナースはとても多い。(私もそうだった)
 手荒れした人の手の菌を培養すると、病原菌がとても多いことがわかっている。
 院内感染を防ぐためにしている手洗い手指消毒で、病原菌を付きやすく増えやすくしてしまっているのだ。
 そんな人を見るたびに、私は一句詠んで嘆息する。

 洗えども洗えども 君の手はきれいにならざり ぢっと手を見る(参考:石川啄木『一握の砂』)

 次回は、「手荒れい」ではない、手をきれいにする「手洗い」をお伝えしよう。
(ナースのボトルやめてあげて〜(◍•ᴗ•◍)♡ ✧*。オネガイ)

(Facebook2020年2月5日より)

👇続き

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