Let’s Grow the Internet Computer Network: Why and How, and General Updates
↑こちらの記事の和訳。(途中)
Internet Computerのネットワークを育てよう:その理由と方法、そして全般のアップデート
Internet Computerのノード・ネットワークを再び成長させる時がやってきました。アマチュアのノードプロバイダが標準化されたコンピューティングデバイスであるICPのノードマシンを入手し、インストールし、運用することをより簡単にするための技術的な取り組みが行われている間、このプロセスは一時停止していました。
ヨーロッパ、アジアを中心とした既存のプロバイダーだけでなく、新たにノードマシンを運用するプロバイダーが現れることを期待しています。さらに、ノードプロバイダーには、NNS(Internet Computerのブロックチェーンのネットワークを制御する DAOである "Network Nervous System")がホストする新規のノードプロバイダーのプロフィールに「善意の宣言("declaration of good intent")」を追加して、セキュリティの向上にも貢献してもらうことについても期待しています。
いつものようにコミュニティの意見を集約するために、DFINITY FoundationはNNSにmotion proposalを提出します。そして、合意が得られ次第必要となる技術的な変更を行うために、さらにその他のプロポーザルも提出するつもりです。
アップデート:ノードの需要を生み出す/高めるもの
Internet Computerのネットワークは、様々な理由からより多くのノードマシンとノードプロバイダを必要としています。この需要を生み出す/高める主な要因について、全体のアップデートを兼ねて、少し詳しく説明します。
1. Chain Key TX
"Chain Key TX" は、Internet Computer の新しい機能のことを指していますが、これは何かというと、ホストされたキャニスター・スマートコントラクトが(IC以外の)他のブロックチェーン上で(取引の)実行を行うために、署名されたトランザクションを生成できるようにする機能です。
Internet Computer のキャニスター・スマートコントラクトは、ビットコインを含む他のブロックチェーンと直接対話できるという新しい能力を持っています。この新しい "Chain Key TX" の機能により、ホストされたスマートコントラクトは、イーサリアムの外部所有アカウント(EOA = Externally-owned Account)の公開鍵に代表されるような、(IC以外の)他のブロックチェーン上にアカウントを作成し、それらのアカウントを使用してトランザクションに署名できるようになります。これは、他のブロックチェーン上で単純なクリプトの取引を行う目的と、それらがホストするスマートコントラクトのソフトウェアを呼び出すため、両方の目的に利用することができます。Internet Computer 上のスマートコントラクトは、複数のブロックチェーンを完全にトラストレスで結びつける「メタグルー(接着剤)」として機能することができるようになります。
この新しい "Chain Key TX"の機能は、Internet Computer を構築している独自のChain Key 暗号ネットワークのプロトコルを拡張することで開発されました。つまり、高度な暗号技術とプロトコルの数学にのみ依存しており、この機能はブロックチェーンとWeb3のエコシステムにとって画期的なものとなっています。
"Chain Key TX" の機能によりブロックチェーンの相互運用が可能になることで、ソースとなるブロックチェーン上のクリプトをラップして、そのラップされたバージョンの資産を送付先のブロックチェーン上で使用できるようにするという、トラストされた「ブリッジ」サービスの必要性を排除することができるのです。今年(2022年)の最初の9カ月間で、これらのブリッジからハッキングされた資産の価値は数十億ドル単位で測れるほど大きいものとなりました。今のところ、それらのブロックチェーンに大きな投資をしている人々によってほとんどが資本増強されていますが、このままハッキングが続けば、例えば他の資産の貸借のために広く使われているラップされた資産が突然すべての価値を失ってしまうなど、いずれDeFiのエコシステム全体に波及するシステム不全を引き起こすことでしょう。
この新しい機能はDeFiの開発者にとっても、新しいものを生み出すことを可能にするための喜ばしいものとなるでしょう。例えば、Internet Computer 上に完全なオンチェーンのDEXを構築し、ユーザーが様々な独立したブロックチェーンから、元々のチェーンを離れることなく暗号資産を取引できるようにすることも可能です。この他にも、この機能の様々な利用方法があります。
2021年、イーサリアム上にあるUniswapは、かつて取引可能だったトークンの半分をウェブサイトからデリストしました。Uniswapのスマートコントラクトが提供する金融のレールはオンチェーンに存在し、DAOによって分散・分権的にアップグレードされていたものの、問題となっていたのは、Uniswapのウェブサイトがクラウドコンピューティングのサービス上で中央集権的な方法で稼働しており、ハッキングや検閲に弱く、開発者がウェブサイトを自由に変更でき、オーナーコントローラーとして規則違反を認知してしまうと責任が生じることにありました。(サイトの)継続運用のためにはクレジットカードでの支払いが行われるのです。
この "Chain Key TX"の機能は、イーサリアムのDeFiコミュニティにこういった問題の解決策を提供し、多くの人がすでに実験的に利用しています。彼らーあるいはその他の人々ーは今、Internet Computer 上で完全に分散化されたWebフロントエンドを実行することができ、それはDAOによって完全に制御することができるのです。これらのフロントエンドとそれを作成するスマートコントラクトは、"Chain Key TX" を使用して関連するEthereumスマートコントラクトと直接かつトラストレスに統合できます(Internet Computer のスマートコントラクトによって提供されるUniswapのフロントエンドと、"Internet Identity" を介してPCの指紋センサーを利用して取引を開始するユーザーのデモをご覧ください)。
Internet Computer を主戦場として開発を行っている方々は、"Chain Key TX" を活用して素晴らしい新機能を実装することもできます。例えば、Internet Computer のブロックチェーン上で動作するWeb3チャット/メッセージングサービスは、クリプトウォレットにもなるユーザーアカウントを提供することができます。このアカウントは、他のブロックチェーンに存在するクリプトもホストすることができ、使うのも面倒でリスクの高いブリッジ(ブリッジからの(資金の)引き出しには通常数時間かかります!)にも触れずにいることができます。そして、そのユーザーは、簡単なチャットメッセージを使ってクリプトを送ることができるようになります。例えば、あるユーザーが「誕生日おめでとう」というメッセージとともに1万サトシを送ると、ビットコインの台帳上で実際の取引が行われます。
典型的な例として、スマートコントラクトの開発者は、"Chain Key TX" を利用して他のブロックチェーン上で取引を実行し、その後 "HTTPS outcalls" (結果がネットワークコンセンサスによって処理されるHTTPリクエストを行うことによって、Ethereum ノードなど、Internet Computer の環境外のシステムからスマートコントラクトが情報を取得できるもう一つの新しい機能 ー 信頼できるオラクルサービスを必要とせずに、Coinbaseから安全に価格フィードを取得する最近のデモを見て下さい)を利用して(取引の)結果を取得することができるようになります。
しかし、BitcoinはUTXOモデルを使用しているため、同じアプローチは利用することができません。このため、Chain Key TXは、ビットコインネットワークとの対話を簡素化するための特別なAPIを提供しています。これは、最新のUTXOを維持するためにビットコインのブロックをダウンロードして処理するネットワークにサポートされています。キャニスター・スマートコントラクトのコードを使ったビットコイン台帳上での直接のビットコインの送受信がものすごく簡単になり、史上初のネイティブなビットコインDeFiサービスを作成することが可能になりました。
技術的なヒント:Internet Computer のネットワークは、そのChain Key 暗号プロトコルによって、スマートコントラクトをホストするための1つのシームレスなブロックチェーン環境に結合されたサブネット・ブロックチェーンで構成されています。サブネットは、NNSをホストしたり、Chain Key TXのような機能をサポートするなどの特別な目的のために使用することもできます...
