6つの実例に学ぶ「人生を変えるリノベーション」
光熱費削減や、熱中症・ヒートショック予防の観点から、暑さ・寒さの温度差を感じない快適に暮らせる高断熱住宅の必要性がうたわれています。
書籍『人生を変える住まいと健康のリノベーション』では、住宅の断熱性能を向上させると健康にどうつながっていくのか、「熱環境リフォーム」の提案者 甲斐徹郎さんと、「熱環境×健康長寿」の研究者 星旦二さんが解説しています。
今回は5章の中身をチラ見せ。戸建住宅や、マンション、実家のリノベーション事例を6つ、住まい手のインタビューも通しながら紹介。リノベする前の困りごとと要望・改善した後の暮らしについて深掘りしています。
また、BEFORE/AFTER の図面からは、変更点のポイントも読み解けます。
5章 6つの実例に学ぶ「人生を変えるリノベーション」
5章のひとつめは、徹底的な熱環境リフォームで、使える居室面積を倍増させ、冬と夏の居心地が格段に改善した実例の紹介です。
その実例の住まい手は、建築環境学専門の大学教授。
日射や風をはじめとする自然のポテンシャルを活用して、快適な建築環境をつくり出す方法を長年にわたって研究されています。
その熱環境にまつわる知見を活かしてリノベーションされたそうですが、改善を図るまでに要した期間はなんと14年!
リノベーション実施の転機をもたらしたのは、デンマークでの滞在だったとのこと。現地で合計3カ月過ごした高断熱住宅の快適さをご夫婦そろって実感されたことが、リノベーションへの大きな足掛かりとなったそうです。
コペンハーゲンの2月の平均気温(平年値)は1.4℃。それまで住んでいた横浜の6.2℃(同)より5℃近くも低いのに、はるかに過ごしやすかったと振り返ります。
世界一厳しい「最低エネルギー効率基準」が設定されているデンマークの建物は、外壁や窓などの断熱性能が日本とは比べ物にならないほどハイレベル。暖房の熱が逃げにくく、ほぼ均一な室内温度が保たれるため、寒さによるストレスが無いのです。
様々な実体験やデンマークでの滞在を通して、人間の幸福感と熱環境は、確実につながっていることを確信し「暖かさが帰巣本能を刺激する」と話します。
マンションのリノベーションを経て、長年苦しめられてきた暑さや寒さから解放された結果、「体がとても楽になり、リラックスして生活できるようになったことが何よりも嬉しい」とご夫妻は語ります。
次に紹介するのは、単身となった老親と娘夫婦の関係を保つ、二拠点居住を実現した実家のリノベーション。暖かく回遊性のある住まいが高齢者を活動的にしている実例です。
ひとり暮らしの親へのケアが必要となったのを機に、子どもとしてどう寄り添うのか、娘さんご夫妻が出した結論は、自宅と実家の二拠点生活へとシフトする道。週末を自ら楽しむためのセカンドハウスという新たな機能を加えて実家をリノベーションすることにしました。
まず家の問題点を整理。市の耐震診断で指摘された耐震性能の低さと、断熱性能が低いことでもたらされる冬の寒さ。これらの不満を解消しつつ、生活動線が複雑にならないように配慮し、さらに二拠点居住というコンセプトを実現するリノベーションプランになりました。
回遊動線にすることで、家の中で過ごしていても自ずと活動量が上がり、楽しめる回路が暮らしの場に組み込まれていると、人は自然と能動的になり元気に過ごせるそうです。
子どもが独立して高齢者がひとりで住むには広すぎる家、空き家となって不良資産化した家が日本中にあふれている中、この事例は「複数世代で活用可能なストックとして実家を活かす」という発想が興味深く、多くの示唆に富んでいます。
その他、以下のリノベーション実例を掲載しています。
5章 掲載6事例
五感がよろこぶ家
熱環境と幸福感は密接に関連
改修後に高まった「帰巣本能」マンションリノベーションの秘訣
マンションリノベーションの秘訣は
熱環境×生活動線×風の道ぬくもりのある家
自然素材と川の字動線で
新築以上の満足感人が集まる家
家と庭を活かすことで実現した
夫婦の絶妙な距離感元気にする家
老父が住む実家を
週末セカンドハウスにまちとつながる家
「暮らし」と「趣味」との重なりが生みだした
愉快な集い
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