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もう一つの早稲田祭?「勝手早稲田祭」とは 「有志の会」メンバーに聞いた

早稲田祭当日まで2週間を切った。各サークルが着々と準備を進める中、今年はもう一つの早稲田祭が開催されようとしている。その名も「勝手早稲田祭」。謎に包まれたその全貌を明らかにするため、「勝手早稲田祭を開催する有志の会」立ち上げメンバーの一人、髙橋力也さん(社学・2年)に話を聞いた。

 予定時刻から少し遅れて、部室に黒髪の男性が入って来た。髙橋さんだ。どんな「勝手」な人が来るのだろうと構えていたが、意外にも(?)礼儀正しい。髙橋さんの優し気な目とは対照的に、シャツに描かれた伊藤潤二氏の猫が、こちらに鋭く目を光らせる中、取材を始めた。

高橋力也さん

運スタ「活動停止」 対応への不信感

 「勝手早稲田祭」とは、早稲田祭運営スタッフ(通称、運スタ)とは関係なく、有志のメンバーで「勝手」に開催する早稲田祭。いわば自主的な学園祭(以下、自主学祭)だ。決まった運営組織があるわけではなく、出店者も運営に参加し、ゼロから作り上げる。
 髙橋さんら4,5人の間で、「勝手早稲田祭」の構想が出たのは7月中頃。X(旧Twitter)を中心に広く明らかになった運スタの「活動停止」がきっかけだった。SNS上では、早稲田祭開催を危ぶむ声もあったが、運スタの対応に不信感を持った高橋さんらは、開催の有無を問わず、自主学祭を行うことを決めていた。「開催されなければ、楽しみにしていた学生の受け皿として、開催されるとしても、批判的な意味を込めてやる意義があると感じていた」。
 その後、運スタは8月9日に、突如Xの公式アカウントで、今年の早稲田祭の開催を発表した。髙橋さんらが抱いた不信感は、この運スタの対応でさらに深まった。「企業や多くの学生を巻き込み、協賛金や参加分担費などを集め、大金が動いているにも関わらず、活動停止した理由について十分に説明されていない。開催準備が遅れ、サークルにしわ寄せが来ているのに、何事もなかったかのように学園祭を開催して良いのか」と疑問を呈した。

対立ではなく、自主学祭を

 とはいえ、単に批判し、直接運スタに変化を求めるのではなく、「もう一つの早稲田祭」を自主的に開催することにしたのにはワケがある。「対立関係を生み出したいわけではなく、純粋に学園祭を楽しみたい。一つの団体が運営を独占的に行い、方向性を決める早稲田祭に対して、公然と自主学祭をやること自体が批判になれば」と意欲を示した。勝手早稲田祭の開催場所をキャンパス内ではなく、戸山公園や交流バー「早稲田あかね」などキャンパス外にしたのも同様の理由からだ。直接的な対立ではなく、学生主体の学園祭のあるべきやり方の一つを自ら実践し、示すことを重視している。髙橋さんは、個人的に思うことと前置きした上で、「主義主張が入り乱れ、いろいろな意見があることが可視化されるような空間の方が楽しいと思う」と語った。
 もし「勝手早稲田祭」が無事開催できたら、来年以降も続けるつもりはあるかの質問には、少し首を傾げ、「自分たちだけがやるよりもまた別の人たちが好き勝手やっていってほしいと思う。わざわざ『有志の会』と名乗らなくても、そういう動きが当たり前になることを目指したい」と芯ある声で語った。
 勝手早稲田祭は、11月2日(土)、3日(日)の早稲田祭と同日時に開催。場所は、戸山公園、バーあかね、鶴巻町の亀山ビル一階。学内外から学生団体が参加し、物販、立て看板制作、DJパフォーマンス、フリーマイク、フリーシーシャ、青空麻雀など21企画を予定(2024/10/24現在)。浅羽通明氏主宰のふるほんどらねこ堂も出店予定。公式X(@kattewasedasai)から随時情報発信。入場無料。

〇付け足し

・早稲田祭運営スタッフの「活動停止」
活動を停止した理由は未だに明らかになっていない。学生生活課に問い合わせたところ、「各サークルの活動停止の有無を公表することは行っていない」との回答を得た。処分の有無は不明だが、運スタは7月初旬から8月初旬までの約一か月間、参加団体募集や調整を一時的に停止していた。

7月10日、参加団体・参加者宛に送信されたメール。
スタッフ内のトラブルが活動停止の要因とされている。
8月9日、運営スタッフが公式Xで発表した声明。
活動停止の理由について説明はない。

*「勝手早稲田祭」の開催が予定されていることについて、早稲田祭運営スタッフにも取材を申し込みましたが、当日まで対応できるスケジュールがないという理由からお断りの連絡をいただきました。メール上での取材も申し込みましたが、期日までの回答を得ることは出来ませんでした。

〇記事作成後記

コロナ禍のサークル活動の制限が解けて以降、だめライフ、立て看同好会、Watermelon Allianceなど、新たに生まれた学生主体の活動が盛んだ。記事に載せることは出来なかったが、高橋さんも立て看同好会の創設時のメンバーだそう。今回の勝手早稲田祭もコロナ禍以降の流れに連なるものと言える。一方的な管理や制限を受け入れるでも、対立するでもなく、自分たちでゼロから作り出し、連帯を呼びかける活動は、今後も生まれてくるだろうから、注目したい。(楠城)

☆勝手早稲田祭を開催する有志の会☆

勝手早稲田祭オリジナルロゴ

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公式note:勝手早稲田祭を開催する有志の会ノート

★人物研究会★

「会いたい人に会いに行こう」をモットーとする1965年創立のインタビューサークル。早稲田祭などでは講演会の企画運営も行う。(今年度は早稲田祭、勝手早稲田祭のどちらにも参加いたしません。)田中角栄公認現場叩き上げ。新会員募集中。
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