実際に運営してみて見えてきた、オウンドメディア運営に必要な4つの役割
みなさん、こんにちは。
過去にオウンドメディアの立ち上げから運営までを担当してきた中で見えてきた、オウンドメディアを運営するために必要な4つの役割と適任者特性について解説していきたいと思います。
まず、オウンドメディアを運営するにあたって必要となる4つの役割は下記の通りです。
1)編集長
2)ライター
3)カメラマン/画像編集係
4)校閲
1〜4の役割はそれぞれ別々の人物が担当するのが望ましく、兼任することはできるだけ避けたほうが良いでしょう。
例えば、ライターがカメラマンや差込用の画像を作成するケースもみられますが、複数名のライターがそれぞれ記事を投稿する場合、高確率で写真のクオリティーに差が生じ、オウンドメディア全体のトンマナが崩れます。
プロレベルの写真クオリティーを求める必要は無いのですが、できるだけ同じような構図で統一した方がまとまりのあるイメージで閲覧することができるというもの。
正直いうと、ライターが記事の企画から構成・インタビュー・写真撮影に写真加工、そして執筆からの公開までを一気通貫でやってしまうのが、最もラクでスピーディーなのですが、その影には大きな落とし穴があることは理解しておいてください。
ここからは、それぞれの役割と適任者特性について解説していきます。
【編集長】
オウンドメディアを運営する上で一番重要な役割です。
編集長のセンスがオウンドメディア全体に影響するので十分に注意して人選をしなくてはいけません。
求められる素質は、「心身ともにタフであること」「リサーチが上手であること」「チームビルディングができること」が挙げられますが、なにより大切なのは、「会社のファンである」ということです。
運営途中で破綻してしまったり、細々と生きながらえてはいるものの記事全体に悲壮感が漂っているようなオウンドメディアはたくさんあります。またそれらの多くに共通して言えることが「編集長の心が離れてしまっている」ということです。
編集長が心から「この会社が好きだから、世界一この会社を有名にして、たくさんのファンを作りたい」と願っているのであれば、自然とコンテンツ(記事)の企画が斬新でウケの良いものになっていきます。
他にも、人気のある他社のオウンドメディアをしっかりと研究し、常に新しいものを取り入れるはずです。
それができていない状態だから、同じような社員インタビューしか掲載しないゾンビオウンドメディアが誕生してしまうわけです。
資金に余裕があるのであれば、オウンドメディアの編集長経験者や広報経験者を中途採用するのが良いでしょう。
もし、「社内から有志を募って挑戦させたい。」というのであれば、会社への情熱が高いメンバーをアサインするようにすると良いでしょう。しかし、それでは経験不足からコンテンツの内容が粗悪になってしまうため、最初の6ヶ月〜1年間はオウンドメディアのコンサルをつけてプロの仕事を間近で見せつつセンスとテクニックを吸収させるようにしてください。
オウンドメディアを立ち上げ育てていくのも重要ですが、同時に編集長を育てるのも重要事項。ということを認識しておくことをお忘れなく。
【ライター】
オウンドメディアの花形です。もう、アイドルとかスーパースターというような立ち位置なので、徹底的に甘やかして、自由奔放に感性を爆発させるようにしてください。
ライティングというのは、ただ文字を並べ文章を作る作業ではありません。読み手を想像し、その人が求めている情報を明確化させ、読み手が望むような言い方で記事を作成するアーティスティックな作業なのです。
仕事なので、それなりの結果が求められるのは当然なのですが、常に結果ファーストでライターを格付けするようなライターマネジメントをしてしまうと徐々にライターの情熱が冷め、無難なインタビュー記事やネットに転がっているような駄目記事を量産するようになります。
甘やかし、自由を与え、リラックスした状態でないと、面白くてオリジナリティーのある記事など思いつきません。
このように、ある程度の自由度を与えつつも、クリエイティブでオリジナリティーのある仕事を任せなくてはいけないポジションですので、「発想が面白い」「人とは違う視点で物事を考えることができる」「文才がある」という一面を感じ取ることができれば、その人物は適任者と言えるでしょう。
しかし、それらの素質よりも大事なのが「会社内で知名度があり、人気者である」ということです。
オウンドメディアというのは、社員の協力無くしては成り立ちません。
特に、社員インタビューや会社の歴史・自社製品の紹介など、ほぼ全ての記事で社員の協力が必要になってきます。
嫌われ者がライターをやっていると、記事作成の協力依頼を断られてしまう可能性も高くなりますし、仮に協力依頼を受けてもらえたとしても写真撮影などで良い笑顔が撮れなくなってしまいます。
社歴が長く、会社の内部をよく知っている人で無いと作れない記事もありますし、そのような記事を掲載することがオウンドメディアの醍醐味でもあるので、できるだけ適材をアサインするように心がけてください。
もし、「社歴が長くて人気者の社員がいるんだけど、ライティングスキルがなくて困っている」という場合は、外部のライターに10記事ほど記事制作を依頼し、記事のテーマを決めるところから、実際にインタビューするところ、記事執筆をするところまで全てに同行させ成長してもらうと良いでしょう。
オウンドメディアの記事というのは、会社の歴史だったり、社員紹介や、自社サービス紹介など、多くても5〜7パターンくらいなものです。
