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D&Dリプレイ 嗤う人形 - マリウスの日誌

D&D 梅しゃんDM「嗤う人形」セッション、マリウス視点のリプレイです。当シナリオのネタバレを含みます。ご注意ください。

スコーヌーベルの酒場

久しぶりに仲間が4人集まった。シュランは護衛の依頼で不在だが、4人も集まれるのは珍しいのだ。だからといって昔を懐かしんで思い出話を楽しむ、というわけでもない。この状況は暇な人間が4人もいる、ということなのだ。つまり仕事がない。日々の生活資金も心もとなくなってきた。

そんなわけで、私たちはスコーヌーベルの町で目ぼしい仕事がないかと探している。スコーヌーベルはキャラバンの町と呼ばれていて、人や物の出入りが多い。そうすると何かしら事件や揉め事も起きるものだ。情報を仕入れるために酒場に来た。酒場の亭主に手頃な仕事がないかと聞く。少し考えてから、そういえば、と話してくれた。

郊外にある商人が持っていた館がある。その商人は既に亡くなっており、館は無人のはずなのだが、夜中に笑い声を聞いたという噂が絶えないのだという。面白がった若者が度胸試しに忍び込んで怪我をしたり、正気を失ったりした者もいるとかいないとか。この館の怪異を調べて解決してくれれば一人当たり20gpの報酬を出すという。

どう考えても幽霊のしわざにしか思えない。もうちょっと気持ちよく引き受けられる仕事はないかと亭主に聞いてみるが、他には思い当たらないようだった。ケイネスは詩のネタになるので興味を持ったようだ。エメンはクレリックとして見捨てておけないという。パルテノーペもニコニコしてうなずいている。一人で別の仕事を探すのも大変なので、一緒に行くことする。後ろをついていけば皆がなんとかしてくれるだろう。

館の笑い声は夜中にしか聞こえないようだが、まだ日が高い。明るいうちに偵察だけでもしておこうと決まり、さっそく館に向かった。夜になる前に解決できるといいのだが。

郊外の廃館

その館は郊外の静かなところに建っていた。庭も広くなかなか大層な建物だ。何年も放置されていたのか荒れ果てている。扉から中に入る。心なしか寒気を感じるような気がしなくもない。ケイネスはディテクト・マジックで魔法の反応を探りながら慎重に進んでいく。度胸試しの若者が残したと思われる痕跡がいくつかあるが、それだけだ。

食糧庫から地下室への階段がある。地下室も探索することに。さらに空気が冷えているが地下室だからだろう。きっとそうだ。地下室は倉庫だったようだ。とても埃っぽく、まともに吸ったら病気になりそうだ。埃が舞い上がらないようにそっと移動する。ジャイアント・ウルフ・スパイダーが数匹いたが笑い声とは関係なさそうだ。適当にあしらって一階に戻る。

続いて二階を探索する。ディテクト・マジックの反応があったようだ。ケイネスがマジック・アイテムに違いないと言って小躍りして部屋に入っていった。短い叫び声のあと、ドタバタと格闘する音が聞こえたがすぐに静かになった。中の様子を伺うと絨毯でグルグル巻きになった何かがもがいていた。ケイネスが動く絨毯に襲われ、巻きつかれたらしい。ケイネスはモゴモゴと叫んでいるようだが何を言っているか分からない。面白い絵面だがこのままでは窒息するかもしれない。絨毯を何とかしなければ。

パルテノーペが手始めに絨毯を攻撃する。絨毯は痛がってか、釣り上げた魚のように体をくねらせ激しく悶えている。いや違うな。どうやらケイネスにも攻撃が当たり、痛がっているようだ。抗議するように叫んでいるが何を言っているのか分からない。まずは絨毯を引きはがさないと攻撃するのも難しい。全員で絨毯を引っ張り回しているうち、ケイネスがぐったりして動かなくなってしまった。絨毯は気絶したケイネスをペロッと吐き出すと、次の獲物を求めて襲い掛かってきた。何人か巻きつかれて危ういところもあったが、引き剥がしては攻撃することで撃退することができた。

気絶する者も出たので一時間ほど休憩を取る。応急手当などを済まし、探索を再開する。

二階の奥は書斎になっている。本棚を漁って古びた本を見つけた。霊を憑依させることで動き出し、笑い声をあげる人形について記述されている。しかし文章は支離滅裂で執筆者は正気ではなさそうだ。筆跡は館の主人のものとは一致しなかった。どこかで入手したものだろうか。

書斎の反対側は子供部屋だ。子供のいない子供部屋は不気味な静けさに沈んでいる。おかしな物は見つからなかった。早く外の空気を吸いたい。昼の探索を終わりにして、夜までしっかり休憩を取ることにした。

嗤い声の正体

日が暮れてまた館に集まった。ここからが本番だ。ケイネスがパルテノーペにインヴィジブルを唱え、透明化させる。いつもの通りおばちゃんが斥候役だ。

奥へと進み、食糧庫で異変を発見。異変を見つけたのですぐに引き返す、というわけにもいかず、パルテノーペが足音を消して様子を見に行く。空間がゆらゆらと歪んで見える。影が凝り固まるようにして立ち上がった。シャドウだ。

シャドウは透明なパルテノーペに気づいておらず、挟み撃ちすることができた。影だけあって、武器による攻撃は効きにくいようだ。エメンがガイディング・ボルトを唱える。直視できないほどの眩い閃光が伸び、シャドウに直撃する。影に光だ、弱点だったのだろう。見る間に焼き尽くされて影は消えていった。

エメンが満足そうに無邪気に笑う。その後ろから、コトリと物音がした。談話室の方だ。パルテノーペが調べに行ったがよく見えないと言っている。老眼か?壁際まで近づいたとき、何かが急に飛びかかってきた。人形のようだ。揉み合いになり、パッと飛び退くとケタケタと気に障る笑い声を響かせた。精神攻撃の一種か。ぐらりと頭が揺れる。次の瞬間、目の前にいたはずの人形は消えてしまった。すぐに襲ってくる様子もないので、一度表に出てひと息入れることにした。

態勢を立て直し、再び突入する。ケイネスのディテクト・マジックで二階に反応を見つける。子供部屋のようだ。ケイネスのメイジ・ハンドでドアを開き、中へと踏み込んだ。

笑う人形の他にもブリキの兵士とぬいぐるみ?が立ち上がっている。ちょこまかと動き回るオモチャたち。魔法を中心に攻撃する。特にわたしのシャターはやつらに大打撃を与えた。見たかこの魔力のうねりを。

そうして笑う人形を黙らせると、中から亡霊が浮かび上がってきた。スペクターだ。実体が捉えがたく、有効な攻撃は難しかったが力でなんとか押し勝った。

ずっと感じていた寒気が消えていく。スペクターがこの怪異の元凶だったのだろう。館の主人もあの亡霊に殺されたのだろうか。今となっては分からない。とにかく酒場の亭主の依頼は解決した。早く戻って祝杯をあげたい。少しごねて報酬を上乗せさせるのもいい。暑くなってきたので冷たいエールでも……ん?視界の隅で飾り棚に置いてあるドラゴンの木彫りが動いたような気がするがたぶん錯覚だろう……。わたしたちは館をあとにして酒場へと急いだ。

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