マガジンのカバー画像

より良く「考える」ためのツール集

23
「考えること」に関する書籍の紹介記事をまとめました
運営しているクリエイター

記事一覧

独学考#7:資質としての記憶力

記憶力の高さはそのままダイレクトに成果物の質の高さにつながる。しかも、それが生まれ持った…

独学考#6:過去を問い、前方予測性を高める

あるテクストの読解のゴールは、究極的には著者を読者自身のうちに憑依させ、著者が辿る思考の…

『れふぁれんす百題噺』で図書館と知の歴史に感服する

調べ物というものは、とても奥が深い。 人がだれしも「自分こそはネット検索の名手である」と…

歴史と個人史の結び糸~ミルズ『社会学的想像力』

社会学は、わりに新しい学問体系である。それだけではない。「社会」というもの自体が、そもそ…

世界を捉え、自らを超えるまなざし~ジッド『ソヴィエト旅行記』

1936年6月、フランスのベストセラー作家アンドレ・ジッドはロシアの地を訪れていた。 目的は…

【読書家必見!!】読書メモ/抜き書きが5倍捗る神アプリ『一太郎Pad』を紹介する

本のなかの気になる箇所を一字一句違わずに正確に記録する。 読書からなんらか知識を引き出そ…

揺らぎを通して情報と接する~『謎床』松岡正剛/ドミニク・チェン

あらゆる情報が即時にインストールできる現代の環境において、いかに本質的な謎、つまり問いを生成できるかということは、人間を人間たらしめる最も重要な要件となると私は考えている。 (『謎床』Kindle版 Location No.150) 編集工学の松岡正剛と、気鋭の情報学者ドミニク・チェンとの対話本である。 多様なトピックが目まぐるしく飛び交い、撹拌される都度新たにつなぎ直されていく言葉と意味の応酬の中で、情報と技術の未来、それらに媒介される人間の未来に対しての幾つかのビジョ

教育の今、子どもたちの未来~『質問する、問い返す』名古谷隆彦

――主体的に学ぶということ (岩波ジュニア新書) 久々のジュニア新書。考え方や問いの立て方…

読書猿『独学大全』~待ち焦がれた傑作、それでも、足らないもの

3年、待っていた。自身、独学者を志し今年はじめに会社を辞めるとき、少なからず不安はあった…

他人の無知は蜜の味~「教養」の悪徳について

先日レビューした『教養の書』の文末で、ひとつ予告をしていた。予告通り、教養と「悪徳」につ…

教養大全2020~戸田山和久『教養の書』

著者はもうリベラルアーツ系の本は書かないのかなと思っていた矢先に、ものすごい大判が来た。…

"ロジカル"をやめてみる~論理的思考の陥穽とエートス的思考について

「なんでそう言えるの?」 「もっと論理的に考えなきゃ」 新人の頃、仕事をしているとよく上…

訃報に寄せて~外山滋比古『ライフワークの思想』

“東大・京大で一番読まれた本”。 大学構内にある書店の平置きコーナーに、そう大きく書かれ…

無敵の思考法~『ホワット・イフ?:野球のボールを光速で投げたらどうなるか 』

うん、面白い。 *** 元NASAの科学者で、サイエンス系有名サイトを運営している著者が、自身のサイトへ読者から寄せられた”バカバカしい”問いの数々を本気で考えていく本である。 著者が取り扱うのは、表題のような問いだったり、「地球上の全員が一か所に集まりジャンプすると何が起こるか」だったり、荒唐無稽だけど割と気になる、でもどこかに答えが転がっているたぐいのものじゃない、想像力豊かで挑戦心旺盛な読者から投げつけられる質問の数々だ。 こうした問いに対して、いわゆる”フェル