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セミのなきごえの聞きはじめ:ものごとにはどんなことでも順序がある



はじめに

 梅雨が明けて夏がやってきた。というかその前から気温はまちがいなく夏本番だった。雨の合間にそれが垣間見え、汗をずいぶんかきはじめた。からだはそうした「練習」を経て本番にそなえたいのだが。気候の変化は情け容赦ない。ずいぶんと照りつけてきた。

きょうはそんな話。

すでに日に日に

 梅雨あけ間近ははっきりしない天候がつづいた。そんななかすこしの晴れ間にことしも聞こえてきた。ニイニイゼミ。いまも近くでないていてなんとも暑さを予感させる。夏のおとずれとともにやってくる。このあたりではほんのすこしだけほかの種類のセミよりもはやくなきはじめる。

聞こえたと思ったとたん、日数をかさねずにつぎのセミ。ここではクマゼミ。ワシワシといかにもエネルギーをたくわえて「今こそ」となく。からだが大きく羽は透明できれい。

ある高さ以上の山もしくは夕暮れどきの山の風が感じられるころにヒグラシ。カナカナとどこかうらさびしく風情はセミのなかでいちばん。ほぼおなじころ、このあたりでは山がちなところにでかけたときにかぎられてめったに聞かないセミがいる。それはすこしおくれてなきはじめるミンミンゼミ。

アブラゼミのころ

 やがてアブラゼミの大合唱。「ああもう、うるさい」となると夏も盛り。このところ大発生する年がつづく。いつも夏休みの学校のプールがさかりのころ。海水浴や泊りがけの行事などもたいていこの時期。セミとりしていつもこればかり。昼間のあいだ耳にずっとはりつくかのようになりひびく。

宿題をそこそこで済ませて気もそぞろに外へと飛び出した。さいわいこの時間は木々のあいだの蚊が少ない。腹のすくまでやっていた。暑さと時間をわすれて虫とりをやっていた。

たまにセミではなく七色のうつくしいタマムシやクワガタ。昼ご飯ののちはさすがに暑いので家のなかで昼寝をしてすごすか、ともだちと近くのプールへ。中学校では午前中からゆったりと部活ざんまい。休憩中のできて間もない校舎のコンクリートの床はけっこう風がとおり涼しかった。

季節はめぐって

 ツクツクホウシのなきごえが聞こえ赤トンボが舞いはじめると、夏休みがのこりすくなくなるころ。なごりおしくてあれをやればよかったとか、もっとはやくはじめておけばとか後悔のくりかえし。夏休み後半になるといつもそんな感情が湧いてくる。ちょうど毎週日曜日の夕方ぐらい(アニメの「サザエさん」のエンディングのころ)の感情と似ている。

ツクツクホウシのなきごえはまさにそんなきもちを反映しているかのよう。だんだんと気がせいてくるかのようになきごえは早くなりとぎれる。一時休憩してまたゆっくりなきはじめる。

それはまさにその頃のきもちをそのまま代弁するかのよう。日がな1日聞こえるので何度も同じきもちにさせられる。

おわりに

 梅雨がおわり毎年この順番でセミがなきはじめる。この順序ばかりはこどものころからあまり変わらない。やはりセミやトンボを無心で追いかけていたころをいちばん思い出す。

ことしもニイニイゼミとクマゼミがなきはじめた。いよいよ夏の到来。 

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