見出し画像

覚悟と熱意

今回は業界未経験の方の採用ポイントをお伝えいたします。

◆業界未経験は覚悟と熱意

この2つがポイントになります。決して根性論を持ち出している訳ではありません。

まず、覚悟についてです。

「ITエンジニアとして飯を食っていく」

この覚悟があるかどうかは、その人の今後の能力値やパフォーマンスと相関関係を示します。

しかし、「覚悟があります!」と声高に叫んでほしい、何としてでも言わせたい等と考えてはいません。無い覚悟を叫ばせるほど無意味なことはありません。

では、何を持って覚悟があると判断しているのかをご説明します。

ポイントは姿勢行動です。

例として、2人の業界未経験者がいるとしましょう。応募した会社は「未経験者歓迎」「充実した研修制度」といったコピーをホームページに掲載している中堅企業です。

*******

Aさんは知名度のある4年制大学を卒業。前職は大手製薬会社でトップの売り上げを誇る敏腕セールスマン。仕事に生きてきて、お客様のニーズに応えられるよう、毎日必死に頑張ってきた経験があります。資料作成・プレゼンテーション能力も非常に高く、セルフプロデュースもばっちりです。

「ものづくりに携わる仕事がしたくて、IT業界への転職活動中です。ITのニュースを読んだり、業界について学んだりして、見識を深めています。まだまだ分からないことだらけですが、前職の経験を存分に生かして一刻も早く会社に貢献したいです。」と発言しています。

*******

Bさんは大学生の間に友人の誘いでプログラミングの面白さに目覚めます。しかし、大学の授業に面白さを感じられず3年次で中退。その後はバイトを転々としながら食いつなぎ、現在は飲食店でバイトリーダーをしています。店長クラスの仕事も任され、責任感を持って日々仕事に励んでいます。

「将来のキャリアに不安を感じ、転職を考えました。学生時代に少し経験のあるプログラミングの経験を活かしたいと思い、IT業界に転職を決めました。正社員として、長く働きたいと考えています。」と発言しています。

*******

如何でしょうか。お二人ともコミュニケーション能力には難が無く、はきはきとした印象が持てます。学歴・経歴の面では、圧倒的にAさんが有利でしょう。しかし、スキルの面でポテンシャルを感じられるのはBさんですね。

このような時、私は二人とも不採用にします。

理由は両者とも「ITエンジニアとして飯を食っていく」という覚悟が全く感じられないからです。

それでは姿勢から見ていきましょう。

Aさんは前職のご経験をアピールされ、それに基づいたご自身の能力をしっかりと伝えられています。会社に貢献したいという前向きさも伝わり、好印象ですね。

しかし、IT系のニュースを読んでいるだけで、ITエンジニアとしてのスキルはどれだけ身につくでしょうか。いくら前職のご活躍が華々しくとも、ソースが書けなければ仕事はありません。ご自身のスキルは出発点にも至っていないという自覚が不足されています。

Bさんは学歴は見劣りしますが、その分プログラミングスキルが少しあります。学生時代の話なのでブランクは大きいですが、0よりはよいと思います。企業が恐れている早期退職もなさそうですし、安心感がありますね。

しかし0よりはよいというだけで、差別化はできません。将来に不安を持ったとのことですが、学問に興味が持てないことを理由に大学を中退した時点で、既にキャリア形成の難易度は跳ね上がっています。気づくまでの期間も長くかかっていて、それから特にお勉強もされていないとのことなので、この方もご自身の市場価値を見誤っておられます。

お二人に共通している特徴は、「未経験者歓迎」と文面をまともに受けすぎです。巷ではよく「転職は会社を選べる」と言われていますが、同時に会社に選ばれています。

特にITエンジニアはスキルが命の職業です。同世代は、高等専門学校や、4年制大学の情報系を卒業し新卒として入社後、実務に携わりスキルを磨いています。「未経験者歓迎」はあくまで敷居を低くするための言葉であり、その人の知識不足を肯定する魔法の言葉ではありません。

そしてIT業界は、他業界の人でも簡単な知識やスキルを身につけやすいという特徴があります。書店には入門書が沢山あり、オンライン無料学習サイトも潤沢です。ハローワークでは職業訓練も行われています。最近はしっかりとしたカリキュラムが組んであるプログラミングスクールもあります。

これだけ環境があるにも関わらず、何も準備をしてきていない時点で、その人に覚悟があるとは考えられません。

もちろん、初めから明確な意思が無くお仕事を選ばれることは多くあると思います。それを否定しようという気持ちは全くありません。プログラミングは奥が深く、仕事にしてからのめりこんでいく方もいらっしゃるのが事実です。あくまでも、一会社の一人事の意見であることをご理解いただきたいと思います。

「ITエンジニアとは何か、IT業界とはどんなところかを調べ知識を得る」→「自分の市場価値とスキル(未経験)を自覚する」→「ITエンジニアになりたい意思が本当にあるのか確認する」

この一連の流れは、就職活動の際にも大切だとよく謳われますが、転職活動にも展開できると思います。自走力一生勉強し続ける力が必要とされるこの業界で本当にITエンジニアとしてお仕事をされていきたいのか、今一度ご自分に問いかけていただければ姿勢行動は自ずと変化していくと思います。

面談の際には是非、これに基づいた覚悟と熱意をアピールしてみてください。きっと面接官に響くと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?