この新しいChain Key TX の機能を提供するために、Internet Computerのネットワークは、専用の "Threshold(閾値) E(d|C)DSA" サブネット・ブロックチェーンを追加しなければなりません。これが、関連する暗号学的な秘密鍵のマテリアルのセキュアーな生成と管理を担うことになります。Internet Computer のネットワークを動かす Chain Key 暗号プロトコルは、ノード間で行われる秘密鍵のマテリアルのシェアを安全な形で初期化し、ノードがいつでもサブネットに参加したり離脱できるように継続的にマテリアルを再共有し、打つ手を変えてくる外敵にも打ち勝てるような処理を行い、鍵のマテリアルを他のサブネットにバックアップし、他のブロックチェーンで実行される取引に安全かつ耐障害性をもって署名を行うことを、これらのサブネットに対して可能にするものです。
暗号技術に関連する多くの理由から、この新しい Threshold E(d|C)DSA サブネットは他のサブネットよりも高いレプリカ係数(より多くのノード)を持つことになります。さらに、これらのサブネットはSEV-SNP バーチャルマシンの暗号化ハードウェアを搭載した第2世代の仕様となるノードマシンを利用し、外敵がノードマシンに物理的なアクセスを行った場合、その内部には暗号化されたバイトしか存在しない状態になっています。ただし重要なこととして、ハードウェアは誤謬を犯しやすく、サブネットのセキュリティと生存の保証は常にプロトコルの演算と暗号化に依存しているので、この技術は追加のプロテクションを提供しているのみになります。
Internet Computer のネットワークは、新しい第2世代のマシンをネットワーク内部に必要とし、理想を言えば、新しいノード・プロバイダーを必要としています。そうすれば、NNSはChain Key TXの機能に対して予想される需要を満たすために十分な数の Threshold E(d|C)DSA サブネットを形成することができるのです。
2. SNS (Service Nervous System) DAOs
"SNS" は、Internet Computer のブロックチェーンによって作成された特殊なDAOで、オンチェーンで動作するWeb3サービスを制御し、そのサービスがプロトコルのように自律的に動作することを可能にします。
ブロックチェーンの歴史上初めて、Internet Computer は、開発者がマスマーケットにあるSocialFiやGameFiなどのWeb3サービスを完全に分散・分権化し、DAOに全面的な制御権を委譲することによって、「プロトコル」の形態として稼働できるようにします。Internet Computer が提供する新種のスマートコントラクトは、膨大な量のデータをエコノミーに処理・保存でき、HTTPリクエストを処理してユーザーにダイレクトなウェブ体験を提供することもできるので、ビッグテックのクラウドコンピューティングサービスなどの伝統的な中央集権型のITの使用を迂回し、ブロックチェーン上の高度なスマートコントラクトだけでWeb3サービスを構築できること、これが第一の理由です。
しかし、脱中央集権・分散化ためのパズルには、第二のピースが存在しています。すでにこれは解決済みではありますが。スマートコントラクトは、同じくブロックチェーンの環境内でホストされている他のスマートコントラクトを作成、更新、設定することしかできず、例えば、AWS(Amazon Web Services)などのクラウドコンピューティングサービス上で動作するデータベースやウェブサーバーなど、従来の中央集権型のITに対して制御の力を及ぼすことはできないのです。つまり、スマートコントラクトで構築されたDAO(自律分散型組織)は、従来のITを含むアーキテクチャを持つWeb3サービスを完全にコントロールすることはできないのです。しかし、Internet Computer を利用したスマートコントラクトでweb3サービス全体を構築できるようになったため、ー 歴史上初めて ー、web3サービスを全面的なDAOの制御下で運用し、すべての設定や更新を行い、自律したプロトコルとして運用することが可能になりました。
このような、Web3サービスを完全にコントロールするDAOは、ガバナンストークンを保有する数千、数百万人のコミュニティの要望を仲介し、その多くがエンドユーザーとなります。サイファースペースにおけるこれらの自律的なデジタル民主主義は、政府、そして企業、パートナーシップ、財団、信託、ファンドなどによって提供される人間の組織と経済のための従来の枠組みに取って代わる、非常に説得力のある選択肢を提供します。DAOが持つ生来の、そしてそのゲームチェンジングな長所をもってして、web3プロジェクトが選択しうる組織構造へとすぐになっていくと信じています。
クリプトプロジェクトにおけるDAOの圧倒的な重要性を認識し、DFINITY Foundation はSNS("Service Nervous System")と呼ばれる特殊なDAOを開発しました。これは、Web3のサービスを制御するという非常に難しいタスクのために設計され、コミュニティによって作られたDAOのフレームワークを補完するものです。SNS DAOのフレームワークの設計は、Internet Computer のネットワークを制御するNNS (Network Nervous System) DAOを参考にしているものです。そしてこのNNSは、現存する最も洗練されたDAOであると言っても過言ではありません。
NNSをよく知らない人のために説明すると、Internet Computer のコミュニティメンバーは、ICPガバナンストークンをNNS内部にステーキングし、"voting neurons(投票ニューロン)" を作成します。これは、提出された各プロポーザルを採用するか拒否するかを投票するためのものです。ニューロンのオーナーは、手動で投票することもできますし、「リキッド・デモクラシー」のシステムによって、信頼する個人や組織が所有するニューロンをフォローするように自分のニューロンを設定し、投票報酬を得ながら完全に自動的に投票することもできます。
NNSは、ある提案を採用すると、その提案を完全に自動的に実行します。例えば、ネットワークのノードマシン上で動作するレプリカ("client")ソフトウェアをアップグレードする提案が採決されると、ネットワークのノードが自動的にアップグレードされます。これは、従来のブロックチェーンがフォークによってプロトコルをアップグレードする必要があったのと比べ、より分散的でリスク・摩擦の少ないブロックチェーンをアップグレードするための方法となっています。NNSは完全にパーミッションレスであるにもかかわらず、17カ月前(2021年5月10日)のメインネット立ち上げ以来、すでに何百もの提案を正常に処理・実行し、悪意のある提案やスパムの提案を拒否しながら、ネットワークを急速な形で進化させています。
