意識の煌めき-ベルクソン『精神のエネルギー』
(原章二訳,平凡社ライブラリー)
流暢な美文とほとばしる叡智に感服する。とくにベルクソンの思想の前半部分についてのまとめの書だが、平易な表現の一つ一つの部分のうちに、かの壮大な思想の全体が反映している。
一応それぞれが独立した論文や講演録ではあるが、前期の主著『意識に直接与えられているものについての試論』『物質と記憶』など本書刊行以前の主著同士を説明し直し、相互に関連づけ、重要な付言を多く残している。平易なことばで書かれているためサクサク読めるが、提示されるものの大きさに