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入院3日目(術後翌日)

夜中1時間まどろんでは目覚め、もしくは看護師さんが見回る度に覚醒するのはやはり眠りが浅いからか。
ふくらはぎのポンプは収縮を繰り返し、右腕の血圧計は定期的に計測を始める。何度か痛み止めを点滴してもらったが、横臥の姿勢が変えられないのが一番つらい。術後にあてがわれたのはバスタオルを四つ折りにしたもので、これは頭の向きを少し変えるのも難しく、ほんの少し身体を斜めにする事くらいしかこの日は無理だった。何よりも口呼吸になり自分でもあまりかかない鼾が聞こえる始末。
翌日昼まで水分摂取は不可、乾いて粘りつき張り付いた唇をはがして、口中が一瞬でも水分で満たされるうがいをとにかくお願いする。
首を少し横にして水を吐き出すのだが看護士さんによってやり方が微妙に異なっていた。
たまに、考えていた以上に動いてしまい、痛みをこらえているとモニターは酸素飽和量か何かを感知し、しっかりと警告音を鳴らすのだった。
腹腔から出血を、陰茎からは尿を吸い出すための管を入れられ、襁を当てた無力な中年男がひとり。自分の顔の脂すら拭き取る事が出来ずに持て余している。
ようやく朝になり、清拭に。温かいおしぼりで顔を拭く。10時過ぎにお腹も動いているので水分摂取の許可が出る。痛み止め服用してでも歩きましょう、先生もおっしゃったので1階まで飲み物を買いに行く。カップに入れたポカリは乾いた胃壁を滑り落ち、腸内に染み込んでいった。
熱は38度前後。動いた後はしんどくなってベッドへ。ここで持ってきた愛用の枕に交換、病室のQOLが一気に向上する。病院のそば殻の枕は可塑性がありすぎて、微妙に体位を変えられないのだ。こんな大きいブツを風呂敷に包んで持ってきてくれた家人に感謝。
楽しみにしていた夕食だがまだガスが出てないせいか半分も食べられず。
眠剤を2錠もらって張った腹を持て余したまま横になる。

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