OBOGインタビュー第3弾:林俊助さん(株式会社FOLIO取締役)

今回は2010年staff、2011年議長を務めた林俊助さんにお話しを伺う。1年目の京論壇が人生TOP5の悔しさにランクインしたという林さん。林さんにとっての京論壇の議論とはどういうものだったのでしょうか。

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名前:林俊助さん
職業:株式会社FOLIO取締役
大学時代:東京大学経済学部金融学科
京論壇参加分科会:2010年国際社会staff 2011年ジェンダー議長

インタビュアー:
大江創平(2019年度参加者、2020年度副代表)
張奕沖(2019年度議長、2020年度代表)

答えのない問いを解く

ー京論壇にはどういった経緯で入りましたか?
中国にタダでいける機会があると聞いて京論壇の扉を叩きました(笑)。

ーそんな京論壇に入って最初何を感じましたか?
 一番最初に驚かされたのは、こんなに頭のいい人達がいたんだという点。当時は大学院生が半分を占めていたんですが、考えていることや発言する内容、どれもレベルが高くついていくのも精一杯。今でも衝撃で覚えいていますが、彼/彼女らが書く文章の意味さえ良く分からなかったという笑い話。頭を使うってこういうことなんだなという初めての経験でした。

ー東大受験の頭の使い方とはどのように違ったんでしょう?
 いわゆる答えがない問いについて考えるのは初めての経験でした。もっと言えば、答えがない問いを考えることもあるんだということ自体に初めて気づきました。皆が真剣にそういった問いに対して深く考えていて、最初自分がそこまで深く考えられなかったとしても付き合ってくれて、忍耐強く一緒に考えてくれる人達がいました。

ー答えのない問いを考えることの重要性ってなんでしょう?
 大学入ると「俺頭いいわ、全体の0.1%入ったわ」って皆さん大体誇ると思うんですが、よくよく考えるとみんな答えがある問いを解いていただけなんですよね。社会に出ると答えがない問いの方が多い中で、実はそれに対する実力は養われていない。京論壇での経験はこれを大きく鍛えてくれました。社会人になった今振り返っても、京論壇での思考のレベルは本当に高かったなと実感します。

悔しくて参加した2年目

ー院生と比べて持ってる知識量が全然違うと思うんですが、臆することなく話せたんですか?
 自分のキャラとしては喋る方で、努力したんですが、ついていくことができませんでした。言っている事が分かれば頑張れると思うんですが、そもそも何を言っているのかを理解できない。その結果人生で初めて1日中何も喋らない日が出たんですよね(笑)。

 当初は旅行するのが目的だったのも、それが本当に悔しくて、悔しくて、2年目参加したという感じです。人生TOP5で悔しかった経験です。

ー2年目は割と食らいついていけるようになったんですか?
 1年目のくやしさがあって、色々と勉強したり訓練したり、英語もやるようにして、なんとか2年目はついていけるように。

ー1年目から2年目に向けてどのように思考力と議論力をレベルアップしていったんですか?
 深く議論する機会をいっぱい作っていくということだと思います。僕の場合、恵まれていたのは、忍耐強く一緒に深く議論してくれる仲間に出会えたことです。毎日朝から集まっては、京論壇を意義から始まり、どういうトピックを議論する価値があるんだろうか、それを議論するということはどんな問いに応えるということなのだろうか、とまさに答えのない問いをいっぱい話し合いました。

議論とディベートの違い

ー京論壇の議論スタイルの特徴はなんだと思いますか?
 ディベートではなく「議論」だという点です。ディベートのように勝ち負けを決めるのではなく、みんなで一緒に知恵を絞りあって答えを探す、これが一番の特徴だと思います。
 具体的に言えば、、、みんな頭が良いのでロジックが間違っていることはレアケースです。
 なので、ディベートでは相手のロジックが立脚する前提条件を崩し、いかに自分の立脚する前提条件にすり替えて議論を進めるかがディベートのコツの1つかなと思っています。
 一方で議論の場合は、みんなで一緒に答えを探すにするものなので、相手のロジックの前提条件をきちんと理解しあうという作業が重要となります。この過程で文化・思想が違う国の人を深く理解できるようになり、結果として、同じ問いであってもより多面的により深く思考できるようになるのだと思います。

インタビューを通して

正直な語り口でユーモアを交えつつお話しをしてくれた林さん。
京論壇の議論の価値を私達現役世代に分かりやすく伝えていただきました。
ロジックの前提条件を崩すことがディベートで、前提条件を理解し合うのが議論であることを看破していらっしゃることは大変示唆的でした。
林俊助さんお話し誠にありがとうございました。

関連URL

林さん関連URL:
FOLIOメンバー紹介
https://corp.folio-sec.com/member/

次回予定

大久保智夫さん UNICEF(2008年度)
Liff かえ子さん Asian American Association(2005年度)

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