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研究それとも実用?素養としての英語:頻度の高い語やいいまわしとかんたんなルールを高校までに身につけさえすればのちは本人にまかせてはどうか

(2023.11.19加筆あり)

たくさんのスキをありがとう!

はじめに

 わがクニのヒトビトは英語にひけめというかコンプレックスにちかいものをもっている人が多い。わたしも例外でない。思うようにあやつれない。

小学校の中学年以降で英語の授業がおこなわれている。学習をサポートするこどもたちのようすからは導入まえとのおおきなちがいはかんじられない。きちんと統計をとったわけではないが、以前なら中学生にみられていた英語への興味や関心がうすれていくタイミングが、小学校中学年から高学年に移動したにすぎない。

中学校の中ほどの成績をしめす生徒たちの「英語」の実力がむしろ大きく二分化したと感じている。

きょうはそんな話。

学習サポートの現場で

 中学生たちがおとずれると、まずはごく初歩的な英単語や小学校4,5年生あたりで習った言いまわしのおさらいをごく短時間ですすめる。いまの小学生たちは中学校へあがるまでの段階で700語ていどの英単語が文科省の学習指導要領で求められている。

今度の指導要領の改定でさらにその数はふやされた。これだけの英単語をほとんど書くことが重視されていないなか、発語したり聞き流したりで身につけよとのなかなか高度なお達し。しかも週2コマでこれを身につけよとのこと。

思いだしてほしい。わたしたちは小学校であれほど漢字のかきとりを毎日のようにしてきたはずだが…。英単語はそれなしでおぼえられるものだろうか。そしてそれは漢字とともに両者をおぼえないとならない小学生にとって可能だろうか。

ゆりもどし?

 すでに10年ほどまえの報告書(「英語教育の改善・充実について」ではあるが、調査結果(p.61)として中学に進学した生徒たちへのアンケートがとりあげられている。小学校の英語で充実してほしかったことに、「英語の文を書くこと」や「英単語を書くこと」などをこどもたち自身があげている。

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/112/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2016/06/06/1371754_5.pdf

これらのことばを裏読みすれば、「英語の文を書くこと」「英単語を書くこと」を小学校でできていなかったということらしい。極端へとぶれてないだろうか。

もちろん英語の4技能:「聞く(リスニング)」「話す(スピーキング)」「読む(リーディング)」「書く(ライティング)」をバランスよく学べるのは理想。とはいえ中学生は入学して3年たらずで大部分の生徒が高校入試を控えている。

そののちの大学入試では、共通テストではリスニングが導入されたが、あいかわらず二次試験などでは後者ふたつが重視され(一部に例外あり)ており、話す力をほぼみないまま(一部に英語の口頭試問あり)の試験にほとんどの受験生が接する。もちろん話す力を共通テストで試験するこころみがなかったわけではないが前途多難なようす。

コミュニケーションの道具に

 もちろん英語は試験のためにあるわけではない。大部分のヒトビトにとって言語としてのコミュニケーションの手段。国際的な交流のてっとりばやい道具のひとつ。

そののちの人生は長く、英語を使う・使わないはそれぞれのヒト、歩む道によってちがう。だがせっかくの義務教育の機会。みすみす英語への意欲や興味をうしなうようにしむけるようではなさけない。

活躍の一方で

 各種のスポーツや音楽などで国際的に活躍するこのクニのわかいヒトたちが英語を流暢にあやつる姿はたのもしい。うえでふれた同世代のはず。「案ずるより産むが易し 」かもしれない。ただしそれにはどっぷりつかるほどの英語にふれる機会がないとむずかしい。

週2回の授業時間にしかもティーチングアシスタントの方とのほんの瞬間しかないやりとりならば、英語圏でないこのクニにいるかぎりその理想の機会にはほど遠い。

その一方で外国から多様な言語をあやつる方々がおいでになる時代。それにもかかわらずわたしたちはもっぱら英語に目がむいている。なかなかまじわらないし接点がないまま。

おわりに

 もとめられているのはむしろ多様な言語でのコミニュケーション。じつは一般の学校ではすでに外国からおとずれたこどもたちが通学していて、学習サポートで尋ねると生徒たちからクラスにいるよとのこと。

日本語の習得で苦労しているらしい。日本語教育の充実もはかりたいところ。外国からはるばるおとずれる生徒たちがこのクニで生活するための言語を身につける機会の充実、進学(一部は共通テストの科目にあるにはあるが)の門戸がひらかれれば理想的かもしれない。

英語に話をもどすが万人むけの方法はじつはないのかもしれない。おもいきって学年の枠をはずして進度別・習熟度別のクラス編成などどうだろう。ほかの教科との調整が必要となるが、英語をどれだけこのクニが重きをおくかでくふうの余地はありそう。

実用英語と研究者がもとめる英語はもちろんことなる。その両方へと橋わたしするのが小中学校の基礎の英語。それにつながる高校でどれだけ裾野をひろげられるかで、のちにどんなサイズの英語の山を築けるかちがってくるだろう。

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