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【労働組合が公民権法で告発・ストライキ決行】米国南部のサービス労働者87%が就業中にけが

4月5日「ピープルズ・ディスパッチ」
(翻訳 脇浜義明)

 今年3月に米国南部の347人のサービス労働者を調べたところ、昨年87%の労働者が仕事中にけがをしたことが判明した。ブラックベルト工業地帯や、歴史的に黒人人口が多い、南部11州の労働者たちだ。
 サービス部門の労働者は黒人が多く、ほとんど未組織だが、それを組織化してきた南部サービス労働組合は、サウスカロライナ労働安全衛生局に対し、「黒人労働者を保護プログラムから除外する」差別を行ったとして、公民権法による告発を行った。
 戦略組織センターの調査では、黒人労働者が多い南部のサービス産業の作業中、けがが圧倒的に多いことが明らかになった。
 キャベツなど、食物を入れた箱の上げ下げや運搬時、あるいは箱の落下で下敷きになるけがが一番多かった。次に多いのはナイフ、スライサー、ボックス・カッターなどによる切り傷や擦り傷が化膿したり、菌が入って病気になるケースや、空調器の故障による気温に関連する体調不良だ。
 調査の対象になった労働者の半分以上が、箱や商品の貯蔵方法が乱雑で、通行用廊下や非常口に積まれていたり、倉庫内外の照明が暗いなど、作業環境の劣悪さを訴えている。
 また、「監督する上司から嫌がらせや暴力を受けた」と訴えた人が42%にのぼった。言葉による虐待や脅迫は日常的で、女性労働者の場合は、性的ハラスメントに悩まされている。
 調査によれば、労働者たちは、雇用主が安全よりは利益を優先していることが分かっているので、自分で自分の身を守るしかなかった、という。「経営者が労働者の安全よりは、顧客の満足を優先させていると思う」と答えた人は72%いた。しかし、労働の安全を訴えると雇用主からの仕返しが怖いので、黙っていたという。

仕返し・差別される黒人労働者

 労働者が仕返しを恐れて黙っていても、本来ならサウスカロライナ労働衛生健康局が調査に入って、安全基準を徹底させるべきであった。しかし、局はそれをしなかった。2018年から22年までの間に、食品や飲み物や雑貨産業に抜き打ち調査を何回か行った。だが、圧倒的に黒人従業員が多い飲食物提供サービスや倉庫産業に対しては、たった1回だけであった。
 衛生健康局の規制ルール施行には人種的バラツキがある。黒人労働が42%以上占める産業は無視され、黒人労働が18%以下の産業には安全ルールを徹底させる。
 南部サービス労働者組合は、告発と同時に3つの州(ジョージア州、サウスカロライナ州、ノースカロライナ州)で1日ストを敢行した。ストを行った4月4日は、マーチン・ルーサー・キングが暗殺された日である。彼は、職場の安全を訴えてストをやっていた清掃労働者に連帯していた時に、暗殺された。
 スト労働者の一人は、「私はライダー社の労働者だ。ライダー社は従業員の安全に配慮しないし、作業機械操業の訓練も施さない。去年、悲鳴を聞いて駆けつけると、同僚の一人がフォークリフトの下敷きになっていた。両足が潰れているのが見えた」と語った。

(人民新聞 2023年6月20日号掲載)

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