Internet Computer 上のスマートコントラクトで、そして/あるいはChain Key TXの機能によって他のブロックチェーンと組み合わせた形でWeb3サービスを構築した開発者は、DAOに制御を全面的に委ねることで完全なる分散化を実現し、そのサービスを自律分散型のプロトコルとして稼働する形に移行することができるようになります。
このようなWeb3プロジェクトが以下のステップを踏むことで、ゲームチェンジャーとしての長所を実現できます。
ICOを必要としない分散型資金調達。SNSは、ガバナンストークンを販売することで、分散型のエコシステムから資金を調達することができます。そのコミュニティは、コア開発者や請負業者として投資を受けた組織に支払うなど、(資金を)どのように展開するかを決定することができます。
よりセキュアな運用が可能となります。 あるWeb3サービスが一つのSNSに割り当てられると、すべてのアップデートはそのSNSによって採用、実装される必要があります。開発者、組織、ハッカーは、悪意のあるコードを挿入しようと直接的な更新を行うことはできません。これにより、Web3サービスはより一層安全な形で、膨大なトークン資金を管理することができます。
プロトコルとしてのトークン化。Web3 サービスがプロトコルとして実行されると、規制リスクの高まりにさらされることなく高度なトークン化戦略をコントリビューターである開発者が実装できるようになります(たとえば、ある強力なユーザーインセンティブを生み出すなど)。これは、web3 サービスがある一つの開発者のグループや企業の管理下で実行され、トークンの機能に責任を持つことになるのと対照的です。
オーナーシップによるバイラルな成長。 SNSガバナンストークンを配布することで、エンドユーザーにインセンティブを与え、Web3サービスの「所有者」とすることができます。例えば、他のユーザーを紹介することでバイラル(感染のような)な成長を促すユーザーや、コンテンツのモデレーションなどのタスクに参加するユーザーにトークンを配布することができます。将来的には、ユーザーは所有者であると同時に、ソーシャルネットワークのようなWeb3サービスを運営するチームの一員となることでしょう。
プログラマブル・ウェブ。 Web3サービスは、他のWeb3サービスも利用可能にしてあるAPIを「永久的」なものとして宣伝することができ、他のプロジェクトは、後にデプラットフォームされるリスクなしにそれら(のAPI)を基に構築することができます。Web3のエコシステムの中で、真の「プログラマブル・ウェブ」の機能を提供し、「サービス・コンポジション(Webサービスの機能の合成?)」によるコラボレーションを可能にすることで、強力なネットワーク効果を引き起こすことができます。
Web3 の実現:一旦 Web3 サービスがプロトコルとして稼働すれば、それは真にパーミッションレスでオープンな公共インターネットの一部となり、ビッグテックによって運営されている独占的でプロプライエタリな(占有された) Web 2.0 サービスとの競争に値する相手となります。
SNSにWeb3サービスを割り当てるためのプロセスは以下の通りです。分散・分権化の提案を提出する。Web3サービスの開発者は、まず、サービスの全権をSNSに委ねることを提案するプロポーザルをNNSに提出しなければなりません。この提案には、次のステップに繋がる多くの設定が含まれています。
NNSが提案の採択を決定する。 NNSは提案を採用しなければなりません。SNSにweb3サービスを割り当てるかどうかの判断は常に、分散・分権化されたInternet Computerのコミュニティの意思を自律的に表現するものとして行われます。
NNSは新規のSNSをブートストラップします。 NNSは、新しいSNSを作成します。NNSは、Web3サービスの「ルート」スマートコントラクトのコントローラーとしてSNSを設定します。これにより、SNSがサービスをコントロールし、自律的に稼働するようになります。
ガバナンストークンの台帳が作成されます。 コミュニティメンバーが投票できるガバナンストークンがまだ存在していないと、(まだこの段階では)SNSはWeb3サービスの更新や設定に関する提案を採択したり拒否したりすることができません。そのため、SNSはICPガバナンストークンの台帳と同じ機能を持つガバナンストークンの台帳を自動的に作成するようになっています。通常は、10億枚のトークンを生成します。
分散化セールが予定されます。 SNSは、(まだ)コミュニティメンバーがガバナンストークンを保有していないため、(この段階では)web3サービスの更新や設定に関する提案をまだ採択したり拒否することができません。そのため、SNSはガバナンストークンをコミュニティに配布する「分散化セール」のスケジュールを自動的に立てます。
コミュニティに対して、セールについての通知がなされます。 NNSは "launchpad" にて分散化セールの予定を表示し、参加を希望するICPコミュニティメンバーに通知します。また、ICPの "Community Fund" 機能を通じて、セールそのものに参加することも可能です。
分散化セールの実施。SNSは、分散化セールを実施し、世界中の匿名のWeb3コミュニティメンバーにガバナンストークンを配布します。 ICOとは逆に、売却益は開発者に渡らず、SNS自身が保有し、分散型のコミュニティのコントロール下に置かれます。
ガバナンストークンの配布。 分散化セールの参加者は、全員が同じ価格でガバナンストークンを購入し、お互いにトークンを "Flip"(短期的な利益のために不当な価格で売り買い) し合うことを防ぎます。ガバナンストークンは "voting neurons(投票ニューロン)" のバスケットの形で彼らに配布され、それらは異なるロックアップ(期間)を持っていて、それがそのまま権利償還のスケジュールとなります。
ハンディキャップのある「創業者トークン」が配布されます。 Web3サービスの開発者は、ガバナンストークンの割り当てを「ファウンダートークン」として受けとります、これも投票ニューロンのバスケットの形で配布されます。しかし、このニューロンの投票力にはハンディキャップがあり、開発者が投票力の過半数を保持することが必ずできないようになっています。
