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科学と哲学のフクザツな関係

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一般向け科学書を読みながら、哲学的系譜から位置づけ、捉える試みなどをやっていくのだと思います。
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記事一覧

機械の神は世界を二度洗う~『Horizon Zero Dawn』を神学的に解釈する

※ヘッダー画像はPSゲーム公式ページより引用 SFの神であるアーサー・C・クラークは、こう"預…

対話型AIとの未来に向けて

最近、ChatGPTとBingAIなどの対話型AIで遊んでいて、日々その精度や賢さに驚いている。 これ…

'21.05.07雑記:僕と医療と医学的身体

また記事投稿の間隔が空いてしまった。ただの言い訳ではあるのだけど、前回の親知らず抜歯に続…

科学と神の出会う場所~ライプニッツ『モナドロジー』

この短い一篇のうちに、美しく壮大なスケールの宇宙観が稠密に織り込まれ、無限小から無限大へ…

絢爛で魔術的な文化論の”超”作~高山宏『近代文化史入門―超英文学講義』

ついに出た。2020年私的ベスト本の急先鋒。 博覧強記の文学者にして「学魔」と呼ばれる著者高…

ポストモダン以降の思想史兼ブックガイド~『いま世界の哲学者が考えていること』

「哲学者が」と題されてはいるけれど、広く現代が直面する多くの問題に人文諸学がどう立ち向か…

書評:『科学するブッダ』~”科学の人間化”について

各所評価がかなり高かったので、期待して読んだ。 ひとことでまとめると、仏教学者が科学史・数学史などの自然科学の歴史を紐解きながら、その大局的な方向性のなかに古代仏教との共通項を見る、という本。 仏教の話そこそこに、本書のほぼ大半を科学の歴史の描写が占め、むしろそっちの方が筆が乗っているぐらいなのだが、数学や物理学、生物学などの発展の方向性を著者は「科学の人間化」という概念でまとめていく。 たとえば、相対性理論やハイゼンベルクの不確定性原理、そして現代量子論などは、絶対的

Afterコロナを生き抜くための、薬と病と人々の戦史~『歴史を変えた10の薬』

Amazon献本シリーズ。 『歴史を変えた10の~~』といったタイトルの本にはあまり期待していな…

荘厳華麗なイラストとともに知の歴史を辿る~『世界を変えた150の科学の本』

よくある大判ムックの企画本かなーと、読む前はわりと舐めていた。正直、すまんかったと思って…

【全文無料】時間と私の源へ~『時間は存在しない』概説【後編-完結】

いよいよ完結へん。 直前の第2部では、時間が空間と絡まり合い、この世界を出来事として立ち…

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モノとコト、哲学と物理学の相克~『時間は存在しない』概説【中編】

さて、前章までで、全3部のうちの第1部が終わった。 読みにくく言葉足らずな解説をここまで読…

「現在」と「連続性」の崩壊~『時間は存在しない』概説【前篇-2】

― 第一部 時間の崩壊 (2/2)―前回記事に続いて、今回で本書第一部が完結する。 場の理論…

『人工知能大全』がAI理解の第一歩に最適である理由

Amazonより献本。 この手の大全系はだいたいにおいて中身がスカスカで好きじゃないんだけれど…

2019年マイベスト!~『サピエンス全史(上/下)』

日本国内だけでも数十万人がすでに読んでるらしいので、今更感しかないけれど、自分的ブックオブ・ザ・イヤー2019の当確ランプがすぐ付いた(去年書いたレビューなのでタイムラグあり)。 ホモ・サピエンス7万年の歴史と、その変化・進化の要因を鳥瞰し、現在に至るまでの道のりを鮮やかに説明付けていく本書だが、ものすごく噛み砕かれていて初心者にも分かりやすく、且つとても面白く読ませる。人類史をここ数千年の射程で描く類書は数あれど、本書のスケールと巨視的なビジョン、それを余すところなく伝え