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入院6日目

昨夜洗髪と洗顔を終えて寝る準備をしていた20時30分頃、昼と同じ痛みが左の傷口を再び間歇的に攻撃する。ベッドに横になり鉄枠を握り締めて凌ごうとするが、身体に力が入り、リラックス出来ずに呼吸も浅くなる。ヤバいかな、ナースコールしようかと思っていると30分ほどで水が引いたように痛みと強張りがなくなった。
ひょっとしたら食事をして胃から腸が活動するとドレーン側の傷口を刺激しているのでは、と仮説を立てる。眠剤を持ってきてくれた看護師さんに聞くとドレーンを入れている箇所が腸の動きに干渉することはあるかも、という話しだった。なら明日からは食後2時間から3時間備えておけばいい。隣室のご老人も静かで何度か回診時に目を覚ますも良く眠る事が出来ました。
体温は37.1度、横浜は終日曇りの予報だがスタジアムの駐車場は夜半の雨に濡れて黒ずんで見える。
手術直後は打てなかった寝返りも屈んで物を拾う動作も少しずつできるようになっていることがなんとなく嬉しい。
そして夜静かだった分、隣室の老人はほぼ2分に一度、「お願いします」「ちょっと来て」大声を出しつつナースコールを連発し、日曜日朝の病棟に「お風呂が沸きました」と同じカノンが鳴り響く。
段々と食欲も回復し、家人と30分以上電話、月曜日に洗濯物を持ってきてもらう約束をする。
晴れてきた空同様、痛み止めも不要なくらいの回復を実感するが、尿漏れも始まる。カテーテルを通ってバッグに流れているが、全く尿意がない。骨盤底筋体操に勤しむことにいたします。

16時になっても今日は昨日襲ってきた左腹傷口の痛みと強張りが全くない。排便もこの時間までに3回、難消化性デキストリンのおかげで便秘予防も出来ている。歩く速度も術後2日目の3.3キロから3.8キロ、今日は4.1キロまで上がっているのだった。しかし、相変わらず咳やくしゃみには痛みが伴うため、スムーズに出すことが出来ずにいる。

夕食は入院して初の完食。我ながらわかりやすいが体調と食欲が直結している。そしてしばらく静かだった隣室の老人が叫ぶ「お願い」の声が夕日に吸い込まれていく。

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