議長挨拶:大宮凱

こんにちは。議長の大宮です。僕の分科会のテーマは「日中関係と偏見誤解」です。

日中関係、これを日本人と中国人の学生が議論することは、とてもありふれたものです。ではそのあとに続く「偏見誤解」とはどういうことでしょう?
皆さんも気づいてるかも知れませんが、日本と中国の間にはとても根深い「偏見」や「誤解」が存在しています。これは私が身をもって体験したことです。私は昨年2019年に京論壇の相手校、北京大学へ留学をしました。この留学の期間に私自身の中国に対するイメージは様々な面で打ち砕かれ、また私が(そしておそらく多くの他の日本人が)知っている日本のイメージとは異なる「日本論」が中国には存在していました。

日本のニュースの中に現れる「北京の天気」は、大抵が「大気汚染で霞んでいる」「PM2.5の濃度が環境基準の何倍もの高さというひどい汚染」という情報とともに伝えられます。しかし北京に行ってみると確かにひどい大気汚染の日もありますが、霞なく爽やかな晴天の日もあるのが事実です。さらに、北京大学の「近現代日中関係史」という授業では1990年代以降の日本を「日本の右傾化が進行した時期」と定義づけ、議論していました。しかし、私たち日本に暮らす者にとって1990年代以降の日本は「右傾化」のみを以って括ることができた時代だったでしょうか。「右傾化」という語では到底説明できない社会の変化、日本から見た日中関係の変化があったことは間違いないはずです。

私が体験したように、その地に足を踏み入れると自分の見方とは異なる言論、異なる現実が当たり前のように存在しています。このことを認識するのは日中関係を語る上で(無論あらゆる国際関係を語る上で)非常に重要なことです。それは、必ず国際関係は背景の異なる様々な立場の人々によって作り上げられているからです。この「異なる言論」「異なる現実」に正面から切り込み、どのような差異がそこにあるのか、異国の地に足を踏み入れて論じ合う、これは次世代の日中関係を担う者として必ずやらなければならない。

もちろん、偏見や誤解を知ること以外にも北京大学の学生と交流すると楽しいことがたくさんあります。北京大学の学食は東大の学食とは比べ物にならないくらい充実していて味も美味しい、値段も安い!これは忘れられません。キャンパスの中の美しい風景、外の美味しい蘭州拉麺屋…次は京論壇の一員として訪れられると思うと待ち遠しいです。北京大学の学生を東京に招いた時、東京をどんな風に感じるのか、これもとても楽しみです。

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