独ソ戦に内側から迫る"読む"FPS~『同志少女よ、敵を撃て』
宙を舞う薬莢、鼻に残る硝煙のにおい、頬をかすめる銃弾の強熱。
まるで自分が遠くロシアの激戦区の只中にたたずんでいるかのように、張り詰めた空気が行間を漂っている。
「史上最悪の戦争」と呼ばれる独ソ戦。第二次大戦のさなかにナチス・ドイツのソ連侵攻で幕を開け、ベルリン-モスクワ圏内で3,000万人以上の犠牲者を出した広域戦争が本書の舞台である。80年前に実際に大規模戦闘が行われた4つの戦地に読者は立ち、登場人物たちとともにその景色をながめ、激烈な戦火を内側から体験していくことに