“性と生” “エロス”と”生きる” 2018年1月14日の記録　“Sex and Life” “Erotism and Living Power”

写真家の本保慶さんが見舞い、私のドキュメンタリー撮影にきた。

通常は親族以外は立ち入り禁止だが、ドキュメンタリー撮影という事で

許可を得た。

本保慶さんは、大地に住まう母にフォーカスし、

人と大地の繋がりの美しさ、正しさを追求している写真家だ。

http://www.keihompo.com/

私は彼女の作品を見たとき、

“なんと誤魔化しのないリアルがある写真か！”と鳥肌が立った。

私の大好きな女性写真家である彼女は、

手術に至る私の境遇や挑戦に深く賛同してくれて、

ドキュメンタリー撮影の運びとなった。

慶さんが私の病室にきて間も無く、主治医から呼ばれた。

彼女を病室に残し、カウンセリングルームにて

主治医からの手術の細かい説明が画像とともにされた。

今回の広汎子宮摘出、腹腔鏡下手術は

最初はリンパ廓清からはじまり、

大事な血管の油やリンパを丁寧に取り除くことから始まったらしい。

（これに主治医はこだわりがあるらしい）

途中どこかが出血して止血。

子宮と卵巣とリンパがくっついたまま摘出されたようだ。

約10時間の大手術であった。

摘出された私の臓器の画像を私に見せながら、

主治医が淡々と説明している。

あぁ。

ここで3人の子供達が育ったのだ。

陣痛がおこって収縮した。

妊娠してない時はキュンと感じたり…

生理がきたり。

生理の血はここからはがれてたのだ。

子宮が汗をかくかのように、剥がれ落ちる様がなんとく想像できた。

切除された卵巣は今尚卵を作る臓器として、

何とも言えない輝きがある気がした。

“女性は、人生の中で、子宮を使って生きているのだ…”

この摘出された私の子宮と卵巣とリンパの画像をみてそう確信した。

私の女性器…

説明が終わり病室に戻ると慶さんが待っていてくれた。

慶さんが、“摘出した子宮の画像あるならみせて！”

私は記録のために、摘出された臓器の画像の

写真をスマートフォンで撮影していた。

“グロいけど、いいの？”と私が慶さんに尋ねると、

“うんうん、見たい！”と慶さんが答えた。

彼女は写真を見るや否やその写真にむかって手を合わせて、

“お疲れ様でした”と頭を下げた。

性器でしょ？

性(せい)は生とも書けるし

聖とも精とも書ける。

と慶さんが言った。

私はその時にこう思った。

だから、生きているとは、

エロスや性や聖なる、精なことなのだ。

人間、そのために生きている気がした。

“だから性を楽しめないという事は、

人生を楽しめていない気がしてならないと”

私は言った。

けいちゃんもおおいに賛同した。

彼女が病室を去り、私は1人ベッドで考えていた。

私は女性器の大半がない。子宮と卵巣がない。

外陰部と腟だけ残った。

（腟の上の部分３ｃｍは子宮とともに切除された。）

私、これから何が起こるんだろう…

術後の痛みに悶えながら、心配していた不安をよそに、

なんとも面白いことが術後から起こっていた。

入院中は本やiPadで映画や海外ドラマを見ていた。

特に手術後は体が痛く、本は読めなかったので、

ひたすら海外ドラマや映画をみた。

そしてNetflixでドラマNancy & Graceで出産シーンを見たとき、

何故か陣痛を感じだ。。。。

胃がぐっと押されるような、子宮がぎゅうーっとなる感じ。

あれ？体がまだ覚えているんだ、、、、

不運にも手など切断した方が手が痛いと

感じるというのと一緒かしら？？？

ここから、私の体には不思議な事が起きた。

いや、不思議ではなく、

これが私、神真紀子のカラダであると、

今思い返せば愛おしく感じるのである。

撮影 本保慶

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January 14th

Kei Hompo, the photographer came to my hospital. She came here to take my documentary film. My relatives are only allowed to enter the hospital room, so I had to get permission for the shooting.

Let me describe about Kei Hompo.

She is a photographer who focus on the real mother’s life overseas. She is a pursuer of the beautiful life on the planet.

When I first saw her photo, I was extremely touched by her picture and thought “There’s not a tittle of fake in this picture, this is the real story.”

She became one of my favorite photographer. She also sympathized with my challenge and gave deep understanding about my situation.

This is how my documentary film started.

Soon after Kei came into my room, doctor called me and said we need to talk.

I left Kei in the room and walked to the counseling room. He showed me the detailed images about the operation and started to explain.

Lymph nodes around the tumor area were removed for this operation. The uterus and the ovary were taken out at the same time. There were some processes to stop bleeding.

Doctor showed me the picture of my organ and explained about the operation, in his bland tone.

Pregnant, sex, period...it sometimes makes me turn on and also cause pain.

Woman’s life is always with uterus.

Aww, this is where my three boys grew, I thought.

I still remembered the labor pain. I could imagine how the menstrual blood peels of from the uterus, like a sweat.

Even after it was removed, my ovary looked still alive.

“Every life starts here.”

I had that strong feeling when I saw my organs.

And... my vagina.

I went back to my bedroom. Kei was waiting there for me.

“Show me your removed ovary. Do you have picture or something?”

She said.

“Are you sure? It gross”

“I don’t care. I really want to see.”

So I showed her the picture.

The first thing she did was pressing her hands together, and said

“Otsukaresama deshita”

“Sei” means “living” in Japanese, and it also has meanings of sex, sacred and spirit.

We cannot live without sex. How erotic the life is. I felt that enjoying sex is connected to our life.

Kei agreed with me.

After she left, I was still thinking in my bed.

Now, I lost my female genitalia, ovary and uterus.

What’s my life gonna be after this?

Fighting with the strong pain after the operation, I had such an interesting experience.

Body ached too much to read books, so I spend time watching movies. I was watching a movie called “Nancy & Grace” and when I saw the scene of mother having a birth,

suddenly, somehow...

I felt labor pain.

It was a real feeling. I felt the uterus squeezing which is not suppose to be there.

“Oh wow, my body still remember!”

It reminded me the story about someone who unfortunately had to amputate one’s arm.

They sometimes feel their arm hurt as if it’s still there.

My pain was similar to this.

After this experience, some other miracles happened to me.

Well, maybe I shouldn’t call that miracle.

Whenever I cast my mind back, I feel that it was a natural thing for me.

This is Makiko.

This is what I am.