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白銀世界! 第5回は“画面越し”でペレニアルガーデンの可能性について語り合いました

 数日前から、雪の予報が出ていた2月6日(火)。前日の午後には23区でも雪が舞い始め、東京全域は瞬く間に白銀の世界へ。第5回のワークショップは急遽、オンラインで開催となりました。

大切なポイント満載で、どうしても開催したかった第5回ワークショップ

 「さすがに中止??」前日の朝から、各方面より不安の声が集まり始めました。

 そんな中、夕方には大雪警報が発令され、公園での開催中止が決定。
 しかし何とか別の形でも開催できないかと検討した結果、運営スタッフの土壇場の危機突破力でオンライン開催することを決断。参加者の皆さんにその旨連絡し、当日10時、ほとんどの方がZoom上に集合しました。

 なぜオンラインにしてまで開催したかったのか? 運営スタッフに聞きました。

 「これまでは時間の制約もあり、まずは体感していただくプログラムを行ってきました。今回は冬でガーデンでの作業はさほどありません。そのためこれまで体感していただいたことを、言葉で認識していただく内容になっていました。つまり、ペレニアルガーデンが持つ、コミュニティづくりや生物多様性の保全への貢献などの可能性についてお伝えするとても大切な回でしたので、何らかの形で開催できないかと関係者で模索しました。」

 まずは全体の連絡事項などを行い、12月12日(火)に行われた第4回のワークショップの振り返りを谷村伴子さんが担当しました。前回は本当に盛りだくさんで、noteも前編・後編に分けて掲載したほどでした。その様子はこちらをご覧ください。


 続いて三浦香澄さんより、第4回が終わった後のアンケートについて、参加者の皆さんからの感想と質問を共有しました。

・たくさんの球根を植えられて楽しかった
・斑替えでいろいろな方と知り合えてよかった
・夢マップについて、ほかの人の意見も聞けてよかった

など、いろいろな声が寄せられました。


夢マップが少しずつ形に〜下絵を見ながら意見交換

 第2回から意見交換を続けて来た夢マップですが、第4回で「特に絵として表現したいこと」についてみなさんに話し合っていただいた結果をまとめ、1枚の下絵ができあがりました。

 みなさんから出てきたイメージの中には

・車いすやベビーカーでも楽しめる場所だといいな
・ハーブティーを飲みながらフラワーアレンジメント教室ができたらいいな
・チョウや虫がたくさんいるガーデンを!
・ガーデンの花ガイドツアーがあるといいね
・花の香りが楽しめるガーデン!

 などがあり、それをもとにイラストレーターの五嶋直美さんが1枚にまとめた下絵を描いてくださいました。画面共有すると、皆さんの表情がパッと明るくなったのがわかります。マイクをオフにしていても、思わず「わぁ」という声が聞こえてきそうでした。

下絵のため、ぼやかしています。夢マップ、お楽しみに!3月2日にお披露目です!

 ここから、リモートでグループに分かれて話ができる機能を使い、少人数で意見交換を行いました。気づいた点や、変更や追加したほうがよい点など、参加者の皆さんから自由に発言してもらいました。

「ワクワクします」
「鳥がもう少し飛んでいたほうがいいかも」
「神代植物公園でも、ガーデンで育った植物を使った加工品でチャリティー販売できたらいいな」
「高齢者や子どもがボランティアに参加できるような場所に」
「剪定枝や抜いた雑草を堆肥にするバイオネストをいれたい」

 など、各班でいろいろな意見が出てきました。

 3月2日の第6回ワークショップでは、これらの意見を反映させた夢マップを完成させ、お披露目をする予定です。楽しみにお待ちください。


みんなで楽しみながら、地域の庭を育むコミュニティガーデン

 続いて谷村さんより、コミュニティガーデンについてのお話です。

 コミュニティガーデンとは、文字どおり「地域の庭」のこと。

 もともとは1970年代のアメリカで、リズ・クリスティという女性が不景気で荒廃した街の公園を、花とみどりで再生させたところからスタートしたといわれています。
 日本でも1990年くらいから同じような活動が始まり、近年、地域コミュニティの希薄化、防災面、少子高齢化や環境問題など、さまざまな社会課題が出ているなか、それらを解決する手段としてコミュニティガーデン活動が注目されているといいます。

