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【ご報告】妊娠を機にシンカイの店長を交代することになりました!

こんにちは!ナカノです。

2018年6月からライターと兼任してきた長野市・やってこ!シンカイの店長を、2019年11月末で一旦退くことになりました。

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やってこ!シンカイとは?
長野市善光寺門前のセレクトショップ兼イベントスペースのこと。
元々金物店だった空き店舗を、2011年から近くの信州大学の学生2人が借り秘密基地のように住み始めました。2018年6月よりバトンを受け取り、株式会社Huuuu代表の徳谷柿次郎がオーナーに。本、服、雑貨類の販売やイベント開催などを行い、近所のじいちゃんばあちゃんから全国各地から人が集まる場をつくっています。
https://www.instagram.com/yatteko_shinkai/


この度、私はどうして店長を退任することになったのか。

理由は1つ、子どもを授かったからです。ようこそ赤ちゃん!

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妊娠・出産に対しての思いや体験については書きたいことがありすぎるので、別記事で少しずつ出していきたいと思っています(といいつつ記事の最後でも触れていますのでよければ読んでね)。

また、店長退任のタイミングでオーナーは徳谷柿次郎から株式会社Huuuuのメンバー・日向コイケに、店長は夫の中里優に変わり、この冬、やってこ!シンカイは新体制に変わります。二人の決意表明はこちらをご覧ください!


このnoteでは、私がフリーライターとお店の店長の二足のわらじを履き始めた経緯と、店長に就いて感じた葛藤、変化を振り返っていきます。役に立つのかどうかはさておき、地方で活動するフリーランスのキャリアの一例としてお読みいただけたらと思います。

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各パートごと、自費出版本『シンカイSTORYBOOK』に収録されたシンカイオーナー・徳谷柿次郎と私、店長・ナカノヒトミの対談「いつか『シンカイ』で子育てしたい」しなやかな成長を遂げる店長ナカノの奮闘記を交えながら綴っていきます。取材を行ったのは2018年9月。1年前と現在の心境を見比べながらお読みください。

◆そもそもライターのナカノはどうして店長に?

2017年、新卒で入った企業を3年で辞め、フリーランスのライターとしてのキャリアがスタート。ありがたいことに前職のツテで仕事をいただき、フリーランス1年目からなんとか専業で生活ができる環境でした(最悪、実家に頼ろうと悪知恵を働かせていたのも事実)。

柿次郎 そんなナカノちゃんに〈やってこ!シンカイ〉の店長になってもらおうと思った決め手は、2018年3月のアメリカ・ポートランド旅行のときで。「ナカノちゃんも行けへん?お金ないなら貸すよ」って軽くメッセージしたら、2秒くらいで「行きます!」って返事がきたの。

ナカノ ちょうど仕事のスケジュールがゆるやかで、何か面白いことないかなぁって思ってたんですよ。海外に行きたかったし、お金を貸してくれるなら、行くしかないなぁって思って(笑)。

柿次郎 ポートランドに行ったら、ナカノちゃんが潔く買い物するんだよね。航空券も宿代も合わせたら結構な金額になるのに、めちゃくちゃ買うわけよ。長く付き合ってみると、後先のことを全然考えてないだけだとわかったんだけど…。

ナカノ (汗)。〈やってこ!シンカイ〉でのマーケットが控えていたから、売るものを探していたんです。

柿次郎 「これかわいい!買う!売りたい!」って、気持ちいいくらいにパッと買ってたの。それで〈やってこ!シンカイ〉の店長にいいかもと思ったんだよね。

ナカノ 正直なところ、最初は「店長」って言われても、何をやるのかピンとこなかったんです。でも、ちょうどライター以外にも新しいことを始めたいと思っていたから、チャレンジしてみることにしました。

『シンカイSTORY BOOK(「いつか『シンカイ』で子育てしたい」しなやかな成長を遂げる店長ナカノの奮闘記)』より

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あなたの長所は?と聞かれたら、すかさず答えるのが「決断力」。イエスかノーかははっきりした方が気持ちがいいし、失敗しても大体のことじゃ死なない。渡航10日前に決まったポートランド行きに、もうとにかくワクワクして仕方ありませんでした。せっかくだから!とスーツケース2つ持っていき、潔く買い付けをしたことがきっかけで、まさかお店の店長になるとは。

今考えると、お金がないのにウン十万借りて海外旅行に行ったことも、全く経験がないのにお店の店長になったことも向こう見ずだったと思うのですが、何度考えてもこの選択をしてよかった。

◆モヤッとする心をなかなか消化できなかった店長序盤

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いざ自分に店長の肩書きが加わったとはいえ、ディスプレイの作り方もわからなければ、お金にも弱い。本当に自分が店長でいいのだろうか、適任は他にいるのではないだろうか、と店長を続けていく自身がなくなった時期もありました。

柿次郎 店長を一年経験してみて、今の心境は?