それぞれ1記事づつプロに作ってもらい、その記事をお手本に次の記事を作っていけばそこまで高いハードルではありません。
重要視すべきはライティングスキルではなく、社内での知名度・人気度・そして社員と会社のいろんな表情を知っている経験です。
記事作成とか記事の企画に困った際は、別記事の解説がお役に立てるかもしれませんので、そちらも一読してみてください。
【カメラマン/画像編集係】
記事内で使用される写真というのはかなり重要です。
「記事に対する印象は写真次第」と言い切れるほど、記事内で使われる写真の影響力が大きいからです。
どんなに凝った文章を作っても、画像なしでは読んでもらえないですし、完読したとしても記事の印象は薄いままです。
とはいえ、スマホとか自宅にあるデジカメでパシャパシャと写真を量産すれば良いか。というとそうでもありません。
記事で使用する写真には一定のルールや構図を決め、できるだけそれにそった写真作りを心がけます。
そうしないと、記事によって写真のクオリティがバラバラで、読者の集中力が途切れてしまうからです。
写真というのは、同じルールや機材を使ってもカメラマンによって微妙に差が生じてしまうので、できるだけ同じカメラマンに撮影してもらうのが好ましいと思います。
また、機材についてもできるだけ同じものを使い、出来上がる写真のクオリティーを統一化させるのが良いでしょう。
写真のレタッチ作業なども、微妙に個人の感性が影響してくるので、レタッチ作業についてもできるだけ同じ人にお願いするのが無難ですね。
オウンドメディアはスマホで閲覧されるものです。PCのブラウザではほとんど閲覧されないと認識してください。
個体差はありますが、多くのオウンドメディアでは70〜80%がスマホからの閲覧となっており、スマホを意識した記事構成にしなくてはいけません。
スマホはPCのブラウザに比べ画面が小さく、スクロールする回数も多いため、文字が多いと最後まで読んでくれなくなってしまします(途中離脱ということ)。
文字数は多くても3000文字くらいに抑えるのが理想的なのですが、文字数だけ気にすれば良いというものでもありません。基本的には文字500字につき画像1枚くらいの配分で、多めに画像をはっていく構成が好ましいです。
これくらいのペースで画像をはっていけば、1〜2スクロールの間に1枚は画像が入る計算になり、読み手の集中力維持に一役買ってくれます。
使用する画像も、構図としては10パターンくらいを使いまわせば良いので、そこまで凝った構図を毎回使わなくても良いです。
ここまで書くと、「予め決めておいた構図を10パターンくらい撮影すればよいんでしょ?なら専任カメラマンじゃなくてもいいじゃん」となりそうですが、機材やカメラマンが変わると、ボケ具合や色合い、配置などが微妙に異なり違和感の原因になってしまいます。
読み手は無意識のうちにその違和感に気付き離脱していってしまうので、できるだけ機材とカメラマンは統一させた方が良い。ということです。
写真撮影のさいは、できるだけ被写体に笑顔になってもらう必要があるので、「トーク力がある人」「明るい人」「フレンドリーな人」を採用すると良いでしょう。
「撮影技術はどれくらいあれば良いの?」という質問があるかと思いますが、「条件さえ揃えば、素人でもOK」が回答です。
その条件というのは、
・先述した明るい性格の人であること
・デジタル一眼かミラーレス一眼の他、単焦点レンズと標準レンズを使うこと(スマホのカメラは禁止)
・カメラ初心者向けの雑誌やテキストを買って独学できる人
です。
細かくは、別の記事で解説しますので、そちらも参考にしてみてください。
【校閲】
あまり目立たないのですが、校閲はめちゃくちゃ重要です。
もちろん全ての記事は編集長自ら投稿前にチェックをいれる必要はあります、しかし編集長には他にもやることはたくさんあるので、校閲作業については事前に担当者の方で済ませておくのが理想的です。
記事の題材も文章も素晴らしく、使っている画像も良い出来栄えであったとしても、誤字脱字があるだけでその記事に対しての印象はかなり悪くなってしまいます。
誤字脱字チェックだけでなく、「使用している画像や言葉、他社の製品名などそのまま使用しても問題無いか?」という視点でチェックすることも重要になってくる難しい役割となりますので、「集中力がある」「ライターや編集長に対しても指摘をできる胆力の持ち主」「いろいろな可能性を考えながら記事を客観的にみれる視野を持っている」などの特性があれば適任かと思います。
この役割に関しては、適性さえあれば他部署と兼任でも行える作業ですし、安価に外注できる作業ですので、コストを抑えた運用ができる役割でもあリます。
*別記事で校閲時の落とし穴的なものを解説しています。もしよかったら一読してみてください。
【まとめ】
如何だったでしょうか。
今回は、実際に運営してみて見えてきた、オウンドメディア運営に必要な4つの役割について解説してみました。
会社の規模にもよると思いますが、最小コストでオウンドメディアの立ち上げをしようと計画し、1〜2名のみでスタートする企業もあるかと思います。
初期費用を抑えてスモールスタートするのは仕方ないことだとは思いますが、必要な役割を度外視してまでコストを削減するのは如何なものかと。
「初期費用をケチったため、運用がグズグズになって最後は空中分解しちゃいましたぁ〜」なんてことはよく聞く話しなので、最初にしっかりとした設計を行うようにしてください。
では、また。
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