サービスがエンドユーザーにトークンを配布します。 Web3サービスのアルゴリズム、そしてSNSは直接、エンドユーザーにガバナンストークンを配布し、オーナーとチームの一員にすることができます。SNSは、開発者や何らかの形で貢献している他のエンティティに対して、請負人として仕事やサービスを行ってもらうよう(対価を)支払うことができます(ただし、SNSは法的な実体ではなく、国境を超えたサイファースペースで動作する自律的なソフトウェアなので、法的契約は存在し得ません)。ガバナンストークンの保有数に応じて、SNSは後に分散化セールを実施し、必要に応じてプロジェクトの追加資金を調達することができます。
サービスはサイファースペースで成長し繁栄します。 ガバナンストークンの台帳は、主要なクリプトの取引所の要求する条件への適合性があり、Coinbaseのような取引所が(オンチェーンに登場してくる多数のDEXに加えて)それらを上場することが可能になります。こうして、開発者や起業家が参加できる、まったく新しい経済の舞台が生まれることになります。(これは)特に、ベンチャーキャピタルが入りにくいような、シリコンバレーの外側にいる人たちをサポートすることになります。 その目的は、世界中に散らばる膨大な数の技術者や起業家の才能のための機会の扉を開くことであり、彼らはさらに、Internet Computerの理想・夢を実現するようになるでしょう。
Web3サービスのガバナンストークンは、時に莫大な価値を生み出すので、最も安全な方法でホストされることが不可欠です。NNSが新しいSNSを実物として生成し、そのガバナンストークンの台帳を作成するとき、これは新しいタイプの "Fiduciary subnet(受託サブネット)"で実現されます。これは現在NNSとICPの台帳をホストしているサブネットとほぼ同様の設定・構成になっています。これらのサブネットのレプリカ係数は高くなり、より多くのノードを必要とします。規制上の理由から、私たちは米国内のノードの3分の1以下にすべきだと考え、ネットワークにヨーロッパとアジアのノードが追加されることが求められます。
3. キャニスター・スマートコントラクト・タグ:受託、ストレージ...
開発者は、Internet Computer にアップロードするスマートコントラクトにタグを付けることができます。例えば、特別な信託機能へのアクセスや、大量のメディア・ファイルを保存できる安価な永続的メモリへのアクセスが可能になります。このようなタグ付けにより、開発者は自分にとってより重要なトレードオフを選択することができるようになります。
現時点では、スマートコントラクトの開発者が Internet Computer にデプロイするとき、それらは常に "Application subnets(アプリケーション・サブネット)" にインストールされます。しかし、前述では、近日ローンチ予定のThreshold E(d|C)DSA subnets とFiduciary subnets の両方に言及しました(これらのタイプのサブネットはすでにInternet Computerのネットワーク内に存在し、開発者が現在使用しているベータ機能をサポートしていることをご理解ください)。Threshold E(d|C)DSA subnets は、Internet Computer のネットワークの内部用に設計されたシステムサブネットで、Chain Key TX の機能をサポートします。Fiduciary subnets は、開発者がアップロードしたスマートコントラクトをホストする一般的なサブネットの一種です。
将来的には、キャニスター・スマートコントラクトのソフトウェアをInternet Computer にアップロードする際に、スマートコントラクトを「どの種類のサブネット・ブロックチェーンにホストさせたいか」を、ブロックチェーンに伝えるための「タグ」を付けることが可能になる予定です。サブネットは、スマートコントラクトと通信するときにはその姿を見せませんが、サブネットの種類によってハードウェアの構成が異なるため、いくつかの点が変化します。例えば、セキュリティ上の理由から多くのノードを使用するThreshold E(d|C)DSAやFiduciary タイプのサブネットなど、演算のレプリカを増やすタイプのサブネットでホストされるスマートコントラクトは、ある演算を行う際により多くのサイクルを消費することになります。
開発者のための専門的なヒント: Threshold E(d|C)DSA と Fiduciary サブネットは、可能な限り高いレベルのセキュリティを提供し、ノードプロバイダ間の共謀や、悪意のある者や敵対する政府によるデータセンター内のノードマシンへの物理的襲撃にさえも耐えうるように設計されています。これらの目的は、もっとも大きな価値を持つであろう、内生的および外生的な、暗号鍵のマテリアルをホストすることです。その価値を保護するために、"Feduciary" とタグ付けされたスマートコントラクトのみが Chain Key TX機能を使用したり、SNSのインスタンスやガバナンストークンの台帳と通信したりすることができます。しかし(一方で)、アプリケーション・スマートコントラクトからの関数呼び出しを受け入れる Fiduciaryスマートコントラクトを作成することも可能であり、プロキシを作成することができます。Web3サービスは、セキュリティ機能を持つアーキテクチャを採用し、安価なアプリケーション・サブネット上でスマートコントラクトと通信するエンドユーザーが、Fiduciaryサブネット上のプロキシを介して安全にChain Key TX を始めることができるようにします。
また、サブネットはレプリケーションを少なくすることもできます。例えば、最終的には「ストレージ・サブネット」のタイプを追加したいと考えています。このサブネットは、データ処理とストレージをわずか4つのノードにレプリケートします。これにより、ストレージ・スマートコントラクトは、非常に安価に永続的なメモリページを活用できるようになり、ユーザーの写真やビデオライブラリをスマートコントラクトに保存したり、ニュースフィードを保存したりすることがよりエコノミーになりますが、トレードオフとして、コントラクトはより弱いセキュリティとライブネスの保証とともにホストされることになります。
開発者のための専門的ヒント: ストレージ・サブネットがホストされたスマートコントラクトに提供される脆弱なセキュリティとライブネスの保証のために、「ストレージ」とタグ付けされたスマートコントラクトは、他のスマートコントラクトを呼び出すことができなくなります。しかしこれは、完全なデータバケットの役割を果たすことを止めてしまうものではありません。
