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映画「フェラーリ」を見てきました

楽しみにしていた映画「フェラーリ」なのですが、X上を見るとレース好きからの評価が思いのほか芳しくない。えっ、アダム・ドライバーにぺネロぺだぜ?何が悪いの?と勘繰っていたのですが、実際に映画を見てみれば一目瞭然。レース映画には付き物なクラッシュの場面の描写があまりにも稚拙。映画全体は非常に重厚な感触なのですが、クラッシュシーンになると打って変わっておもちゃみたいになってしまう。なるほどレース好きからするとこの描写は受け入れられない。

確かにレースに興味がない人が見れば「こんなもんか」くらいに映るのかもしれない。しかも映画の中でフェラーリの次に存在感を放つ登場人物がアルフォンソ・デ・ポルターゴとくればレース好きにはネタバレもクソもなく結末は分かっているのです。だからこそ、あのおもちゃみたいな演出のクラッシュシーンが残念で仕方がない。

映画の中では二回大きなクラッシュが起きていますが、それ以外にもライバルのジャン・ベーラがリタイアする場面がまた「え?マネキン?」みたいな酷さ。あれだけ映画自体は濃厚なドラマに満ちていたのに、どうしてクラッシュシーンになると文字通り薄っぺらくなってしまうのか。こういうところをちゃんと作らないと。「フォードVSフェラーリ」もクラッシュシーンは微妙でしたが、今回はそれをはるかに上回る酷さ。

もっとも映画で序盤からフェラーリのライバルとして登場するドライバージャン・ベーラですが実は映画のクライマックスである山道レース、ミッレ・ミリアには参加していない。何故ならミッレ・ミリアの練習走行でクラッシュから負傷してしまったからです。よって映画に描かれていたデ・ポルタ―ゴとのデッドヒートはあくまで演出。

劇中でヘルメットの柄まで再現されたライバルのジャン・ベーラ。彼もまた後にレース中の事故で悲劇的な最期を遂げることに

またYouTube上で映画ファン目線から酷評された方がおっしゃっていたのですが「フェラーリもマセラティもボディが赤いので違いが解らない、どう競ってるのか分からない」…ごもっともだと思います。正直レースに興味のない方なら区別がつかないのも無理はない。 

フェラーリ315S
白黒ですがマセラティ450S

よってクラッシュシーンの稚拙さはレースファンにとってどうにも残念ではありましたが、映画自体は一級品のストーリーが素晴らしい。何と言ってもエンツォを演じたアダム・ドライバーは彼であること忘れさせそうになるくらいエンツォに肉薄した演技が圧巻。アダムがいかにエンツォになり切っているかを感じられるのもレースファンかと。

結婚生活に疲れた妻を演じるペネロペもまた鬼気迫る演技。ただし実際のフェラーリ妻はあそこまで可愛くないです。画像は割愛します苦笑

そしてデ・ポルタ―ゴに次いで存在感を出していたフェラーリのベテラン・ドライバー、ピエロ・タルフィをパトリック・デンプシーが演じたのは当たり役!

実際のタルフィ


デンプシーそっくり

あとピーター・コリンズ役の俳優もいい味出してました。だからね、やっぱりレース好きは一度見た方がいいかと思われます。もし映画が配信されたら一連のクラッシュシーンは早送りしますがね爆 まったくデ・ポルタ―ゴを(文字通り)マネキンのようにしやがって…

でもやっぱり全体的には素晴らしい映画でしたね。私がお気に入りの場面は「坊や、ピーター・コリンズが食べたバナナだぞ」です笑


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