副代表挨拶:久保田拓宏

こんにちは。京論壇2020年度副代表を務めることになりました、教養学部文科一類1年の久保田拓宏と申します。

2019年4月、東大に入ってどんなサークルに入ろうか探していたところ、出会ったのが京論壇でした。東京大学と北京大学の学生が「本気の議論」をぶつけ合う。そこに私は惹かれていったのかもしれません。
いつの頃からか私は外交官に憧れていて、常に外交官になるためにはどのような「環境」にいればいいかずっと考えてきました。「環境」が将来の自分に大きな影響を与えることは、中学高校を通じて身に染みて感じており、その「環境」を求めて東大文一を志望したと言っても過言ではありません。

最初は、外交官になるために有意義な経験が得られることを期待していました。実際に議論してみて、確かに、国際間のコミュニケーションの難しさとその解決法を学ぶ経験をすることができたと感じました。
しかし、それだけではなく、自分自身の弱さも経験することにもなりました。もっとも痛感したのは、自分はあまりにも他人の言葉を鵜呑みにしていたということです。議論を進める中で、自分が自分の価値観として当たり前に持っているものだと思っていたことでも、周りの人から「何で?」と質問されるとうまく答えられない。もともとあまり話すのが得意でなかった私は常に聞き手に回り、いつの間にか批判的な視点を持たなくなっていたのかもしれません。あるいは、間違いを指摘されるのが怖くて正しそうな情報だけを話そうとしていたのかもしれません。そんな中で自分は、自分の言葉と思っていたことが実は他人の言葉の受け売りでしかなく、他人の言葉でしか自分の価値観を作っていないのではないか、自分の価値観とは一体何なのか、そう思うようになりました。自分の弱点を洗い出してその原因を考えて、そんな内省を繰り返していくうちに、新たな価値観が生まれる。100時間もの議論の時間はきっとこのためにあるのだと感じました。
この内省のプロセスこそが、国際間のコミュニケーションの場では貴重な経験なのではないかと気付かされました。

そして今年は、ボードとして議論の場を作っていく立場になりました。私が2020年度のボードとなったのは、議論運営の経験を得ることもさることながら、議論を通じてもう一度、自分の弱さと向き合い、さらなる成長を遂げたいと思っているからです。また、そのような成長のできる「環境」を共に作っていきたい、そのような目標で一年間やっていきたいと思っています。若輩者ですが、一生懸命頑張りたいと思います。

久保田拓宏

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