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地元エナジー物語

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地元エナジー物語は、地元カンパニーの哲学である「地元エナジー」と「待てる社会」を通じて生まれたらいいな、というフィクションの物語です。
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記事一覧

地元エナジー物語7 トテツの途轍もない話

 あめが ふっていた。さむくて、こころぼそかった。  ふいに あめがあたらなくなったので…

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地元エナジー物語6 はじまりとおわりのいちご

小学生の僕は、字を書くのが苦手だった。 「ケンタのノート、読めねえ!」 「ケンちゃん、もう…

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地元エナジー物語5 無駄づかい 

 「あなた、無駄づかいしているわ。」  白髪交じりのヨシコさんが今日も言う。私は相変わら…

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地元エナジー物語4 稲穂とイナホ

 チャシロ。ライオン。きなこ。レオ。ごまドレ。しゃぶしゃぶ。  オレにはいくつもの名前が…

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地元エナジー物語3 どんぐりとブンゴウ

 朝七時半。  丁寧にアイロンがけされた作業着を着た初老の男性が、古びた自転車にまたがっ…

地元エナジー物語 2 リストランテ・地元

 静かなジャズの音に紛れてナイフとフォークの音が響く店内。窓の外には夜景が広がり、ライト…

地元エナジー物語 1 ミオの色鉛筆

 都会で働きながら子育てをするミオ、35歳。子育てに協力してくれない夫とは2年前に別れ、小さなアパートで2人の子どもたちと暮らしている。実家の父母とはなんとなく疎遠なまま、何年も地元には戻っていない。仕事と子育てに追われ、余裕のない日々を送っていた。  ある日の仕事終わり、電車に揺られていると、ふと中学生くらいの少年が他の乗客に逆らうような動きをしているのが目に入った。皆それぞれにスマホをいじったりイヤフォンで何かを聞いたりしてじっとしている中で、一人床に目を落とし、キョロ