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【カタルーニャ国民の日】スペイン・サンチェス暫定首相の譲歩と独立運動の新たな成功

カタルーニャ在住 ジョルディ・オリオラ・フォルチ

 9月11日はカタルーニャ国民の日である。毎年、1714年にカタルーニャが血と炎によって自由を失い、無権利のまま征服されカスティーリャの領土となったことを記憶・抗議するデモが行われる。2010年以降は「カタルーニャ独立」が大きな要求となった。スペインに留まっていてはカタルーニャ社会が望む生活ができないからだ。今年は80万人が集まった。
 今、スペインの暫定首相ペドロ・サンチェスが首相就任するため、スペインの迫害を逃れてベルギーに亡命中の、カタルーニャ130代大統領カルレス・プッチダモンの政党票が必要となっている。
 だが9月5日、プッチダモンはブリュッセルで64カ国のジャーナリストを集めて記者会見を開き、カタルーニャとスペインの対立を民主的に解決するための歴史的合意の必要性を訴えた。
 もしサンチェスが任命されたいのであれば、①交渉開始を最低条件とするカタルーニャ独立運動の正当性を認めること、②平和的運動の迫害をやめること、③迫害への報復行為(約1500件)に対する恩赦を認めること、④国際的な調停者による交渉監視を許可すること、を提示すべきと述べた。
 逆説的だが、サンチェスはカタルーニャの犠牲者と警察報復への恩赦にも関心を示すかもしれない。首相就任を理由にすれば、過去の迫害責任を認めることなく、終結を公に正当化できるからだ。
 だが、カタルーニャ紛争は弾圧の終結で終わるのではなく、紛争の根源である「カタルーニャの人々が自己決定を行使する権利」を解決する必要がある。独立支持者に対する司法の不正行為の損害を帳消しにするために、恩赦を与えるのが公平だということだ。

9月1日のデモの様子(「Assemblea Nacional Catalana」 https://assemblea.cat/より)

独立認めねば空前の抗議へ

 しかし、恩赦の対象者に「クーデター実行犯」「犯罪者」「テロリスト」「人種差別主義者」などと烙印を押すメディアを作ったサンチェスは、スペイン社会に恩赦を受け入れさせるのは難しいだろう。実際、スペインの隠れた動機は、スペインにとって壊滅的な打撃を与えると予想されるEU司法裁判所の判決を前に、スペインの司法の記録を清算することだろう。
 このため、デモでは誰も恩赦を要求せず、サンチェスとの就任協定も要求しなかった。プッチダモンの要求でもある4つの前提条件は必要だが、交渉は自己決定に関するものであるべきだ。
 そしてサンチェスは、「憲法がそれを許さない」という言い訳で(これは誤りだ)、この議論に入ることを嫌がっている。彼は就任指名を求めるが、スペインのナショナリズムの中心となるものについては譲歩したくないのだ。
 だから、もしサンチェスが暴力的な力の行使を放棄し、民主主義の力のみを行使する交渉へとスペインを導く真の政治家にならなければ、私たちの運動は8年間で6回目の独立選挙(通常なら2回だっただろう)と、かつて見たこともないようなスペインの不安定化へと向かっていくだろう。

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