見えないものは無限に類似する~ヒュームの方法と普遍性の虚構
ヒューム『人間本性論』において、通常見過ごされがちだが体系全体にとって重要な示唆を含みうる箇所を取り上げる。西洋近世における経験論哲学が頂点を極めた本書(第1巻)のうち、第4部第3節「古代の哲学について」でのアリストテレス-スコラ的な実体概念への批判の箇所である。
この箇所は直接には、中世のアリストテレス-スコラ学的な実体と実体的形相の対概念を、虚偽の観念であると糾弾するものである。実体すなわち根源的な質料と、それを種的な本質を持つ特殊な在り方に規定する実体的形相という有名