FiduciaryサブネットとStorageサブネットは、さまざまなサブネットのタイプが普及していくトレンドの一部です。開発者は、構築する特定のWeb3サービスに最適なトレードオフを選択するために、スマートコントラクトにタグを付けるでしょう。最終的には、サブネットの種類によっては、AI用のTensorチップなど、特殊な種類のハードウェアを詰め込んだノードマシンを使うようになるかもしれません。
しかし、今のところ、状況は比較的シンプルです。新しいタイプのサブネットの生成をサポートするために、より多くの第2世代ノードを追加する必要があるということです。
4. 規制に関する懸念
Internet Computer の NNSガバナンスシステムは、規制リスクを最小化する必要性を含め、いくつかの懸念に対処するためにネットワークアーキテクチャを適応させる必要があります。
最近、SECがイーサリアムネットワークのノードが米国に集まっていることから、米国政府がイーサリアムネットワーク上の取引に対して優位性と支配力を持つことを示唆したという懸念があり、同様の論理が米国の事業体が持つイーサリアムのステーキング・パワーにも適用されつつあります。米国財務省では、米国にあるイーサリアムのノードに強制的にインストールさせようとする取引 "mempool filer" についての作業が進行中であるという噂もあります。このような考え方や行為は、イーサリアムや他の分散型ネットワークに多大な損害を与える可能性があります。パブリックブロックチェーンの目的は、本質的にグローバルなインターネットを拡張することであり、それはどこでも誰でも利用できるオープンでパーミッションレスなユーティリティであることから強みを引き出しているのです。スマートコントラクトは、サイファースペースで実行されなければならず、選択しない限り(ローカルな)司法権に根ざしたものであってはなりません。これが、例えば国際的な金融レールを作るのに(分散型のネットワークが)最適である理由です。
NNSがサブネットを構築するとき、この記事の後半で説明する "deterministic decentralization (決定論的分散化)" のシステムを使って、独立したデータセンター、異なる地域、異なる司法権の及ぶ範囲に位置する独立したノードプロバイダーからノードマシンを引っ張ってくる形がデフォルトとなります。その目的は、必要なセキュリティとライブネスの保証を備えたサブネットを作ることですが、異なるノードマシン間でのデータ処理とストレージの複製にはコストがかかるので、最小限にとどめます。もう一つの目的は、スマートコントラクトが(ローカルな)司法権に根ざすのではなく、cypherspaceでホストされ、特定の司法権の規制のシフトによる危険に晒されることがないことを保証することにあります。
これらの司法権に関する考慮について、私たちは、Internet Computer が使用するノードのうち、米国に所在するノードの割合を減らすことを目指すべきだと主張しています。つまり、ヨーロッパやアジアに位置するマシンをもっと増やす必要があるということです。
専門的なアドバイス: 私たちは、開発者がスマートコントラクトに地域や管轄区域のタグを付けることができるようにすべきだと考えます。例えば、スマートコントラクトの開発者は、自分のコードに "EU "というタグを付けるかもしれません。この場合、スマートコントラクトは、EU圏内にノードが存在するサブネット上で実行されます(これらは「弱い」(種類の)タグとなります)。これは、GDPRのような規制に関する懸念に対応するかもしれません。ただ、GDPRがスマートコントラクトに適用されるとは考えていませんが。あるいは、あるスマートコントラクトがヨーロッパにいる人々にのみサービスを提供する場合、EUのノードのみからなるサブネットは、より高いパフォーマンスを提供する可能性があります。また、スマートコントラクトにタグを付けて、その演算が米国内のノードマシンに複製されないようにするというような応用例も考えられます。
5. 爆発的なweb3の成長
Internet Computer のブロックチェーンから稼働するweb3サービスの数が増え続けていく中、ネットワークはその容量を増やす必要があります。
開発者、そしてInternet Computer のブロックチェーンがホストするweb3サービス、ユーザーの数は増え続けており、(本記事)執筆時点では、Web体験の提供に関連づけられたファイナライズ前の「クエリーコール」トランザクションを含めると、現在1日で5億件近くのトランザクションを処理しています。これは今日時点、他のどのブロックチェーンも処理していない膨大な数のトランザクションです。この膨大なトランザクション量は、Internet Computer がスマートコントラクトからWeb3ソーシャルメディアサービス全体を構築することを、独自の方法で可能にしていることに直接的に起因しています。
今日すでに、スマートコントラクトから構築され、Internet Computer から完全な形で稼働しているマスマーケット向けのチャット/メッセージングサービスがも存在します。これらは、HTTPリクエストを処理することでエンドユーザーに直接インタラクティブなウェブ体験を提供し、エンドユーザーが「アップデートコール」(つまり、従来の "transaction")を使ってブロックチェーン上に送信した個々のテキストメッセージ、写真、動画を処理し保存しています。
時間が経つにつれて、毎日処理されるトランザクションの数は増え続け、最初は数十億、次に数百億、そして最終的には数兆、それ以上になっていくでしょう。幸いなことに、Internet Computer は、Chain Key 暗号(技術)によって実現された新しいブロックチェーン・アーキテクチャを持っており、このワールド・コンピュータとしての役割を果たすことができるのです。いつの日か、Internet Computer がブロックチェーンのシンギュラリティを押し進め、人類のオンラインシステムとサービスの大部分をホストするであろうことを企図しています。
水面下にて、Internet Computerは Chain Key 暗号(技術)を利用して新しいサブネット・ブロックチェーンを形成し、それらを1つの統一されたブロックチェーンの環境に結合することにより、スマートコントラクトの演算とデータをホストする能力を追加していきます。各サブネットは専用のノード、つまり専用のノードマシンによってホストされ、それらが一体となって主権的なネットワークを形成しています。
