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根源を問う~哲学のススメ

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哲学書のレビュー集です。自身、専門家ではないので、比較的読みやすい本の紹介や、読みにくいものであっても非専門家の言葉で噛み砕いていきます
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2020年6月の記事一覧

『世界最高の人生哲学 老子』に無為自然の道を学ぶ

学を為せば日々に益し、道を為せば日々に損す。これを損して又た損し、以って無為に至る。無為にして為さざるは無し。天下を取るは、常に無事を以ってす。その事有るに及びては、以って天下を取るに足らず。 -『老子』第四十八章 老子(B.C.6世紀頃)は、中国を代表する哲学者である。その考えを記したとされる『老子』は、現代にまで脈々と読み継がれている一大思想書であり、本書は、この中国思想史における最大の叡智たる一冊を読み解きながら、無為自然の境地に至る心構えを説いていく本となっている。

読書感想的随想録:『倫理資料集』(清水書院)

思えば、高校生の時分から、哲学は自分にとって特別な存在だった。 学校の勉強にはトコトン興味がなく、授業はといえば、寝てるか弁当を食べてるか、教科書にマンガをはさんで読んでいるか、はたまた近所の友だちの家でゲームをしているか、という体たらくぶりであった。案の定、学年の中でもかなり底の方の成績をウロウロしていて、とても勉強熱心な生徒とは言えなかったろう。 ただ、「倫理」の授業だけは違った。たしか高2の年次のときだったはず。社会科の課程の1つとしてそれはあり、これまでの人生で全

『哲学用語図鑑』が哲学入門のホントのホントの決定版だった

これは良かった。とても良かった。哲学の入門書として、過去読んだ中で一番かもしれない。 以前紹介した『史上最強の哲学入門』もとても稀有な本だったけれど、”入門として実用に足る”という点で、本書に軍配が上がる。 本書を独特なものにしているのは、まずその成立過程である。1人はグラフィックデザインの専門家で、図解ベースの書籍の企画・製作を手掛けており、もう一人は人文系書籍の入門書などを手掛けるライター・編集者。この、哲学の非専門家と言ってよい2名がタッグを組んで哲学図鑑を編纂する