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向きによって濃淡の変わるアメジストの紫色の発色のしくみについて調べてみた


はじめに

 地球上のさまざまな物質の多くには色がある。そのなかにはどうやって色がみえているかわかりにくいものがある。なかでも鉱物の色は千差万別。もともと有色のものが多いと感じているが、なかにはどうやってこの色にみえているのだろうという石すらある。

そんななかで、今回は、アメジストをとりあげてみた。たまたま開いていた無機化学のテキストに記載があった。

ひょんなことで入手した鉱物

 昨年ふと手に入れた30数種の鉱物。それらを手にとるとじつに個性的。さまざまな色やかたちをしめす。なかでも宝石とよばれる一連の鉱物はやはり珍重されるだけあって、その特有な色はそれぞれ独特なもの。やはり古来よりヒトビトが魅せられてきたことはあり、それに納得させられるだけのことがある。

人工的に着色したのでは得られないふしぎな色をはなつ。

てもちのアメジストは

 わたしの手元にあるアメジストはあくまでも鉱物であり、宝石とよばれるほどの価値はないが、それでも特有の色には紫水晶とよばれるだけのあやしい魅力がある。

手元に置いてそのまま静置していると、ああ淡い紫色だなと感じるぐらい。一定の場所がその淡い紫をしめす。ところが手にとりうごかしながらながめるとふしぎなことが起こる。そのほのかな紫がぽっと消えてしまう向きがある。それもあっさり。これは水晶の結晶の構造に由来するのかもしれない。

それについてはひょんなことから手がかりが。

アメジストの無機化学

 たまたま生徒に無機化学を教えるために予習をしていた。するとテキストにこんな記述が。

紫水晶(SiO2)ともいわれるアメジストでは、いくらかのSi4+イオンがFe3+イオンによって置換されている。この置換によって正孔(電子が抜けた状態)が1つ生じ、たとえば電離放射線によってこの正孔が励起されると、正孔は捕獲されて水晶の母体中にFe4+あるいはO-を生じる。さらにこの物質中で電子が励起されると、今度は540nmの可視光が吸収されて、観察できるような紫色を呈する。(化学式の数字と±は上つき)

シュライバー・アトキンス 無機化学 第6版(上) p.123

鉱物中の結晶の欠陥に関する記述と色との関係に関する記載だ。なるほどなあと思う。

三方晶系のアメジストの色はさらに屈折されて複雑な見えかたをするようだ。やはり色のあやしさの根本にはこんな化学的な原理があった。

おわりに

 むかしから、石に魅力を感じている。色がついていればなおさら。その色を呈することわりはそれぞれちがうし、しらべると奥が深い。

もっといろいろな石や鉱物の色についてわかる範囲でしらべてみたくなった。

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