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この3年でようやく改善に気づいた 台所用洗剤をかえて長年の懸案の手荒れがおさまった


はじめに

 些末なことは意外と気づかないもの。

寒くなるとあきらめていた手荒れ。そういえばここ2,3年手荒れをしなくなったなあと鈍感にもわたしは感じていた。その理由を考えるまでなく、日々の生活に追われていた。

ある日、考えが手荒れにたまたま行き、そう広くもない水まわりを眺めまわすと、ほら、これだよと教えてくれた。そのお手柄は台所用せっけんだった。


いただきものがつづく

 洗剤の多くはいろいろな催しや知り合いなどからいただいて、自ら買う行動をしてこなかった。保険の更新をすると1年分とか、地元の運動会の賞品とかでいつのまにかストックとなっている。

したがって手近にあるストックの一本をなにげなくとり、洗濯、手洗い、食器洗いなどさまざまな洗剤として日々使ってきた。

あらためて家の中を見まわすと、こんなに多くの種類を使ってきたのかというほど。これではどれが肌に合うものなのか知りようがない。

でも悲しいかな、それらがなくなってから自分の肌にぴったり合うものを見つけよう、お気に入りを探そうと思いつづけてはや幾年月。なかなかその機会は訪れなかった。

学校のバザーなどにもっぱらそれらのいただき物の洗剤を出しつづけているにもかかわらず。なかなか減らない。増殖しているのか。

ひとつのものを日々使いつづけてしばらく常用するからこそ、肌の状態とある洗剤との相性がわかるというもの。人とおなじ。とっかえひっかえしたのではわからなくなるのもとうぜんといえばとうぜん。


皮肉な結果

 若い頃こういうことがあった。ある会社の内定式。その会社の製品のいくつかをいただいた。医療用医薬品、一般向け医薬品ならびに医薬部外品を製造販売する上場企業。医薬部外品の乳幼児向けのとくに注意深くつくられた製品をいただいた。よくある試供品だ。

これから従事する企業の旗艦商品。ブランド名もわりとよく知られている。肌荒れに悩まされてきたこともあって早速開封して洗顔に使ってみた。

洗顔後タオルで顔をふき、ものの数分しないうちに顔がかあ~と火をふくように熱く感じ、鏡をみると真っ赤。目もしばらく開けられない。あきらかに薬負け。発疹にはいたらなかったが、しばらく赤みがひかなかった。

なんということか。内定をいただき、これから会社のメンバーとしてこれらの商品開発にあたるはずの立場。このことがきっかけになったかどうかはべつとして、この就職は人事担当者宛に丁重に手紙を書いてお断りした。

この商品が、君にはこの会社には縁がないよ、やめといたほうがいいよとそれとなく知らせてくれたのかどうか。そうだとしてもまさか、これだけ念をいれたはずの商品で異常を起こすとは。つくづく自分の肌のきまぐれぐあいにほとほとあきれた。


ところがところが

 何も高級な商品がかぶれないとはかぎらないことは、そのころからうすうすは感じていた。なにしろどの成分に敏感なのかかいもく見当がつかない。

上述のあかちゃん用にしても多種多様な薬品が使われている。このうちのどれかにちがいない。ただし複合作用ということも念頭に入れなければならない。1種類ではなく、いくつかが組み合わさるあるいは濃度がちがうと起こる現象ならば手に負えない。

シャンプーなどもいろいろ試してきたが、けっきょく安いものでも大丈夫なときはまったく問題なく使える。うっかり移り気で他の商品に変えると頭皮が悲鳴をあげる。家族は変だという。安いものが大丈夫だなんて本当?と、なかなかとりあってもらえない。

ひとつ解明

 そして最初のおはなし。食器洗いは毎日のこと。手洗いするので冬の時期にあかぎれやしもやけになるのはあたりまえと思ってきた。冷え性でもあり冬の時期には靴下なしでは眠れない。にもかかわらず台所では素手で手洗い。手袋すると油よごれが落ちているかどうかわかりにくいから。

それであかぎれとしもやけについてはあきらめていた。ところが事態は急変。3年ほど前にようやく、いただきものの食器用洗剤を使い切った。

いつもの店へ食器洗い洗剤を嬉々として買いに向かった。その棚を目にするのもほぼはじめて。無難そうな液体せっけんの商品にしようとひとつを手にとった。

するとその年は、なにげなく意識しないまま冬が通り過ぎた。そして昨年の冬、その事態の変化に気づいた。あかぎれを含め手荒れをせずにごくごく軽いしもやけだけで春を迎えられた。

これは画期的。生まれてこのかた、ものごころついて以来、冬を越して手が荒れていないなんて。それにしても鈍感な自分に嫌悪してしまう。あれほど悩まされてきた手荒れが快方に向かったのに気づくのに3年かかるとは。

これは胃薬と同じかもしれない。飲んで効いてしまうと胃の存在感すら気づかなくなる。つまり効いている。手荒れもそうだろう。荒れると気になるがきれいなままならば残念ながら意識がそこへ向かわない。

やっとひとつクリアできた。これならば安心して使えそうだ。もっぱらこの商品を使いつづけている。いまのところトラブルはない。

よりにもよって化学者に

 こんなに皮膚が弱いにもかかわらず化学者として過ごしてきた。化学者だから薬品を扱い過ぎてオーバーフローしてしまい、そうなってしまったのか。どちらかはわからない。

どちらにしても若い頃からさまざまな薬品にさらされてきた。いくつかは皮膚科にかけこむほどの反応をからだが示した。

たとえばジシクロヘキシルカルボジイミドなどはあまりにひどいので皮膚科に向かった。医師から何度もこの薬品名をたずねられた。らちがあかないので化学構造式を記して示し、化合物のアミノ基とカルボキシル基の縮合剤ですと作用までいっしょに説明したがピンときてもらえなかった。

一定領域の化学者のあいだでは経験的によく知られている、かぶれやすい薬品のひとつ。おなじ研究室に顔までかぶれている仲間がいた。わたしはこの薬品を扱うにあたってパッチテストをしようと、ごく薄い溶液を手首につけただけ。それでものすごいかぶれが二の腕まで起きてその皮膚科に向かった。

ほかにもかぶれるものはいくつかある。消毒でつかうエタノールですら過敏なほうだ。体調しだいでわずかでも飲酒するとみっともないことになってしまう。


おわりに

 原因にあたれる場合と回避する方法がわかっているとおちついて対処できている。昨今のワクチンを打つ際、消毒にはエタノールの代替品にしてもらえた。

手荒れをしないで済めばとてもありがたい。冬場は指先までぼろぼろに荒れ、紙を一枚めくるのすらなかなかの作業だった。それがまったく問題なく指先が使えている。こうしてわかったことに感謝しないと。使える商品の情報はなによりもたいせつ。

それにしてもわたしは鈍感。3年かかるなんて。どうかこの商品を作りつづけてほしいと願うばかりだ。


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