新しいサブネットを作成するにあたり、NNSは、Internet Computerのネットワーク内で利用可能、な未だアサインのされていないノードマシンを必要とします。既存のノードプロバイダーやこれから参入するノードプロバイダーは、取り急ぎ新しいノードマシンを利用可能にすることをまず望んでいるかもしれませんが、重要なのは、"deterministic decentralization (決定論的分散化)" がノード・マシンに対するNNSの需要をどのように強化・生み出していくかを理解することです。
NNSと deterministic decentralization (決定論的分散化)
Deterministic decentralization (決定論的分散化) とは、Internet Computer のガバナンスシステムが、可能な限り最小限のハードウェアコストをかけながら、必要なレベルのセキュリティ、ライブネス、その他の特性を獲得・達成するために、ノードマシン間での演算とデータを複製するそのプロセスのことです。
Internet Computer のネットワーク全体は、スマート・コントラクトの演算とデータをホストするための容量を追加する個々のサブネット・ブロックチェーンから構成されています。サブネットは "Chain key 暗号(技術)" を使って単一のブロックチェーンの環境に結合され、取引とその結果をセキュアにやり取りすることができます。この時に、ピアとなるサブネットのブロックにアクセスして、それらが正しく実行されているか、そのメッセージが改ざんされていないかどうかを確認する必要はありません。NNSのガバナンスシステムは自身のサブネットに位置していて、ネットワーク全体に検証可能な特殊なトランザクションを送信して、サブネットを構成します。たとえば、ホストするノードのセットを変更したり、未だアサインのされていないノードから新しいサブネットを形成したりします。
任意の時点で、サブネット・ブロックチェーンは、そのタスクに専念する特定のノードマシンのセットによってホストされています。これらは、サブネットのすべての演算と永続的なメモリ(データストレージ)を複製します。サブネットをホストするノードのセットを構成する際、NNSはいくつかのことを行わなければなりません。一方では、必要なレベルのセキュリティ、ライブネス、およびその他のプロパティを一緒に提供するノードのセットからサブネットを形成する必要があります。一方、サブネットのホスティングに関わるノード数を最小限に抑え、経費を削減する必要があります。各ノードは、通常、構築または取得するのに大きな経費のかかる専用のノードマシンによって構成されます。サブネットのホスティングに関わるノードが多ければ多いほど、それがホストする演算がより高価なものになります。
サブネット・ブロックチェーンによって提供されるセキュリティとライブネスの保証の強さは、単にそれが結合するノードの数に由来すると考えるる人がいるかもしれません。多くのProof of Stakeのブロックチェーンは、ネットワーク内の "validator node (検証ノード) の数を、それらが提供する分散化とセキュリティの証明として宣伝しているため、この誤解は理解できます。しかし、これらの特性の測定値を導き出すには、単にノードの数を数えるだけでなく、もっと多くのことが関係しているのです。
サブネットが膨大な数のノードを採用していても、それらのノードが単一のノードプロバイダに属していれば、そのノードプロバイダは単にすべてのノードを切り離してサブネットを消滅させることができ、サブネットのデータを破棄することさえ可能です。このため、サブネットのノードは複数のノードプロバイダから提供される必要があり、悪意のあるプロバイダ同士が結託して、サブネットを何らかの形で停止または破損させようとしても、圧倒的に成功しにくいような多元・多様性がなければならないのです。
しかし、ノードプロバイダの多元・多様性のみでもまだ不十分といえます。たとえ多元的・多様であっても、そのノードが同じデータセンターに設置されすぎていると、データセンターの従業員がノードのマシンをオフにしたり、サブネットを攻撃するために改竄したりする可能性があるからです。また、関係するデータセンターの地理的・司法権の及ぶ範囲等の状況についても重要です。例えば、データセンターが分散していたとしても、ある都市に集中していれば、その都市への核攻撃によってサブネットが破壊されるかもしれません。また、ノードをホストするデータセンターが、例えばEUのようなある単一の司法権の及ぶ地域に集中していれば、敵対する国家機関による予測不可能な行動に対してサブネットが脆弱になる可能性もあります。
「ナカモト係数」は、ブロックチェーンを中断させるために失敗したり結託したりしなければならない独立した当事者の数を数える、この業界で人気のある分散化の指標です。しかし、ブロックチェーンが提供するセキュリティとライブネスの保証は、明らかにもっと全体的な意味でのノードの非中央集権・分散性に依存しています。Internet Computer のネットワークを構築する目的で、未だアサインされていないノードから新しいサブネットを形成するための提案がNNSに提出された場合、NNSはその提案を採用してサブネットを形成する前に、分散・分権化に関連する懸念事項を階層的に検討しなければなりません。
ノードプロバイダの身元、ノードがインストールされているデータセンター、データセンターの地理、およびそれらの地理的位置における司法権など、ノードに関するすべてのリーチできる情報が考慮されなければなりません。このように、多くの要素を考慮した上で決定論的に分散を確保するように(すなわち「決定論的分散化」のプロセスによって)選択されたノードからサブネットが形成される(べきな)のです。
ハードウェアのレプリケーション(複製)を最小限に抑えながら、deterministic decentralization (決定論的分散化)を用いてセキュリティとライブネスの目標値を達成することで、最終的には従来のITよりも効率的にオンラインシステムやサービスをホストし、ブロックチェーンに限らず、すべての技術のCO₂排出量を削減する、ワールドコンピュータのような役割を担うことが計画されています。
従来のブロックチェーンは、匿名ノードと非常に高いレプリカ係数を利用しますが、例えばイーサリアムは執筆時点で43万人以上の「バリデータ」に演算とデータを高価な形で複製していますが、そのような中でWeb3の開発者は、Internet Cmputer を利用してデータ処理とストレージをオフロードし、分散型の方法でフロントエンドを提供することが可能です。これにより、Internet Computer のブロックチェーンは、Web3のエコシステムに貴重な付加価値を提供するのです。