ナカノ けっこう悩みました。私は数字とデジタルがすごく苦手で、私のだめなところが全部出たみたいな一年でした(汗)。

柿次郎 だから、自分で考えてもらって、最終判断をこっちに仰ぐようにしてみたんだけど、そうなると今度は物事を自分だけで決められないことが、ナカノちゃんのストレスになっちゃったね。

ナカノ 人にお願いしたり、相談したりするのがとても苦手で、辛くて泣きました。

柿次郎 一〜二ヶ月経った頃に、「思ってること全部言って」って言ったら、泣いちゃったこともあったよね。でも腹を割って話せたし、いい時間だった。

ナカノ あの時はすっきりしました。「店長」という肩書をもらったからには何かを成し遂げたいけど、考えてもわからないし、考え始めると動けなくなっていたので。

『シンカイSTORY BOOK(「いつか『シンカイ』で子育てしたい」しなやかな成長を遂げる店長ナカノの奮闘記)』より

自分の考えていることをちゃんと伝えられないモヤモヤと葛藤しましたが、「全力で受け止める」というオーナーの男気に「やってやるぞ!」と火が付きました。店長をやりきれていなくて悔しい気持ちや、自分へのいらだちなど当時の心境は別記事にも書きました。

◆「いい場所」をつくらなくてもいいと気づいた

気づけば「シンカイの店長」を名乗りはじめて1年4ヶ月が経ちました。

基本的にひとりで店に立つことが多かったシンカイの店長業。オーナーとの話し合いで「やるぞぉぉ!」と燃え盛った火も、徐々に弱まりネガティブモードに突入しました。

突破口は、2018年10月から半年間、長野県立大学の三人がシンカイのインターン生として動いてくれるようになったこと。パッとお店の風通しがよくなったのです。

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私はいつも答えのない「いい場所をつくること」に躍起になっていましたが、そんな三者三様なことを考えても仕方がなくて。「自分たちが大好きな古着を取り扱うお店をつくりたい!」と話す三人の姿を見て、ハッとさせられました。

店長としてお店に立つ自分がどう楽しむか。どんな場所なら居心地がいいのか。当たり前のことになかなか気づけませんでした。

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「寒い、寒い」と言いながら冬の1ヶ月間、毎朝1時間行った白湯(さゆ)配りは飲み会ででたアイデア。お湯を沸かせばできる手軽さと、単純に「おもしろそう」だという好奇心からはじめてみることに。結果、今までよりも近所のじいちゃんばあちゃん、高校生がシンカイに遊びに来てくれる頻度が増えました。

シンカイが地元メディアに取りあげられる機会が増えたのも白湯配りがきっかけ。朝は弱いし、寒いのは苦手だし、絶対にひとりじゃ続けられなかったと思っています。インターン生と一緒に白湯配りの時間を面白がることができたからこそ、結果として人が興味を持ってくれたのです。

約半年間のインターンを経て彼らはシンカイを離れ、2019年8月に「古着屋 TRIANGLE」をオープンさせました。当初からの目標だった「自分たちの店舗を構える」を1年足らずで叶えた3人。いや、本当にすごいなぁ。シンカイから徒歩10分の、美意識が宿った温かいお店です。ぜひ遊びにいってみてください。

他にもシンカイでの思い出を挙げればキリがないけれど、改めてひとりの力でできることは限られていると痛感した1年でした。ひとりでやろうとするとパンクしちゃうし、そもそもそんなにキャパがない!

