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職業紹介事業者の手数料情報開示義務化へ:2025年4月施行予定の新規則に企業は要注意

皆様、こんにちは。人事部門や採用担当の方々にとって重要な情報をお届けします。厚生労働省が職業安定法施行規則の一部改正案を公表し、有料職業紹介事業者に対する新たな情報開示義務が設けられることになりました。この改正は2025年4月1日から施行される予定です。

改正の背景と目的

近年、日本の労働市場では人手不足が深刻化し、求人と求職のミスマッチも大きな課題となっています。こうした状況を改善するため、厚生労働省は労働力の需給調整機能を強化する新たな対策を打ち出しました。
この改正の主な目的は以下の2点です:

  1. 法令遵守徹底のためのルールと施行の強化

  2. 雇用仲介事業のさらなる透明化の促進

特に2点目に関して、職種ごとの紹介手数料実績を含めた情報開示が義務付けられることになり、企業の採用活動に大きな影響を与える可能性があります。

改正の具体的内容

改正案の核心は、有料職業紹介事業者に対する新たな情報開示義務です。具体的には、以下の情報をインターネット上で公開することが求められます:

  • 取り扱う職種ごとの常用就職1件当たりの平均手数料率の実績

  • 常用就職とは、無期雇用または4ヶ月以上の有期雇用を指します

  • 平均手数料率は、紹介手数料を就職者の年間予想賃金で割った値です

ただし、すべての職種について開示が必要というわけではありません。各事業者の取扱い上位5職種に限定され、さらに年間10件以下の紹介実績しかない職種は対象外となります。
また、手数料を定額で設定している事業者については、平均手数料率ではなく、その定額の実績を開示することができます。

企業への影響と対応策

この改正は、採用活動を行う企業にとって重要な意味を持ちます。以下のポイントに注目し、対応を検討する必要があるでしょう:

  1. 紹介会社の選定基準の見直し 手数料率の実績が公開されることで、各紹介会社のコストパフォーマンスを比較しやすくなります。単に低料金を追求するのではなく、紹介の質と料金のバランスを考慮した選定が可能になるでしょう。

  2. 採用予算の再検討 職種ごとの平均手数料率が明確になることで、より精緻な採用予算の立案が可能になります。特に、複数の職種で採用を行う企業は、職種ごとのコスト差を考慮した戦略立案が求められます。

  3. 紹介会社との交渉力強化 手数料率の実績が公開されることで、同業他社との比較が容易になります。これにより、企業側の交渉力が高まる可能性があります。ただし、単純な値下げ交渉ではなく、サービスの質も含めた総合的な判断が重要です。

  4. 採用手法の多様化 紹介会社の手数料が明確になることで、他の採用手法とのコスト比較がしやすくなります。ダイレクトリクルーティングや社内紹介制度の強化など、多様な採用チャネルの検討も必要かもしれません。

  5. 内部での説明責任の向上 経営層や他部門に対して、紹介会社の利用理由や予算の妥当性をより明確に説明できるようになります。データに基づいた採用戦略の立案と説明が求められるでしょう。

今後の展望と準備

この改正案は2024年10月中下旬に公布され、2025年4月1日から施行される予定です。約半年の準備期間がありますが、影響の大きさを考えると、早めの対応が望ましいでしょう。
具体的な準備としては以下のようなものが考えられます:

  • 現在利用している紹介会社の手数料体系の再確認

  • 過去の採用実績と紹介手数料の分析

  • 新規則施行後の採用戦略の検討

  • 人事部門内での情報共有と対応方針の決定

  • 必要に応じて、経営層への報告と承認の取得

この改正は、採用市場の透明性を高め、より効率的な人材マッチングを促進することを目指しています。一方で、企業にとっては採用コストや戦略の見直しが必要になる可能性があります。
しかし、これを単なる規制強化と捉えるのではなく、自社の採用活動を見直し、最適化する好機と考えることが重要です。データに基づいた戦略的な採用活動を行うことで、結果的に優秀な人材の確保につながる可能性もあります。

今回の改正は、採用市場全体に大きな変化をもたらす可能性があります。各企業が新たなルールに適応し、より効果的な採用活動を展開することで、労働市場全体の活性化につながることが期待されます。
人事部門の皆様には、この変更を前向きに捉え、自社の採用戦略の強化につなげていただきたいと思います。今後も関連する情報に注目し、適切な対応を取っていくことが重要です。


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