将来のノードプロバイダーや既存のノードプロバイダーにとって、決定論的分散化はいくつかの特別な制約を課します。従来のPoSブロックチェーンのほとんどは、誰でもクラウドコンピューティングサービス上で "validator node (検証ノード)" をスピンアップすることができ、そのノードが自動的にネットワークに参加しています(サードパーティのサービスでは、ボタンをクリックするのと同じくらい簡単にこれを行うことができる場合が多いです)。これに対し、Internet Computer のブロックチェーンノードプロバイダーは、まず特別に標準化されたノードマシンを構築または購入し、データセンターの物理的なラック内に設置しなければならず、ノードマシンが高価なこともあるので負担が大きいです。その一方、決定論的分散化をサポートするノードのみが、ネットワークに導入されることができるようになるのです。
NNSは、ノード提供者のコミュニティが、a)最低限度、NNSが異なるサブネットにまたがってノードをストライピングしたいことを考えると、提供できるノードの数や、b)NNSが導入したいノードが異なるデータセンター/異なる地理上の/異なる司法権の及ぶ地域であること、これら(の課題)を解決できるような提案のシステムを提供しなければなりません。
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改善された新しいノードプロバイダフレームワーク
Internet Computer のネットワークにノードマシンを追加するための新しいプロセスが開発されました。これは以前のプロセスよりもはるかに簡素化されており、より参加しやすくなっています。
2021年5月のInternet Computer のメインネット立ち上げとGenesisへの奔走の中で、いくつか躓いたポイントがありました。そのひとつが、ノードマシンの新規導入やノードプロバイダになるためのプロセスが、なぜか意図した以上に複雑になってしまったことです。現在、2018年に計画されたものと一致するような新しいプロセスを作成するために、膨大な量の作業が行われています。これにより、ノードのハードウェアや、ノードのインストールとメンテナンスに必要な投資をする気があれば、誰でもノードプロバイダーになることがはるかに容易になるのです。運営に関わるプロセスは以下のようになります(若干簡略化しています)。
NNSに新しい "ノードプロバイダ・プロファイル "を作成する提案を提出する。
NNSに "ノードプロバイダ・プロファイル "の新規作成依頼を行う ※既にNNS内に "データセンター・プロファイル "が存在するデータセンターを選択するか、NNSに新規プロファイルの作成依頼を行う
ノードプロバイダ・プロファイルと選択したデータセンターをリンクし、ネットワークがその場所から実行することを許可するノードマシンの数を指定する "Node Operator Record (ノードオペレータ記録)" を追加するNNS提案を提出します(NNSは、上に概要を示したdeterministic decentralization (決定論的分散化) の考慮に従って、これらの提案を採択したり拒否したりします)。
選択したデータセンターの施設に、ノードマシンを物理的にインストールします。
現在のレプリカ("client")ソフトウェアのインストーラと、マシンをノードプロバイダ・プロファイルにリンクさせるノードオペレータ・レコードを含むUSBメモリ用のイメージを作成します。
サムドライブを適切なUSBソケットに挿入し、マシンの電源を入れることにより、このUSBイメージを使用してノードマシンを起動します。このUSBイメージを使って、USBソケットにUSBメモリを挿入し、電源を入れると、レプリカソフトウェアがインストールされ、起動すると、ノードマシンは提供されたノードオペレーター・レコードを使って、自動的にNNS内のノードプロバイダプロファイルに登録されます。
より詳細な情報は、Internet Computer のwikiに掲載されています。このwikiは常に更新されています。https://wiki.internetcomputer.org/wiki/Node_Provider_Onboarding
Good Intent (善意)の宣言
私たちは、ノードプロバイダがノードプロバイダ・プロファイルを作成する際にGood Intent(善意)の宣言をすることを要求します。これは、"人生の大きなゲーム " に寄り添うことによって、ネットワークに重要な追加セキュリティを加えることになるでしょう。
プルーフ・オブ・ステークとプルーフ・オブ・ユースフル・ワークの比較
マシンを追加するためにノードプロバイダにICPをステーキングすることを要求しても、必要なレベルまでセキュリティを高めることはできず、ただコストを増やすことになります。したがって、私たちは純粋なProof-of-Useful-Workにこだわります。
Internet Computer は、各ノードがネットワーク内のメンバーシップを獲得し続けなければならないため、"Proof-of-Useful-Work" のネットワークと正確に表現されるかもしれません。これは、特に、各ノードが自分のサブネット内のブロック生成に正しく参加する必要があることを意味してます。
現在、ネットワークは、新しいノードをネットワークに参加させるために、ノード・プロバイダーがICPを出資することを要求していません。これは、ノードマシンのハードウェアのコストと、ノードマシンのインストールとメンテナンスに関わる時間と労力が、一種の金銭的利害として作用し、ノードプロバイダーがゲームに参加することを保証するためです。第2世代のノードマシンは現在、約2万ドルもするため、このハードウェアの「出資比率」はすでに大きなものになっています。また、ハードウェアの価値はクリプトであるICPのように変動しないため、安全性が高まるというメリットもあります。
現在の仕組みは、私が2014年に考案したブロックチェーンのルーブリック "3 E's of Sybil Resistance" の要求を満たしています。1)ノードマシンの購入と設置にかかる労力は "Entry Cost"、2)ノードマシンをデータセンターで稼働させる必要性は "Existence Cost"、3)ノードの切り捨ては "Exit Penalty" を(それぞれ)生み出します。ノード提供者は、廃棄されたノードマシンを再び追加するために新しいノードオペレータの記録をすぐに取得できるとは思えないですし、中古のハードウェアを転売するには必然的に損失が生じてしまうからです。また、ノードの追加は、NNS(Network Nervous System) ガバナンスであるDAOを通じてのみ可能であるため、シビルに対する耐性がさらに強化されています。