自分のキャパのなさに、幾度となく持ち前のポジティブシンキングがへし折られました。しかしこの記事を書くにあたり、Google photoにまとまったシンカイ関連の写真を振り返ってみると「よかった〜ちゃんと楽しんでいるじゃないか、自分〜!」と肩を叩きたくなるほど楽しい思いが蘇ってきました。
記憶というのは往々にしてマイナスの感情ばかりを引き出すもの。しっかりと店長として楽しんでいる自分が、確かにシンカイにいました。

私の話を親身に聞いてくれたり近況報告をしに来てくれる常連さんや、シンカイの名前を聞きつけて全国各地から足を運んでくださる皆さま、本当にいつもありがとうございます。

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また、マーケットイベント〈やってこ!マーケット〉に捧げ全身全霊で盛り上げてくださる出店者のみなさん。「やりたいから、やる!」を体現するみなさんなしでは「やってこ!」は語れません。この1年4ヶ月で相当感情が揺さぶられました。

シンカイは少しずつお店の体を成してきました。とはいえ、改善できること、やれていないことが沢山あります。一旦店長を退きますが、自分の身体、これから生まれてくる子どもの様子を鑑みて当面は新オーナー、新店長の活動を発信面で支えていけたらと思っています。

◆理想の店長像は〈シンカイ〉で子育てをしている自分

最後に、店長になって一番の気付きだった「理想の店長像」について。

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子どもを産んで育てることは、自分のライフステージの中で最もウェイトを置きたいことのひとつでした。大学生時代には、「何者にもなれない自分」に嫌気が差したこともありましたが、今ならシンプルに考えられます。私の理想の女性像は「強く、たくましい母親」なのだと気づいたから。

柿次郎 シンカイで具体的にやってみたいことって?

ナカノ 私、ここで子どもを産んで育てたいんですよ。子育てしてる自分の姿だけはちゃんと見えてる。東京にいたときは思わなかったんです。でも、長野に戻ってきて、〈シンカイ〉に立ち始めてからは特に強く思うようになりました。

柿次郎 いいことだね。ちなみに、いつ頃までに産みたいの?

ナカノ 2019年に一人。35歳までに三人。

柿次郎 朝5時くらいにオギャアオギャアって赤ちゃんの泣き声が聞こえて、近所のおじいちゃんおばあちゃんが見に来てくれたらいいよね。そして、俺がライオンキングのシンバみたいに赤ちゃんを祭り上げるの。「やってこ〜!」って言いながら。

ナカノ 「やってこ!」の申し子(笑)。

柿次郎 〈シンカイ〉で子どもを産んで育てる。そのために、〈シンカイ〉をこんな場所にしていきたいという希望は?

ナカノ 自分の子どもにいろんな影響を与えたくて、全世代の人が交わる場所にしたいんです。すべての人に開かれた場所というか。

柿次郎 じゃあ〈シンカイ〉を託児所にするとか?

ナカノ いい!〈シンカイ〉は子どもにとってよい場所になるはず。

柿次郎 言い切ったね!そう考えていくと、ナカノちゃんの理想の店長像って、〈シンカイ〉で子育てをしている自分なのかもね。

ナカノ それ、めっちゃいいですね!

『シンカイSTORY BOOK(「いつか『シンカイ』で子育てしたい」しなやかな成長を遂げる店長ナカノの奮闘記)』より

元々家族と仲がよく、家庭を持つことに対してプラスのイメージを持っていたこともありますが、本能的に「子どもを産みたい!育てたい!」という気持ちと興味が人一倍強かったのだと思います。
2019年5月に入籍し、パートナーの中里優と夫婦になったことでより一層その思いは強まりました。

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妊娠発覚後次々に起こる変化に、最初はナイーブになることもありましたが、ようやく体調も安定し妊婦生活に慣れてきました。出産予定日は1月22日。残り100日弱の出産までの時間を楽しみつつ、まずは元気な子供を生むため、一旦現場を離れます。

デザインの世界で培った美意識と人情味を兼ね備えた新オーナーの日向くん、建築・設計と店長の二足のわらじを履くことになる新店長の優くん、ふたりが生み出す新・シンカイが楽しみです!任せた!

出産・子育てを経て、強くたくましい母親になってシンカイに戻ってくるぞ〜!

◆あとがき

ここまでお読みいただきありがとうございます!せっかくなのでおしらせを。文中で引用した対談が収録されている『シンカイSTORYBOOK』は、シンカイに携わってくれる仲間とつくった自費出版本です。

・〈場〉の運営を行っている(これから行いたい)人
・シンカイに興味を持ってくださった人
・行政や企業でまちづくりに携わっている人

こんな方々にきっと気づきを与えてくれるはず。ぜひ手にとっていただけたら嬉しいです!本の詳細や仕様は以下の記事にまとめていますので、ご一読ください。

ECショップのBASEから購入も可能です!卸売も行っているので、場の運営に携わっている方はぜひ。


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