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入院1週間前

6月8日朝8:30、横浜労災病院。快晴。地下鉄新横浜駅から病院へむかう川沿いの道は、先週よりも濃くなった木々が差し出す陰が気持ちいいものの、風はなく湿度が高い。

今日は入院前の支援と麻酔科及び歯科検診。看護師さんの丁寧な説明を受けた後、麻酔科へ。

麻酔科の先生は50絡みの笑顔が柔らかい男性。全身麻酔の方法やリスクなどを伺う。全身麻酔の場合、静脈から眠剤を導入するのが通常だが(鎖骨骨折時も頚部の腫瘍除去もそうだった)、今はコロナ対応で薬剤のストックが6月いっぱいで尽きそうな状況とのこと。静脈注射ではなくガスを使用する予定で、先生は僕はこのやり方の方が好きなんですけど、と笑っていた。手術当日は8:45開始予定で2時間前までなら飲料摂取しても可、という事だった。可能な飲料は水、お茶、ブラックコーヒー、スポーツドリンク。先生は「コーヒーがオッケーになったんだ」とおっしゃるので何故以前は駄目だったかを訊ねるとこの病院のローカルルールでNGだった、コーヒーというとミルク入りを飲む人が多く、ミルクは胃の中で固まるので食物扱いとなり、手術の予定が6時間も後ろ倒しになってスケジュールが大幅に狂うという事だった。

続けて看護師さんから入院時の注意や運動習慣など質問される。「さくら、いぬ、でんしゃ」を覚えてくださいと言われ、すぐに復唱、質問の最後に再度確認された。入院時支援の看護師さんからも言われたが入院前は全身の保湿をしておくように伝えられる。これは手術時の固定や術後に出来る褥瘡予防のため。50歳を超えてからただでさえ乾燥しやすくなっているお肌のケアを徹底しようと考える。

口腔外科では歯のぐらつきをチェックしてスケーリング。歯科衛生士さんが入力する電子カルテの画面がしっかり見えてしまい、それによると「良く磨けています」はい、歯科では大体そう言われます。

11月の健診結果でPSA要再検査、湘南台の泌尿器科で投薬しても数値が変わらず、年末にMRI撮影、極めて疑わしいとの所見が出てしまい、前立腺がんについてネット検索しまくった事を思い出す。様々な治療法があるが放射線治療すれば手術はできない、大学時代の友人の父は確か免疫療法と言っていた、ロボット手術が保険適用になった等々。神経が温存できる可能性から手術はどうかと、またしても検索に次ぐ検索。ダ・ヴィンチによるロボット手術件数は以前、頚部腫瘍除去手術でお世話になった横浜労災病院が全国でも上位の実績で泌尿器科の先生全員がダ・ヴィンチ認定医の資格を取得していた事もあり(麻酔科の先生もウチの泌尿器科は全国でもそうはないレベルだと思いますよ、とおっしゃっていた)、紹介状を手に予約を入れて何度か通院。1月の生体検査入院はコロナ感染が病棟で発生したため、1ヶ月後の2月11日に延期。やはりコロナの影響で検査結果が判明するまで3週間、ようやくグリソンスコア6の前立腺がんである事が確定した。この間およそ4ヶ月。ゆっくりと覚悟を固めるような、少しずつ何かを諦めるような感覚が自身の中に生まれ、随分と客観的に現状を眺めている事に気付く。





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