 まちなみがきれいになるだけでなく、安全・安心で環境にもよく、仲間づくりもできる。集まる人たちの心と身体の健康にもいい……と、すばらしい効果・効能が確認されています。

コミュニティガーデンは、さまざまな効果・効能が期待できる
(写真は事例として紹介された、府中市内のコミュニティガーデン)


 事例として、調布、府中、新木場、大岡山、東日本大震災の仮設住宅など、グリーンワークスの皆さんがサポートに入り、自治会や商店街などの地域の人たちや、行政、専門家、企業、学校など、さまざまな人たちが協力するいろいろなコミュニティガーデンの例が紹介されました。


ペレニアルガーデンが持つもう一つの可能性~生物多様性を地域から豊かに~

 続いて木村さんより、「生物多様性と土」についてのお話がありました。

 まず触れたのが近年の夏の暑さについて。

 去年(2023年)の夏はずっと暑かった記憶が皆さんにもあるのではないでしょうか? 木村さんのスライドを見てびっくり。なんと2023年の7月は「真夏日+猛暑日」が29日、8月にいたっては1か月まるまる31日だったのです。熱帯夜(最低気温が25℃以上の夜)も増えました。一昔前なら、昼は暑くても朝晩は涼しいのが東京の夏でしたが、もはや“常に暑い夏”になってしまっています。

 世界的に2大環境課題と言われている気候変動と生物多様性の減少のうち気候変動は、私たちの暮らしや身の回りの植物たちにとっても無関係ではないということを実感する数字で、そんな背景もあって、国もグリーンインフラという概念を社会に浸透させようとしているということでした。

 私たちがつくっているペレニアルガーデンに立ち返ると、多様な花を季節それぞれに咲かせるという側面を持ち、虫たちの蜜源になってたくさんの小さな生き物の命を支える場所であること、このペレニアルガーデンからまちのあちこちにそういった花のある場所が染み出し、増えていくことで、まち全体の生物多様性の豊かさに大きく貢献するようになるという説明もありました。

 そして、それを育むのが土(土壌)です。土は、砂や粘土などの粒子と腐食(生き物の死骸やふんなどが微生物によって分解されてできたもの)が合わさったもので、現在の土は、生き物が地上に上陸してから約5億年かけて少しずつできてきたものだそう。土の中の環境は土壌生物によって常につくられていますが、土を耕すとその環境が壊れてしまいます。ペレニアルガーデンは、あまり耕さないことで、地上の生物多様性だけでなく、土の中の生物多様性も守っていける活動という説明がありました。

ペレニアルガーデンを維持管理することで生物多様性にも貢献できる!


お手入れの基本を押さえてガーデンを楽ちんに管理しよう!

 次に、三浦さんよりガーデンのお手入れのポイントについて説明がありました。

 コミュニティガーデンのように、市民が持続的に関わり管理するガーデンでは、作業頻度や時間も限られているため、お手入れはポイントを押さえながら優先順位をつけて行うのが大事です。


いよいよ次回はワークショップ最終回! 身につけた知識と経験を一般参加者に伝えよう!

 全部のレクチャーが終わったところで、次回、3月2日のワークショップに向けた話となりました。これまで植栽してきた花壇エリアの周りに、ほぼ同じ広さの花壇エリアがあり、ここに一般募集の参加者の皆さんと一緒に多年草の苗を植えつけていただく予定になっています。

 ワークショップ参加者は、これまでの知識と経験を行かし、当日新たに参加される人たちを上手に導いていく役割が求められます。これはワークショップの構成として、①知る・気づく → ②学ぶ・考える → ③参加する・楽しむ、と進んだあとの集大成として、「④人に伝える」ことを最終回のテーマとしているためです。

 次回はぜひ明るく楽しい場づくりに協力してほしいとお伝えし、初のオンラインとなったワークショップ5回目は無事に終了しました。


その日の午後、ペレニアルガーデンを訪れてみたら、真っ白!


たくさん積もった雪にも負けず、顔をのぞかせる宿根草たち! がんばれー!

●写真・文責:小林渡(AISA)

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