それでも(一方で)、FiduciaryサブネットやChain Key TX の機能をサポートするサブネットのセキュリティは高めたいと考えています。ブロックチェーンのアーキテクチャに興味がある人は、ノードプロバイダーがICPをステーキングすることを要求することにより、これを実現できないかと考えるかもしれません。この考えを分析する前に、まず、ステーキングされた資本にはハードウェアと同じようにコストがかかることを指摘します。つまり、ノード・プロバイダーが、ノード・マシンをネットワークに追加するために、ある程度のICPをステーキングする必要があるとすると、結局、ネットワークはより多くのリソースを消費し、このコストはスマート・コントラクトが負担しなければならず、結果として、より多くの "cycles" がスマート・コントラクトの演算とメモリページの使用で消費されることになります。これは良くないことです。
では、ノードマシンのハードウェアを提供する上でステーキングを要求することで、どれだけのセキュリティが得られるかということです。今日見られる多くのProof-of-Stakeブロックチェーンでは、クラウドコンピューティングサービス上で動作する多数の「バリデータ」ソフトウェアノードによってホストされており、その数はマーケティングに利用されていますが、実際には、任意の時点でブロックチェーンを制御するのはこれらのノードのサブセットであり、そのステーキングしたクリプトの価値は、彼らが処理する取引の価値よりも小さい場合が多いからです。
例えば、イーサリアムのネットワークには、執筆時点で43万を超える膨大な数のソフトウェアノードが存在し、それぞれが最低32ETHのステーキングによってネットワークに追加されている。しかし、チェーンのブロックは、そのランダムビーコンによって選ばれたコミッティによって生成され、確認されており、111ノードという小規模な場合もあります。これらのコミッティのノードを支える(価値の)総額は、その時は500万米ドル程度かもしれないですが、時には数十億ドル相当のDeFiトランザクションを処理することもあるのです。これは、クリプトエコノミー的な仮定が、実際にはどのように崩れるかを表しています。
Nick Szaboがスモールゲームの誤謬について語る素晴らしい記事を書いています。引用します。「スモールゲームの誤謬は、ゲーム理論家や経済学者などが、ゲーム理論やミクロ経済学の手法を現実の問題に適用しようとして、非常に限定的で正確なルールセットのもとで、シンプルで、したがって認識可能な相互作用を仮定するときに起こる。一方、現実の類似の状況は、より多くのプレーヤーがいる、より長期的で膨大に複雑なゲームの中で起こっている。
彼の指摘のいくつかは、ここにも関連しています。第一に、Proof-of-Stakeブロックチェーンは、ノードがより多くの価値をステークすることを要求すれば、直線的にセキュリティを高めることができるという通説は、過度に単純化されたものです。第二に、正直であるといった人間の行動も、Proof-of-Stakeのブロックチェーンのミクロ経済学というよりも、強力な「人生ゲーム」に依存しており、これをここで活用しなければならないのです。人生ゲームは、司法制度などブロックチェーン環境の外に存在するものを含んでいます。
前述の理由から、悪意のあるノードプロバイダが金銭的な利益を得るために結託してサブネットを破壊することを思いとどまらせるには、ステーキングだけでは不十分かもしれません。しかし、結託したノード・プロバイダーが、他のノード・プロバイダーや他の当事者から損害賠償請求され、不正に得た利益をすべて失う可能性が高いとすれば、正直に行動する多大なインセンティブになるはずです。また、悪質な行為を行ったノードプロバイダーが刑務所に入ることになれば、より一層、誠実な行動を取るインセンティブが生まれます。
私たちは、Internet Computer ネットワークの中で強力な「人生ゲーム」の力学を活性化し、Chain Key TXの機能をサポートするサブネット、SNS DAOとそのガバナンストークンの台帳が、数十億ドルの収集価値を安全にホストできるような、誠実な行動を強力に動機付けたいと考えています。
Good Intent (善意)の表明と目的の理解
上記を実現するために、ノード提供者には、NNSのノードプロバイダ・プロファイルに宣言を追加してもらうことにしています。これは、万が一、他のノードプロバイダと悪意を持って結託し、ネットワークの機能を破壊した場合、金銭的な損害や被害に対して責任を負うことを承諾してもらうものです。ノードプロバイダはまた、コードを修正したり、他の悪意のあるノードプロバイダと共謀したりすることによって、意図的にプロトコルを破壊することは、コンピュータシステムの不正使用を構成することを理解していることを宣言することになります。
この宣言は、規制のない空間において、悪意のあるノードプロバイダが共謀によって得るよりもはるかに多くのものを失うことを確実にし、さらに、英国の1990年コンピュータ誤用法のような刑法にさらされることになります。この宣言は、すべてのノードプロバイダ、ネットワーク上に構築されるすべての開発者や起業家、ネットワークがホストするオンラインシステムやWeb3サービスのすべてのユーザにとって有益であり、セキュリティを大幅に向上させるものと確信しています。
宣言はまだ確定していませんが、次のようなものになるでしょう。「私はここに、私が提供するノードマシンを誠実に運用し、不正な行為、例えばICPプロトコル・メッセージを正しく処理できないようにノードマシンに故意に干渉した場合、他者と共謀して、あるいは単独で、ネットワークのユーザーと他のノードプロバイダに対して、生じた損害について責任を負うことを世界に保証します。私はさらに、ICPプロトコル・メッセージを正しく処理しないようにするノード・マシンへの故意の干渉は、そのハードウェアと、それが相互作用するすべてのハードウェアの誤用であり、法域によっては犯罪を構成する可能性があることを認識していることを宣言します"。
TL;DR 私たちは、すべての主要な軸に沿って、ネットワークの革新と改善を続けています。新しいノードプロバイダフレームワークは、ネットワークのホストに参加することを容易にし、コミュニティが需要に応じてインターネットコンピュータの容量をスケールアウトすることが容易になります。真のワールドコンピュータでブロックチェーンシンギュラリティを達成するために、この素晴らしい旅を続けている皆さんに大変感謝します。
さらなるニュースや詳細は近日中に発表します。
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