ゴーン氏会見の目的と成果
12カ国60社のメディアが集まった、カルロス・ゴーン氏の会見。
何を話すのか注目していました。
率直な感想としては、予想以上に、情に訴えるようなコメントが多かったということ。
家族である妻とも会えないまま長期勾留が続いた、
毎日弁護士もいない中で尋問を受けた、
妻と話すことが許されたわずかな時間さえ弁護士に聞かれていた、
有罪率99.4%の裁判のために、あと5年間も家族と会えないと言われた、
人間として扱われていないと感じた、
逮捕されたのは日産幹部の陰謀だった、
残された選択は、このまま日本で死ぬか、逃亡するしかなかった、
などが主なメッセージでした。
日本の司法に対する批判や、日産幹部への批判はあったものの、自身の逃亡ルートの詳細や、無罪であることの具体的な説明はありませんでした。
あとで振り返ってみれば、目的は明確で、世界中の世論を感情で揺さぶって味方につけること、これだったのだと感じます。
すでに日本脱出は成功し、レバノンに入ってしまったため、日本に連れ戻すことはほぼ不可能でしょう。
裁判も行うことができません。
そうなれば、もはや有罪か無罪かは関係なく、無罪である理由を事細かく主張する意味はありません。
名誉を守り、今後行われるであろう何かしらの活動をやりやすくするために、感情に訴えて世の中の人を味方につけることに集中したのでしょう。
各国メディアを満遍なく招きました。
日本の司法や日産幹部を批判するコメントはあっても、「今でも日本人を愛している」、「日本で全力を尽くしてきた」、「外出しているのを見られたときも日本人は優しかった」など日本人に気を使うコメントを忘れませんでした。
会見後、他国の報道の状況などを見ていると、もちろん感情に訴えたことを直接賞賛するような報道はないものの、会見での事実を中心に伝えつつ、ゴーン氏の行動に一定の評価をするものもありました。
これが、今後ゴーン氏が描く次の一手に繋げるための布石だとすると、65歳の元カリスマは、まだまだ人生の壮大な野望があるのかもしれません。
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